「婉曲」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
「婉曲」という言葉は、聞いたことはある、習ったけどよくわからない、という方も多い言葉かと思います。
ここでは、知っていると役に立つ、「婉曲」という言葉について、意味や読み、類語や対義語などご紹介していますので、ぜひ参考にして、日々に役立ててください。
目次
- 「婉曲」の意味とは?
- 「婉曲」の読み方
- 「婉曲」の英語
- 「婉曲」の語源
- 「婉曲」の言葉の使い方
- 「婉曲」を使った例文
- 「婉曲」の類語や類義の表現
- 「婉曲」の反対語や対義の表現
「婉曲」の意味とは?
「婉曲」とは、露骨な表現を避け、あえて遠まわしな言い方をすることで角が立たないようにすることをいいます。
とくに、相手に対して否定的な意味を含む言葉を使わないようにするなどして、相手との信頼関係を損なわないようにするときなどによく使われます。
また、相手のためといいながら、保身のために「婉曲」な言い方をすることもあります。
「婉曲」の読み方
「わんきょく」と読みたくなりますが、「えんきょく」が正しい読み方になります。
「婉」とはうつくしいことやしなやかさを意味するほか、ここでは遠まわし、おだやかさ、物腰やわらかく、といった意味で使われており、「うつく-しい」「しと-やか」「したが-う」といった読みを持っている漢字です。
「曲」はよこしまなことや音楽作品のことなども意味しますが、ここでは単にまがる、まげる、といった意味で考えておいていいでしょう。
ほかに、「ま-がる」「ま-げる」「くま」「くせ」など多くの読み方を持つ漢字です。
「婉曲」の英語
「婉曲」を英語にすると、“euphemistic”という言葉になり、こちらを使用すると、婉曲法、など正しい意味で伝わります。
また、迂回路や遠回りをすること、を表す“roundabout”という英語も覚えておくといいでしょう。
どちらも、「婉曲」を指し示したいときに便利な英語となっています。
「婉曲」の語源
「婉曲」という概念は、日本人の慎ましやかな精神と、言霊信仰に起点があるのではないかといわれています。
相手を傷つけまいとする配慮ができる人のことや、正面切ってものをいわず、それでいて伝えたいことを伝える人のことを「粋」と呼び、もてはやしました。
また、言葉には魂が宿るといわれ、縁起の悪い言葉を避けたため、それらの方法として「婉曲」な言葉遣いが発展したということです。
「婉曲」の言葉の使い方
「婉曲な言い方を心がける」というように心がけなど、自分に対して使う場合と、「婉曲な言い方を心がけなさい」と、他人に「婉曲さ」を求めるために使う場合とに、大きく分けられます。
どちらの場合も、話し相手のことを慮るために使われる言葉ですので、対人関係を潤滑に行いたいが、どうしていいかわからない、という方、歯に衣着せぬ物言いでよくたしなめられる、という方はとくに、「婉曲」な言葉遣いを磨いていくといいかもしれません。
「婉曲」を使った例文
それでは次に「婉曲」を使用した例文を見ていきます。
実際に「婉曲」がどのように使われているか知ることで、応用がきくようになります。
- 「婉曲」の例文1
- 「婉曲」の例文2
- 「婉曲」の例文3
「婉曲」の例文1
「優柔不断な夫はいつも婉曲な言い方ばかりするが、プロポーズの言葉はとても紳士的だったのを忘れないでいる」
「婉曲」な言い方をする人には二種類いるといえます。
本当に相手を慮っているがゆえの「婉曲」と、相手を慮るように見せかけ、実は自分が責任を負いたくないための「婉曲」とに分けられます。
前者では優しさがにじみ出ているかと思いますが、「気」というのは案外、伝わってしまうもので、後者の使い方をしている人は、相手に不信感を与えてしまうおそれがあります。
「婉曲」の例文2
「言いたいことはわかるが、もうすこし婉曲な書き方をしなさい、と意見書を突き返された」
大人の社会では、見て見ぬふりをしたり、あえて言わないようにすることが暗黙の了解となっていることが多々あります。
多くはだれかにとって不都合なことであり、直視することを毛嫌いされます。
関係者はその件に関しては触れず、触れてもできるかぎり「婉曲」な形で、ということがほとんどでしょう。
「婉曲」の例文3
「急いできたの?と彼女は顔を赤らめていったが、それがチャックがあいていることを婉曲に伝えたかったのだとは、なかなか気がつかなかった」
こちらの使い方では、相手を慮って、あえて直接的なことを言わないようにする「婉曲」となっています。
しかし、この場合のように、「婉曲」すぎる表現では相手に意図が伝わらず、元も子もない、という結果になりかねませんので、「婉曲」な言い方をするときには、どうすれば相手にきちんと意図が伝わるか、に留意するといいでしょう。
「婉曲」の類語や類義の表現
次に、「婉曲」の類語表現を見ておきましょう。
類語がわかることで、「婉曲」についてもより理解が深まるようになりますので、あわせてご覧ください。
- 「暗示」【あんじ】
- 「配慮」【はいりょ】
- 「オブラートに包む」【おぶらーとにつつむ】
- 「遠まわし」【とおまわし】
「暗示」【あんじ】
「暗に示す」と書いて「あんじ」と読みます。
心理学的な用語としては、言動などを通して相手を誘導すること、などの意味がありますが、一般的には、それとなく知らせること、という意味で使われます。
「婉曲」も、それとなく知らせること、を目的として使われる言葉ですので、似た意味あいの言葉といえるでしょう。
「彼女のメールには不可解な箇所があったが、誕生日のサプライズを暗示していたのだと、あとになってわかった」
「配慮」【はいりょ】
「はいりょ」は、気くばり、心くばり、心づかい、といった意味で使われる言葉です。
相手のことを思いやり、先回りをして物事を進めたりしておく場合によく使われており、「配慮」ができるというのは大人にとって重要なスキルのひとつといえます。
「婉曲」も、「配慮」するために使われる言葉といえますので、類語に当たります。
「ありがたいことに、子どもがいることを配慮して、オレンジジュースを用意してくれていた」
「オブラートに包む」【おぶらーとにつつむ】
オブラートとは、薬の苦味や漢方のざらりとした食感などを感じない、もしくは軽減するために使われる食べられる薄い膜のことをいいます。
「オブラートに包む」とは、苦い薬のように、相手が苦味を感じるような言葉を避け、別の言い方で伝えるときに使われ、「婉曲」とかなり似た意味あいの言葉として知られています。
「あの子はすぐ泣くから、オブラートに包んで言ってやらないといけない」
「遠まわし」【とおまわし】
直接的な言葉を使わず、それとなく伝えることをいいます。
意識しあっている男女がそれとなくお互いの好意を探るときなどに、「遠まわし」な言動で駆け引きを楽しむことなどを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
「彼の遠まわしな言い方から、私には気がないことがわかってしまった」
「婉曲」の反対語や対義の表現
では最後に、「婉曲」の対義語をご紹介します。
類語だけでなく対義語も見ておくことで、いっそう語彙の幅が広がります。
- 「直截」【ちょくさい】
- 「露骨」【ろこつ】
- 「率直」【そっちょく】
- 「無配慮」【むはいりょ】
「直截」【ちょくさい】
慣用読みとして「ちょくさい」で広まっていますが、正しくは「ちょくせつ」と読みます。
きっぱりと、ずばりと、はっきりと、回りくどくなく、物を言うことをいいます。
「截」とはたつこと、切ること、また断ち切ること、という意味を持つ漢字です。
「あの作家の簡明直截な文章はいつ読んでも痛快なものだ」
「露骨」【ろこつ】
「骨を露わにする」と書いて、「ろこつ」と読みます。
読んで字のごとく、むきだしなこと、相手の気持ちや状況を加味せず、思ったことをそのままはっきりと表現することを意味する言葉です。
「露骨」なために信頼を買うこともあれば、「露骨」なために嫌われることもあるようです。
「私も努力してデートプランを立てているというのに、すこしでも気に入らないことがあると、彼女は露骨に不機嫌になる」
「率直」【そっちょく】
「そっちょく」と読み、隠すことなく、自分の意見や気持ちをきっぱりと表現することを意味します。
ごまかしたり嘘、いつわりがないため、喜ばれるシーンとそうでないシーンとがありそうです。
「プランについて率直に申し上げてもよろしいでしょうか」
「無配慮」【むはいりょ】
「配慮」が「婉曲」の類語ならば、「配慮がない」つまり、「無配慮」という言葉は対義語に当たります。
デリカシーがない、などといわれることもありますが、配慮ができないことを意味しています。
以前、流行の言葉となった「KY」という言葉は、「空気読めない」の略語でしたが、そのような相手の気持ちや場の空気を考えず、自分の意のままに言動を行うことを意味しており、これは「無配慮」であることをとがめているものです。
「姑との不仲は伝えているのに、無配慮な夫の行動には呆れてものもいえない」
「婉曲」とは、あえて遠まわしな言い方をすることだとわかりました。
社会に出れば白黒つけることが大事な場面も多々ありますが、日本人らしい思いやりの気持ちや心配りのできるゆとりを持ち、周囲の人々を大切に思いながら日々を進んでいきたいですね。