「度を越す」の意味とは?類語や英語、使い方や例文を紹介!
「度を越す」という言葉がありますが、どんなときに使いますか?また、「こす」という漢字はなぜ、「超す」ではなく「越す」と書くのか、気になったことはないでしょうか。
ここでは「度を越す」という言葉についてご紹介していますので、以前から気になっていた、あるいはこのたび調べてみようと思った、という方はぜひ一読ください。
目次
- 「度を越す」の意味とは?
- 「度を越す」の読み方・漢字
- 「度を越す」の英語
- 「度を越す」の言葉の使い方
- 「越す」と「超す」の使い分けはある?
- 「度を越す」を使った例文・短文
- 「度を越す」の類語や類義の表現
「度を越す」の意味とは?
「度を越す」とは、通常考えうる範囲をこえて物事をすること、やりすぎてしまうこと、という意味があります。
たとえば飲み会などで、酒に強くないのだからこのくらいでやめておけばいいのに、それ以上に飲んで、嘔吐したり悪酔いしたりする人がいるとすると、この人は「度を越す」ほどにアルコールを摂取してしまった、ということになります。
「度を越す」の読み方・漢字
「度を越す」は、「ど(を)こ(す)」と読みます。
「度」という漢字には、長さの基準や、物の数量や大きさの単位を示したり、器量、きまりのことなどさまざまな意味を持ちますが、ここでは「限度」「程度」などに使われる「度」と同じく、ほどあい、という意味で使われています。
「越」という漢字も、中国における春秋時代の国名や地方、種族を表すなどさまざまな意味を持っていますが、ここでは単に、こえること、という意味で考えます。
「度を越す」とは、ほどほどのところをこえていること、という意味だとわかります。
「度を越す」の英語
「度を越す」をそのまま訳そうとすると難しいですが、「やりすぎる」という言葉に言い換えるとわかりやすくなります。
英語でやりすぎるというと、“to go too far”というフレーズを思い浮かべられるかと思います。
また、“get carried away”は、興奮のあまりやりすぎる、という意味からも「度を越す」を表す語句とわかります。
「度を越す」の言葉の使い方
「度を越す」は、「○○は度を越す」「度を越した○○」というように、対象となる言葉があると伝わりやすくなります。
○○になにが入っているかによっても、それについての標準的な程度が変わってきますし、人によっても能力に差があり、「度を越す」ほどがどれくらいなのかに差が出るともいえます。
「越す」と「超す」の使い分けはある?
「越す」は境界を過ぎた向こう側へ行くこと、通り過ぎること、時の経過などに使われ、「超す」は上回ること、抜きん出ること、といった場合に使われます。
「度を越す」という言葉は、抜きん出る、というよりも、限度と思われるところを通り過ぎてしまう、という意味あいで使われる言葉のため、「超す」ではなく、「越す」というのだと理解できます。
「度を越す」を使った例文・短文
では次に、「度を越す」を使った例文を見ていきましょう。
具体的な例文を見ておくと、より理解が深まります。
- 「度を越す」の例文1
- 「度を越す」の例文2
- 「度を越す」の例文3
「度を越す」の例文1
「課長のセクハラと取れなくもない度を越したジョークに、会場は静まりかえった」
差別的な発言や配慮を欠く発言は、それがいくら本気でなくても人格を疑われるものです。
奇をてらった言動で注目を浴びたい、という人はすくなからずいるようですし、さらにタチが悪いのは、それが配慮を欠くものだと自覚していない場合といえます。
理知的な大人として、「限度」や「節度」を身につけておくことは最低限、必要なスキルでしょう。
「度を越す」の例文2
「彼女の度を越えたわがままにはついていけない」
信頼している証といえるのかもしれませんが、恋人に対して傍若無人にふるまうことはやはりいいことではありません。
相手の懐に入るためのわがままよりも、相手を尊敬し、尊重することで信頼関係を深めていくことができれば、ふたりの絆はよりたしかなものになるのではないでしょうか。
「度を越す」の例文3
「初めての海外旅行でたが外れ、度を越す暴飲暴食をくりかえし、三キロ太って帰国した」
飲食以外にも、大量の買いものをしたり、高級エステなどについ浪費してしまった、という経験がある方もおられるでしょう。
日頃、抑圧された環境にいる、と感じている場合にはとくに、仕事や勉強、日々の問題から離れ、知人もいない土地で「度を越」えた言動をしてしまう、という人は多いかもしれません。
「度を越す」の類語や類義の表現
最後に「度を越す」の類語表現を見ておきましょう。
ここでは三つの類語表現を挙げて、多角的に見ていきます。
- 「羽目を外す」【はめをはずす】
- 「激化する」【げきかする】
- 「過ぎたるは及ばざるが如し」【すぎたるはおよばざるがごとし】
「羽目を外す」【はめをはずす】
「羽目」とは、馬の口に噛ませておく「馬銜(はみ・はめ)」から転じた言葉、といわれています。
口につけた「馬銜」を外すと馬が自由になり走り回ってしまう、というところから、「羽目を外す」とは、調子に乗って手がつけられなくなる、ということを意味する言葉として使われています。
「宿題をしなければならないのはわかっていたが、夏休みが始まると羽目を外して遊びまわり、気づくと残り一週間になっていた」
「激化する」【げきかする】
エスカレートする、高じる、などの言い換えができる言葉で、以前にくらべ、はげしくなることを意味します。
なかでも、ひどくなる、という方向へのはげしさ、つよさが増すときに使われることの多い言葉です。
「抗議デモが激化し、暴動が起きるのを危惧して事前に武装警察を配備していた」
「過ぎたるは及ばざるが如し」【すぎたるはおよばざるがごとし】
やりすぎるのは、やらなさすぎるのと同じように結果としてよくないもので、物事にはほどほどを見極めることが肝要、という意味の言葉になります。
研究など、「過ぎる」までやることが重要になる分野もあるかもしれませんが、適度に休憩や余暇を取ることで脳が整理され、新たな発想が生まれるというのは定説ですので、言い得て妙な言葉でしょう。
「君はいつも机に向かっているが、過ぎたるは及ばざるが如し、たまには外で遊んでおいで」
「度を越す」とは、やりすぎること、という意味の言葉だとわかりました。
奮起せねばならない場面ではつい「度を越」して打ち込みたくなることがありますが、自分の「限度」や周囲に対する「節度」もわきまえたうえで対応していくことができれば、やりすぎだ、とは思われずに済むのではないでしょうか。