「悪は延べよ」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「悪は延べよ」という諺がありますが、どの様なシーンで使われているのでしょうか。
正しい意味と使い方を覚えておき、スマートに使いこなしましょう。
目次
- 「悪は延べよ」の意味とは?
- 「悪は延べよ」の読み方
- 「悪は延べよ」の英語(解釈)
- 「悪は延べよ」の反対の意味のことわざ
- 「悪は延べよ」の言葉(ことわざ)の使い方
- 「悪は延べよ」を使った例文・短文(解釈)
- 「悪は延べよ」の類語や類義のことわざ
「悪は延べよ」の意味とは?
「悪は延べよ」の意味とは、「悪いことは先延ばしにするべきである」ということです。
生きて行く上で、悪いことはしない方が良いに決まっています。
しかし悪いと分かっていながらどうしてもしなければならないこともあるでしょう。
その様な時にはなるべく先延ばしにした方が良いのです。
先に延ばしている間に状況が変わり、悪いことをせずに済む様になるかも知れません。
「延べよ」というのは「延ばしなさい」という意味で、「した方が良い」という意味ではなく「するべきである」という戒めの意味があります。
「悪は延べよ」の読み方
「悪は延べよ」は「あくはのべよ」と読みます。
書き間違いとして多いのは「悪事は延べよ」と「悪は述べよ」です。
後者の場合、「悪いことは早く告白するべき」という意味で使う人もいますが、間違いです。
「悪は延べよ」の英語(解釈)
「悪は延べよ」に対応する英語のことわざはありません。
その通りに英訳をするのですが、英語と日本語ではニュアンスが違うので、かなり長くなります。
“Don't hasten into action when you have doubts. ”となります。
意味は「疑いを持っているならば、行動を急いではいけない=悪いと思ったら踏みとどまるべき」と解釈します。
言葉の長さを考えると「悪は延べよ」がいかにシンプルで的確に意味を伝えているかが分ります。
「悪は延べよ」の反対の意味のことわざ
「悪は延べよ」の反対の意味のことわざは「善は急げ」です。
意味は、「良いことはすぐにでも行うべきである」ということです。
良いと思ったらすぐに行動しないと、ベストなタイミングを逃してしまったり、面倒くさくなってしまったりしてしまいます。
実は「善は急げ」と「悪は延べよ」は元々同じ出典であり、全文で「善は急げ、悪は延べよ」となっています。
仏教の経典の一節に、「善を為すのを急げ。悪から心を退けよ。善を為すのにのろのろしたら、心は悪事をたのしむ」という文があります。
ここから「善は急ぎ、悪は退ける=遠ざける」という意味で使われる様になりました。
現在では「善は急げ」と「悪は延べよ」とバラバラに使われることもあり、それぞれ意味も通じますが、元々は2つの意味を対比させた文であることを覚えておきましょう。
「悪は延べよ」の言葉(ことわざ)の使い方
「悪は延べよ」の使い方には以下のポイントがあります。
- 悪は犯罪のことだけではない
- ものごとが起きる前に使う
- 目上の人に対して言う時には注意する
悪は犯罪のことだけではない
「悪は延べよ」の「悪」というと事件性のある犯罪ではないかと思う人もいるでしょう。
しかしこの場合の「悪」とは、様々な悪い状況を意味しているのです。
例えば、出掛ける用事があるけれども台風が来ている場合、無理にでも出かけていくことは状況の悪さであり「悪」を意味します。
「悪は延べよ」の意味に習うと「天気が悪い時に無理に出かけて行くべきではなく、回復するまで待てるものは待ってスッキリとした気持ちで出かけた方が良い」ということになります。
もちろん人をだましたり傷つけたりする様な犯罪は典型的な「悪」ですが、日常の様々な悪い状況を含めて「悪を延べよ」と使うことを覚えておきましょう。
ものごとが起きる前に使う
「悪は延べよ」は戒めの言葉ですので、誰かが悪い状況に陥りそうだと思った時に未然に防ぐ為に使います。
既に行動に移してしまった後で使ってもことわざの意味が生かされないので注意しましょう。
目上の人に対して言う時には注意する
ビジネスなどで、状況が悪いと分かっていてもしがらみや将来性を考えて必要悪として行動しなければならない場合もあります。
よく知らないで目上の人に対して「悪は延べよじゃないですか」などと言ってしまうと反感を買ってしまうので、状況を把握した上で使う様にしましょう。
「悪は延べよ」を使った例文・短文(解釈)
「悪は延べよ」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「悪は延べよ」の例文1
- 「悪は延べよ」の例文2
- 「悪は延べよ」の例文3
「悪は延べよ」の例文1
「彼氏と別れ話をするのは明日にしたら? 悪は延べよで気が変わるかもよ」
ケンカをした勢いで彼氏と別れ話をしようとしている友達への言葉です。
一晩冷静に考えれば気が変わって別れるのをやめようと思うかもしれないと考えているのです。
「悪は延べよ」の例文2
「旅行のキャンセルはギリギリまで待とう、悪は延べよで仕事が終るかも知れない」
楽しみにしていた旅行が仕事の都合で行けなくなりそうな状態です。
しかしキャンセルの受付期間ギリギリまで粘り、仕事が終るかどうか頑張ってみようと思っていることを表しています。
「悪は延べよ」の例文3
「悪は延べよというから退職届を出すのを待っていたら、嫌な人が異動になった」
人間関係で悩んで会社を辞めたいと思っていたけれども退職届を出すのをためらっていたら、嫌な相手が異動になり、辞める必要がなくなったことを表しています。
「悪は延べよ」の類語や類義のことわざ
「悪は延べよ」に似た意味のことわざを紹介します。
- 「急いては事を仕損じる」【せいてはことをしそんじる】
- 「待てば海路の日和あり」【まてばかいろのひよりあり】
- 「騒ぐ烏も団子一つ」【さわぐがらすもだんごひとつ】
「急いては事を仕損じる」【せいてはことをしそんじる】
「焦って行動すると正しい判断ができずに失敗する可能性が高い」という意味です。
ものごとに取り組む時には落ち着いて、よく考えて行動しなさいというアドバイスです。
「待てば海路の日和あり」【まてばかいろのひよりあり】
「低気圧で海が荒れている時には待っていれば、やがて晴天がやってきてスムーズに出航できる日が来る」ということから、「悪い状態の時にはチャンスが来るまで待っていた方が良い」という意味で使われます。
「悪は延べよ」と意味合い的に最も近いことわざと言えます。
「騒ぐ烏も団子一つ」【さわぐがらすもだんごひとつ】
このことわざは、原文が「騒ぐ烏も団子一つ、騒がぬ烏も団子一つ」で省略した言葉になります。
同じカラスでも団子1つに対して騒ぐものと黙っているものがいることから、「騒いでも騒がなくても結果は同じ、人生は決まっている」という意味になります。
「悪は延べよ」は犯罪をするなと言っているのではなく、悪い状況の中で無理に行動しない方がいいという意味です。
「それはやっちゃダメだよ」と直接言うよりも遠まわしで意味を伝えているので、角が立たずに済みます。
あまり深く考えずに、日常会話で友人をたしなめる意味で使いましょう。