「無用の長物」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】.
「無用の長物」と言われると、何となく褒められていないことが分ります。
一体どの様な意味なのでしょうか、使い方や例文なども紹介します。
目次
- 「無用の長物」の意味とは?
- 「無用の長物」の読み方
- 「無用の長物」の英語(解釈)
- 「無用の長物」の語源
- 「無用の長物」の言葉の使い方
- 「無用の長物」を使った例文や短文(解釈)
- 「無用の長物」の類語や類義表現
「無用の長物」の意味とは?
「無用の長物」の意味は「あっても役に立たないどころか返って邪魔になるもの」ということです。
「無用」は「使い道のない」「いらない」という意味で、「長物」は「長いもの」「場所を取るもの」という意味です。
元々は長すぎて役に立たずに、しかも置き場所に困ってしまうものを意味していました。
そこから転じて長さは関係なく「あっても何の役にも立たないもの」として使われる様になったのです。
「無用の長物」の読み方
「無用の長物」は「むようのちょうぶつ」と読みます。
「長物」を「ながもの」と読み間違わない様にしましょう。
「無用の長物」の英語(解釈)
「無用の長物」の英語訳は“white elephant”(ホワイト・エレファント=白い象)です。
白い象は昔から希少価値が高く、神聖な動物とされていました。
タイでは現在でも象使いがいますが、昔は白い象は王様専用の乗り物だったのです。
しかし象というのは非常に大食いで、エサ代がかかるものです。
そこで王様は、自分の気に入らない家来に褒美として白い象を与えました。
白い象は王様しか乗れませんので、飼っていても乗り物としては使えません。
神聖な動物なので処分することもできず、ひたすら買い続けてエサ代が積み重なり、挙句の果てに破産せざるを得ない状況になってしまいました。
ここから「あっても役にたたないどころかむしろ邪魔なもの」という意味で使われる様になったのです。
“This gift is a white elephant to me”(このプレゼントは私には無用の長物だ). ”となります。
「無用の長物」の語源
「無用の長物」の語源は、仏教の教えからきています。
昔は仏教徒が出家する際に、持ち物が決められていて、それ以外は無用であり認められませんでした。
大昔は袈裟や托鉢用の器など、たった6つのもので「六物(ろくもつ)」と呼ばれていたのですが、時代の変化に連れて認められる持ち物が増えて座布団や手ぬぐいなど、18個の「十八物(じゅうはちもつ)」になりました。
そしてそれ以外は無用とされ、「長物(じょうもつ)」と呼ばれたのです。
「長物」の本来の意味は「持ち物として許可されているもの以外の余計なもの」ということだったのですが、段々と変化して現在の意味になったのです。
「無用の長物」の言葉の使い方
「無用の長物」の使い方には以下のポイントがあります。
- 「無用の長物」だけで意味が通じる
- 物だけではなく人にも使われる
- ある程度の大きさのものに使われる
- 悪い意味として使われる
「無用の長物」だけで意味が通じる
「無用の長物」は「役に立たない無駄なものである」という状態を表す言葉です。
他に特に言葉を補わなくても「無用の長物だ」で意味が通じます。
その一言だけで物の状態や、言った人の考え方まで的確に表している言葉なのです。
物だけではなく人にも使われる
「無用の長物」は、物や動物だけではなく人に対しても使われます。
最も良く使われるのが職場で、仕事ができないのに理屈ばかりこねたりしている人や、やる気が全くない給料が高い人などに使われます。
ある程度の大きさのものに使われる
「無用の長物」には「目障りである」という意味も含まれているので、ある程度の大きさのものに使われます。
あってもたいして場所を取らない様な小物には使われません。
悪い意味として使われる
「無用の長物」は悪い意味として使われます。
そもそも「いらないもの」という意味があるので、「無用の長物だけどいい人だ」というフォローは使えません。
自分が「無用の長物」と言われてしまったら、かなり周囲からの評価が悪い状態になっていると思いましょう。
特に人に対して使う時にはその人を否定していることになるので、場所や状況をわきまえる様にしましょう。
職場で目下の人に対して使うと「パワハラ」と言われる可能性があるので注意が必要です。
「無用の長物」を使った例文や短文(解釈)
「無用の長物」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「無用の長物」の例文1
- 「無用の長物」の例文2
- 「無用の長物」の例文3
「無用の長物」の例文1
「昔買ったぶら下がりタイプの健康器具は、もはや家族の誰も使わず無用の長物になっている」
健康器具はその時のブームに乗ってつい買ってしまいますが、毎日続けないと効果がでないものです。
段々と飽きてしまい使わなくなり、非常に場所を取るのでジャマだと思っていることを表しています。
「無用の長物」の例文2
「ワンルームでただの物置台になっているソファーは無用の長物でしかない」
ワンルームマンションではいかに家具を少なくするかが広さを確保するポイントにないります。
全く使わずに雑然とモノが置かれているだけのソファーは無駄な場所を取るばかりで、早く処分した方がいいと思っていることが伝わります。
「無用の長物」の例文3
「彼は部署でもはや無用の長物扱いをされている」
対象となる人はおそらくシニア年代で、パソコンが苦手だったり営業成績が振るわないのでしょう。
年齢的に給料が高いので、会社としてもお荷物になっている状態です。
この様に言われるからには何かしらのハラスメントや肩たたきも行われている可能性があります。
「無用の長物」の類語や類義表現
「無用jの長物」の類語には以下のものがあります。
- 「蛇足」【だそく】
- 「昼行灯」【ひるあんどん】
- 「夏炉冬扇」【かろとうせん】
「蛇足」【だそく】
意味は「付け足す必要のないもの」ですが、解釈としては「余計なものを付けたしてしまい、そのものの価値を下げてしまうこと」として使われます。
由来は、昔中国の楚という国で、蛇の絵を誰が一番速く描けるか競争した時に、一番速かった人が足まで描いてしまった為に蛇と見なされず負けてしまったという話から来ています。
「昼行灯」【ひるあんどん】
意味は「昼間に行灯をともしてもよく分らない」ということから「ぼんやりして存在感がない人」「役に立たない人」のことを言います。
こちらも職場で人の悪口としてよく使われます。
「夏炉冬扇」【かろとうせん】
意味は、「夏の囲炉裏と不輸の扇の様に季節外れの無駄なもの」です。
ここから転じて「役に立たない才能」「無用なもの」などを意味する様になりました。
「無用の長物」は、人ではなく物に使うのが好ましい言葉です。
「あっても邪魔で困っている」と笑い話で済ませられる様な状態が好ましい使い方です。
ビジネスやプライベートで場を和ませる為に使える様にしましょう。