「拍車を掛ける」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「拍車をかける」とはかなりスピード感のある言葉ですが、「拍車」とは一体何のことでしょうか。
正しい意味や語源を紹介しますので、参考にして下さい。
目次
- 「拍車を掛ける」の意味とは?
- 「拍車を掛ける」の読み方
- 「拍車を掛ける」の英語(解釈)
- 「拍車を掛ける」の語源
- 「拍車を掛ける」の言葉の使い方
- 「拍車を掛ける」を使った例文や短文(解釈)
- 「拍車を掛ける」の類語や類義表現
「拍車を掛ける」の意味とは?
「拍車を掛ける」の意味は「ものごとの進み具合を一気に早めること」です。
人には自分の体内リズムがあり、毎日の生活を自分のリズムで送っています。
しかし何かのきっかけがあると、普段よりも勢いを付けて早く行動することがあります。
単に急いでいるのではなく、あらゆるものごとが好都合に行き早いペースでドンドン流れて行くこともあります。
或いは自分自身にやる気が起きて「早く行動しよう」と思うこともあるでしょう。
この様な時に「拍車を掛ける」という言葉を使うのです。
「拍車を掛ける」の読み方
「拍車を掛ける」は「はくしゃをかける」と読みます。
「掛ける」は漢字表記と平仮名表記が半分位の割合で使われています。
「拍車を掛ける」の英語(解釈)
「拍車を掛ける」の英語には以下の2つがあります。
- “spur”
- “give (an) impetus”
“spur”
「拍車」は英語では“spur”で、動詞として「拍車をかける」という意味があります。
「拍車を掛ける」はそのまま“spur”を使って言い表せます。
“He spurred the members to win).”(彼はメンバー達に拍車をかけて勝利に導いたとなります。
状況的に過去形として使われることが多くなります。
“give (an) impetus”
「拍車を掛ける」は“spur”を使わない英語表現もできます。
“impetus”は「勢い」「弾み」という意味があります。
“It gave an impetus to the confusion.”(混乱に拍車がかかった) となります。
「拍車を掛ける」の語源
「拍車を掛ける」の「拍車」は意味からして勢いよく回る何かの車の様な感じがするのですが、全く違います。
「拍車」とは乗馬用の靴のかかとにある輪の形をした金具のことで、西部劇でカーボーイが履いているウエスタンブーツについているギザギザの輪のことです。
馬を速く走らせたい時には「拍車」で馬のお腹に刺激を与えていました。
日本に「拍車」が伝わったのは明治時代で、それまでは「鐙(あぶみ)」という用具が使われていました。
しかし現在競馬では「拍車」は使われておらず、代わりに「ムチ」が使われています。
これは、競馬法というルールにより「拍車」の使用が一部例外を除き禁止されているからです。
「拍車」が使われているのは馬術競技です。
馬を「拍車」で刺激して一気に速度を増す様にすることから「拍車を掛ける」という言葉ば使われる様になりました。
「掛ける」には多くの意味がありますが、ここでは「働きや力を増したり加えたりすること」の意味で使われています。
「拍車を掛ける」の言葉の使い方
「拍車を掛ける」の言葉の使い方には以下のポイントがあります。
- 「拍車を掛ける」として使う場合
- 「拍車が掛かる」として使う場合
- 良い意味でも悪い意味でも使われる
「拍車を掛ける」として使う場合
「拍車を掛ける」として使う時には他動詞となります。
自分或いは誰かがそのものごとに対して働きかけて速度が増したり勢いが付いたりする時に促す時に使います。
「拍車が掛かる」として使う場合
「拍車が掛かる」として使う時には自動詞になります。
周囲の環境が整うことで、そのものごとが自然に速度を増したり勢いを付けたりする時に使われます。
良い意味でも悪い意味でも使われる
「拍車を掛ける」はものごとのスピードや進み具合を表す言葉で、良い意味でも悪い意味でも使われます。
幸運が重なってものごとが順調に進んでいく時にも、不運が重なりドンドン状況が悪化していく時にも「拍車がかかる」と使うのです。
「拍車を掛ける」を使った例文や短文(解釈)
「拍車を掛ける」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「拍車を掛ける」の例文1
- 「拍車を掛ける」の例文2
- 「拍車を掛ける」の例文3
「拍車を掛ける」の例文1
「雨が降らない状態が続いて野菜の価格高騰に拍車が掛かっている」
雨が降らない状態が続くと、野菜が育たずに市場の値段が高くなってしまいます。
今迄「ちょっと高いな」と思っていても仕方なく買っていたのですが、気がついたら通常の倍位の値段になっていることもあるのです。
野菜売り場に行く度に値段が高くなっていて驚いている様子が伝わります。
「拍車を掛ける」の例文2
「納期が迫って来たので作業のスピードにも拍車が掛かる」
ビジネスにとって納期はとても大切です。
丁寧に高い品質で、しかも最初に提示した納期に間に合わせる様に仕上げなければなりません。
手を抜かずに尚且つ作業のスピードを上げる様に努力している様子を表しています。
「拍車を掛ける」の例文3
「彼女は失恋したせいで普段の飲みっぷりの良さに更に拍車が掛かってしまった」
失恋をするとヤケ酒を飲む人がいます。
その女性は失恋をしたショックで、酔っぱらって忘れようとしたのでしょう。
普段から飲む量が多い人なのですが、その時は特に速いスピードでドンドン飲んでいった様子を表しています。
おそらく悪い酔いをしたり翌日は酷い二日酔いになったことでしょう。
「拍車を掛ける」の類語や類義表現
「拍車を掛ける」の類語には以下のものがあります。
- 「火に油を注ぐ」【ひにあぶらをそそぐ】
- 「波風を立てる」【なみかぜを立てる】
「火に油を注ぐ」【ひにあぶらをそそぐ】
意味は「元々勢いが盛んなものにいっそう勢いを加えること」です。
火に油を注ぐと余計に火が燃え上がり、大火事になってしまうことから由来しています。
但しこちらは「結果として良くない方向にいくこと」という意味が含まれています。
「拍車を掛ける」が良い意味・悪い意味どちらにも使えるのに対して、「火に油を注ぐ」は悪い意味に使われます。
「波風を立てる」【なみかぜを立てる】
意味は「ものごとをより面倒にさせること」「もめ事を持ち込むこと」です。
静かな水面に風が強く吹いて波が立ってしまい、魚が捕れなくなったり船が不安定になることに由来しています。
こちらは元々平穏な状態だったのに、短時間で問題が発生する時に使われる言葉です。
「拍車を掛ける」が単にものごとの速さや進行を表しているのに対して、「波風を立てる」は状況が速く悪化するという意味で使われます。
「拍車を掛ける」は良い意味にも悪い意味にも使われる言葉です。
何かものごとの進み具合が速くなったと思ったら、その原因を分析して「〇〇により拍車が掛かった」と使ってみましょう。
自分のことでも他人のことでも使えますので、日常会話で使ってみると段々と慣れてくるでしょう。