「平静を装う」の意味とは?類語、英語や使い方、例文を紹介!
人間生きていると、「平静を装う」ということがありますが、この「平静を装う」とは、どのような言葉なのでしょう。
そういえば意味が曖昧だ、という方もまったく聞いたこともない、という方もこの機会にぜひ一読ください。
目次
- 「平静を装う」の意味とは?
- 「平静を装う」の読み方
- 「平静を装う」の英語
- 「平静を装う」の使い方
- 「平静を装う」を使った例文・短文
- 「平静を装う」の対義語
- 「平静を装う」の類語や類義表現
「平静を装う」の意味とは?
「平静を装う」の意味をご紹介する前に、「平静」と「装う」について、それぞれ意味を見ておきます。
「平静」とは、世間、態度、気持ちなどが穏やかで落ち着いていることや、そのさまを意味しています。
「装う」とはここでは、外観や表面を飾ることで、もともととは別のものに見えるようにすることを言います。
「平静を装う」とは、心の中では驚いたり悲しんだり、激情を感じているが、それらの感情をさとられないよう、表向きにはいつもどおりを振る舞う、という意味の言葉です。
「平静を装う」の読み方
「平静を装う」は、「へいせい(を)よそお(う)」と読みます。
「装」という漢字には飾る、見栄えをととのえる、といった意味があり、ここからも、「平静」という飾りで見栄えをととのえ、内面にめぐっている感情について見えないようにする、といった「平静を装う」の意味が表れてきます。
「平静を装う」の英語
「平静を装う」を英語にすると、“keep up appearances”などになります。
“appearance”とは外観を意味する英語で、外観をよく保つ、といった意味あいから、「平静を装う」にふさわしい英語となります。
ほかに、“put on a front”や、“keep one's cool”、“keep one's head”といった英語を使い分けることで、時々に応じた「平静を装う」というフレーズになります。
「平静を装う」の使い方
「平静を装う」は、日常会話の中で使うことはあまりないかもしれません。
なぜなら、「平静を装」っているときに、「平静を装」っています、と言ってしまっては、本末転倒だからです。
自分以外の人のことを、「あの人は今、平静を装っているようだね」ということは、場合によってはあるかもしれません。
多くは小説などの文章表現の中で、使ったり使われたりしているのを目にする、という形ではないかと思います。
「平静を装う」を使った例文・短文
では具体的に、どのような文章のなかで「平静を装う」が使われているのか、例文を見ていきましょう。
相手によっては、メッセージのやりとりの中などでは使えることもありそうです。
- 「平静を装う」の例文1
- 「平静を装う」の例文2
- 「平静を装う」の例文3
「平静を装う」の例文1
「あんなに顔を近づけられると思ってなかったから、平静を装ったつもりだけど、うまくいったかわからない」
恋愛ドラマなどでよくある壁ドンなどのシーンでは、お互いにどきどきしているにもかかわらず、それをさとられまいと強気になったりすることがあります。
平常心とはいえないかもしれませんが、彼らなりに「平静を装」った結果の言動であることが多くあります。
「平静を装う」の例文2
「別の友人からも聞いた話だが、平静を装い、まるで初めて聞いたかのような反応をした」
これは経験のある方も多いのではないでしょうか。
知っていると都合の悪い話に関して、知らない、聞いていない、と言ってしらを切るときには、嘘をついていることや、実は知っているのだということがばれないか、内心ひやひやしているものですが、それを表情には出さず、話を続けるとき、「平静を装」っているといえます。
「平静を装う」の例文3
「ケンカをしたあとなので平静を装っていたが、彼があまりにドジなのでつい吹き出してしまった」
この例文では最終的に「平静を装」いきれずにいます。
ケンカのあとで多いのが、本当はまだ根に持っているのに、いつまでも引きずることを嫌がられるのを避けるため、「平静を装う」というパターンです。
「平静を装う」の対義語
では次に「平静」の対義語を見ておきます。
つまり、「平静を装」っているとき、内心がどのようになっているか、を表す言葉です。
- 「動揺」【どうよう】
- 「逆上」【ぎゃくじょう】
「動揺」【どうよう】
平静を失うことや、揺れること、気持ちなどがゆらぎ、安定を失うこと、不安になること、おそれること、胸騒ぎがすること、といった意味の言葉です。
「平静を装」っているとき、人は本当はとても不安定で、揺れている可能性があります。
「外すはずがない、と思っていたシュートが外れたことで動揺し、平静を装いきれなくなった」
「逆上」【ぎゃくじょう】
頭に血がのぼること、激しい怒りや身を切るような悲しみに襲われ、頭に血がのぼったようになること、また、そのような状態のため、分別がなくなり取り乱すこと、といった意味の言葉です。
不安やおそれだけでなく、怒りや悲しみを隠すときにも、人は「平静を装」います。
「逆上すればするほど、感情に任せるのでなく、理論を貫くことで意見を通すことを考えなければならない」
「平静を装う」の類語や類義表現
では最後に「平静を装う」の類語表現を見ておきましょう。
ほかの言い方を知っておくと語彙の幅が広がります。
- 「素知らぬ」【そしらぬ】
- 「涼しい顔」【すずしいかお】
「素知らぬ」【そしらぬ】
知っているのに知らないように振る舞うことを「素知らぬ」といい、「素知らぬ顔」や「素知らぬフリ」などのフレーズでよく使われます。
「平静を装う」ではさまざまな感情を含んでいましたが、「素知らぬ」はその一部に使われる言葉、ととらえておくといいでしょう。
「彼女は社のすべてを知っているといっても過言ではないが、なにを聞いても素知らぬ顔をしている」
「涼しい顔」【すずしいかお】
自分にも関係がある内容なのに、まるで無関係であるようにしれっとしている様子をいいます。
こちらも「平静を装う」の一部を意味する言葉、と思っておくといいでしょう。
「内心では誰よりも怒りを感じているのだろうが、彼は涼しい顔をしてその場を切り抜けていた」
また、よく似た言葉に「すまし顔」というものがあり、こちらはいかにも気取っている顔、取り澄ました顔、なんでもないという顔をしていることを意味しています。
「平静を装う」とは、内心で思っていることを表に出さず、普段どおりにしていたり、なんでもない、という顔をしていることをいう言葉でした。
悲しいとき、苦しいとき、笑ってはいけないとき、喜んでいると思わせたくないとき、だれに教えられたでもなく人は、その感情をさとられまいとして、「平静を装う」生き物なのでしょう。