「御為ごかし」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
「御為ごかし」という言葉をご存知でしょうか?聞いたことはあるけど、どんなときに使う言葉かわからない、意味がわからない、という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「御為ごかし」という言葉の意味や読み、例文や類語を紹介していますので、曖昧だ、という方はぜひ一読ください。
目次
- 「御為ごかし」の意味とは?
- 「御為ごかし」の読み方
- 「御為ごかし」の英語
- 「御為ごかし」の由来
- 「御為ごかし」の言葉の使い方
- 「御為ごかし」を使った例文
- 「御為ごかし」の対義語
- 「御為ごかし」の類語や類義表現
「御為ごかし」の意味とは?
「御為ごかし」とは、あたかも他人のためにするように見せかけて、実は自分のために物事をおこなう、という意味の言葉です。
「御為尽(おためづく)」「じょうずごかし」などとも言われ、表面上で言っていることと腹で考えていることに雲泥の差があることをいいます。
「御為ごかし」の読み方
「御為ごかし」は「おため(ごかし)」と読みます。
「御」とは物事や人物に対して丁寧さや尊敬の気持ちを表すときに接頭や接尾につけることのある言葉で、「ギョ」「ゴ」「おん」「み」などの読みを持つ漢字です。
「為」には○○のために、という意味もありますが、利益、という意味も持っており、ほかに「イ」「な-す」「な-る」「つく-る」などの読みも持っています。
「御為ごかし」の英語
「御為ごかし」を英語でいう場合には、“ulterior motive”(隠された動機)などを使うといいでしょう。
日本語をそのまま英語にするのがむずかしい場合には、意訳できないかどうかを考えてみてください。
たとえば、“under the mask of friendship(or kindness)”など、友情や親切の仮面の下に隠された素顔、というような使い方ですと、「御為ごかし」を英語でいうことができます。
「御為ごかし」の由来
「御為」とは、「ため」を丁寧にいう言葉で、あなたのためですよ、ということを意味し、「ごかし」とは「こかす」という言葉から来ています。
「こかす」とは、相手をこかす、倒す、という意味があり、これらふたつの言葉をあわせて、あなたのためと言いながら相手を倒す、「御為ごかし」という言葉ができたといわれています。
「御為ごかし」の言葉の使い方
「御為ごかしにされる」「御為ごかしをいう」などのように使われます。
事前に相手の言っていることが「御為ごかし」であることがわかっている場合でも気分が悪いでしょうが、あとになって「御為ごかし」だとわかる場合にはさらに怒りなどの感情もこめて使われます。
「御為ごかし」を使った例文
では、「御為ごかし」を使った例文を見ていきましょう。
具体例を見ておくことで、どのように使われる言葉なのかより理解が深まります。
- 「御為ごかし」の例文1
- 「御為ごかし」の例文2
- 「御為ごかし」の例文3
「御為ごかし」の例文1
「ホストの口から出る言葉など、御為ごかしのものだとわかっていても、やはり嬉しくてさらに貢いでしまう」
相手を褒める技術が自分の利益に直結する職業、というのは多々あります。
アパレル業界などでも、ショップ店員はひとつでも多く客の美点を褒める技術が必要かもしれません。
「御為ごかし」だとわかっていてもいわれて嬉しい、いわば「殺し文句」を持っているというのは、商売とは需要と供給で成り立っているわけですから、いちがいに悪いものだと言い切ることもできないかもしれません。
「御為ごかし」の例文2
「私のためを思って、というので話を聞いていたが、結局は保険を売りたいための御為ごかしではないかと呆れてしまった」
今度は「御為ごかし」がばれてしまい、うまくいかなかった場合をいいます。
相手のためを思って、というのが本心ではないのがばればれでは、ウィンウィンになりません。
相手はその話を聞くための時間を無駄だったと感じ、非常にがっかりするでしょう。
自分の利益のために人から金品を預かる、というのが見え透いてしまうと、信頼関係などできるはずもありませんので、留意しましょう。
「御為ごかし」の例文3
「御為ごかしでなく、彼の本心が聞きたい」
自分の本心を悟られまいと、かわいいね、きれいだね、といった言葉ばかりかけていても、一生の伴侶にはなれないのではないでしょうか。
不安や不満といったネガティブな感情も共有し、その都度、壁を乗り越えることができる相手とであれば、一生を添い遂げられるのだと思います。
そのためにはまず、本心から話をする、ということでしょう。
「御為ごかし」の対義語
「御為ごかし」の対義語ですから、相手のことを思い、あえて辛辣なことをいう、といったことや、嘘をつかず、すなおに本心をいうこと、などが考えられます。
- 「率直」【そっちょく】
- 「忠告」【ちゅうこく】
「率直」【そっちょく】
なんら飾り立てることなく、思ったことを思ったままに言ったり表現することを意味します。
ありのままで隠しだてする必要がない分、それがあだとなり、悪く思われることもあるかもしれませんから、「御為ごかし」と「率直」とはどちらも諸刃の剣といえそうです。
「率直に申し上げます」
「率直な意見が聞きたい」
「忠告」【ちゅうこく】
相手を思う心から、間違ったことや悪い箇所を指摘することをいいます。
度が過ぎると口うるさい、と思われかねませんが、それが真心から出た言葉であれば、いつか理解されると信じるしかありません。
「あのとき先輩から忠告してもらっていてよかった」
「君のためを思って忠告しておくね」
「御為ごかし」の類語や類義表現
最後に「御為ごかし」の類語表現を見ておきましょう。
類語を知ることで「御為ごかし」の理解が深まり、また語彙の幅も広がりますので、あわせてご覧ください。
- 「綺麗事」【きれいごと】
- 「美辞麗句」【びじれいく】
「綺麗事」【きれいごと】
実際の状況、状態にそぐわない、うわべばかり綺麗なことをいいます。
どんなにいいように言ったところではりぼてでしかない、ということですね。
表面だけが立派に取り繕ってあり、中身が伴わない、というところが「御為ごかし」と似ているところといえます。
「綺麗事で済まそうとするな」
「彼の言っているのはただの綺麗事だ」
「美辞麗句」【びじれいく】
うわべだけ立派に繕った内容の乏しい言葉、飾り立ててはあるが真実味がない言葉、などを意味する言葉です。
どんなに美しいように見えても、それは虚飾でしかなく、中身を伴っていません。
「美辞麗句を連ねただけの広告に飽きあきしている」
「実情を見ていると社訓に書かれた内容がいかに美辞麗句であるかわかる」
「御為ごかし」とは、相手のためと言いながら、本心では自分の利益になるようにはからうこと、という意味の言葉でした。
世の中を渡っていくうえで、多少の「御為ごかし」は必要かもしれませんが、人間ひとりでは生きていけないのだと肝に銘じ、相手を思いやる心を忘れずにいたいですね。