「放念」の意味とは?類語(シソーラス)・読み方・英語・対義語【使い方や例文】
会話中に「放念」と言われたら「お坊さんの名前」かと思ってしまうかも知れません。
しかしビジネスでは「放念」はよく使われる言葉ですので、正しい意味を覚えておきましょう。
目次
- 「放念」の意味とは?
- 「放念」の読み方?
- 「放念」の英語(解釈)
- 「放念」の対義語
- 「放念」の言葉の使い方
- 「放念」を使った言葉・慣用句や熟語・関連(意味・解釈)
- 「放念」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「放念」の類語や類義表現(シソーラス)
- 「ご放念下さい」を使う場面
「放念」の意味とは?
「放念」の意味漢字の成り立ち、「失念」との違いについて紹介します。
- 「放念」の意味
- 「放念」の言葉の成り立ち
- 「失念」との違い
「放念」の意味
「放念」の意味は「気にしない」「忘れる」です。
但し「放念」は自分の気持ちを表すのではなく相手に対して言う言葉です。
つまり「気にしないで下さい」「忘れて下さい」という意味だと思ってよく、実際に「下さい」を付けて使われます。
言葉で「気にしないで下さい」と言うと表現が直接的なのですが、「ご放念下さい」と言うと丁寧に聞こえます。
ビジネスシーンでは相手を思いやることで信頼につながりるので、ちょっとした言葉遣いに注意をすることも大切なのです。
「放念」の言葉の成り立ち
「放念」の意味は言葉の成り立ちからも分ります。
「放」は「ときはなす」「自由にする」という意味があります。
「念」は「思い・気持ち」という意味です。
この2つの漢字が組み合わさり「気持ちを外へ解き放すこと=気にしないこと」という意味で使われる様になりました。
「失念」との違い
「放念」によく似た意味を持つ言葉に「失念」があります。
「失念」は「忘れること」を丁寧にした言葉で、ビジネスで「すみません、忘れていました」と言う時に「大変申し訳ございません、失念しておりました」と使います。
「放念」は自分が相手に対して「忘れて下さい」という時に使う言葉です。
これに対して「失念」は、自分や誰かが「忘れていた」時に使う言葉で、「誰が忘れるのか」という違いあります。
この2つは全く違う意味であり、言い換えには使えません。
「放念」の読み方?
「放念」は「ほうねん」と読みます。
特に難しくないので覚えておきましょう。
「放念」の英語(解釈)
本来「忘れる」「気にしない」であれば “Please forget.”や“Don't worry.”が最もシンプルですが、こちらはかなりカジュアルな表現になります。
「無視をする」の中でも「考慮に入れない」という意味で使えるのが“disregard”です。
硬い言葉なのでビジネスに使う時にはこちらの方が良いでしょう。
“Please disregard this matter.”で「このことはご放念下さい」になります。
「放念」の対義語
「放念」の対義語は「懸念(けねん)」です。
意味は「気になること」「心配すること」で、これから起きることに対して不安な時に使われます。
「放念」の言葉の使い方
「放念」は名詞であり、前後に意味を補って使われます。
但し「放念」は相手に対して「忘れて下さい」という意味で使われる言葉ですので、自動詞として「放念する」とは使いません。
相手を気遣う言葉なので自分には使わず、「忘れていた」と言う時には先に紹介した「失念しておりました」を使う様にしましょう。
「放念」を使った言葉・慣用句や熟語・関連(意味・解釈)
「放念」を使った言葉と解釈を幾つか下記に紹介します。
- 「放念します」【ほうねんします】
- 「放念ください」【ほうねんください】
- 「放念しておりました」【ほうねんしておりました】
「放念します」【ほうねんします】
間違った使い方の例です。
上の項目で紹介した通り「放念」は相手に対して使う言葉ですので、自分が気にしない、自分が忘れる時には使いません。
「失念」は忘れていた時、つまり既に忘れてしまった時に使う言葉ですので、この様な場合には「気に留めません」「忘れます」と言いましょう。
「放念ください」【ほうねんください】
相手に対して「気にしないで下さい」「忘れて下さい」の丁寧な言葉です。
但し謙譲語にする時には「ご」を付けて「ご放念下さい」にするのが一般的です。
「放念しておりました」【ほうねんしておりました】
こちらも使い方が間違っているケースです。
「放念」は相手に対して「忘れて下さい」と言う時の表現で、自分が「忘れていた」という時には「失念しておりましたになります。
言葉が似ているので混同しない様にしましょう。
「放念」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「放念」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「放念」を使った例文1
- 「放念」を使った例文2
「放念」を使った例文1
「連絡が行き違いになりましたらどうかこのメールはご放念下さい」
相手に何かを伝えようとメールを送ったけれども、既にその問題は解決している場合があります。
念の為に送ったメールであり、その場合は気にしないで下さいという意味です。
「放念」を使った例文2
「この件に関してはご放念頂けますでしょうか」
何かの問題が解決できずに一度手を引く決定をした時に、やり取りをしていた相手に対して送る文章です。
「なかったことにして下さい」という意味が含まれています。
「放念」の類語や類義表現(シソーラス)
「放念」の類語は以下の通りです。
- 「無視」【むし】
- 「スルー」【するー】
「無視」【むし】
「無視してください」として使われ「全く見なかったことにして欲しい」という意味です。
「スルー」【するー】
「スルーしてください」として使われ、意味は「気にしないでください」「無視してください」です。
「放念」とほぼ同じ意味のカジュアルな俗語です。
「ご放念下さい」を使う場面
「ご放念下さい」を使う場面は以下の通りです。
- 「忘れてください」と言いたい時
- 「気にしないで下さい」と言いたい時
- 「ご心配なさらず」と言いたい時
「忘れてください」と言いたい時
相手に対して依頼していたことがあったけれども状況が変わって必要なくなった時や、一度送った情報に間違いがあった時などに使われます。
「忘れてください」では少し無責任な感じがする時に「ご放念ください」と言うことで「手間をかけて申し訳ない」という気持ちを伝えます。
「気にしないで下さい」と言いたい時
こちらが相手に対して大きな支援をしたり、相手がミスをして大きな迷惑をこうむったなど、相手から多大に感謝されたり謝罪されたりしている時に使います。
「気にしないでください」という少し冷たい言い方になるので、「ご放念ください」と言い、相手の気持ちは十分理解しているという気持ちを伝えます。
「ご心配なさらず」と言いたい時
持ちつ持たれつの良好な関係で、相手がこちらの状況を必要以上に心配してくれている時に使います。
相手を安心させて信頼して大丈夫ですと伝える言葉です。
「放念」は相手に対して「気にしないで下さい」「忘れて下さい」と言う時に使います。
相手に対する思いやりの気持ちも含まれていて、ビジネスで良い関係を築くのに役立つ言葉です。
機会があればビジネス文書やメールでさりげなく使える様にしておきましょう。