「ばっくれる」の意味・読み方【使い方や例文】
この言葉は、若者言葉として、既に広く定着しています。
一般的にこの「ばっくれる」という言葉については、おそらく、警察での取り調べの際の隠語が始まりで、それが一般化したものではないのかとされています。
目次
- 「ばっくれる」の意味とは?
- 「ばっくれる」の語源
- 「ばっくれる」の言葉の使い方
- 「ばっくれる」を使った例文と解釈
- 「ばっくれる」の英語と解釈
- 「ばっくれる」の類義表現
「ばっくれる」の意味とは?
「しらばくれる」という言葉が始まりです。
「しら」は「知らぬ」の「しら」、または、飾らないありのままの姿という意味での「白(しら)」とも言われます。
だから、知っていながら知らない素振りをした時、ばっくれたことなります。
高校生が学校の授業を早退してしまうとか、部活をサボる際にも使われるので、逃げるとか、その場を立ち去るという意味にもなります。
その他、他人の嘘、隠し事を見抜いた時など、「ばっくれんなよ」と非難する言葉にもなります。
「ばっくれる」の語源
既に言いましたが、もともとは「しらばくれる」です。
「しら」は「白々しい」という意味をも含み、それに「ばくれる」の「化ける」という語が連結して出来た言葉になります。
つまり、端的には「白々しく化ける」の意味になります。
それが促音化されて「しらばっくれる」に変化しました。
その後、「しら」が省略されて「ばっくれる」という若者言葉が発生、定着したことになります。
「白を切る」、「とぼける」、「知らん振りをする」といった意味で用いますので、反社会業界の言葉という印象もあります。
やや悪いイメージの言葉に聞こえます。
「ばっくれる」の言葉の使い方
「しら」を取っ払った省略形の「ばっくれる」が俗語的に頻繁に使用されていて、そうなると、「しら」の意味は無視して大丈夫という風潮になっています。
白々しいのか、知らないのか、それとも、「素」とか「原初」を表す「白」なのか、良く分からないまま使えます。
「ばっくれる」を使った例文と解釈
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
現場には、お前しかいなかったんだ。
ばっくれてんじゃねえぞ。
取り調べに当たる刑事が、容疑者に向けて放つ言葉。
テレビの刑事ものドラマでお馴染みのセリフ。
この言葉を聴いたら、そろそろドラマは終結します。
例文2
午後の授業は、この後、飯食ったらばっくれようかな。
午後の授業が退屈だし面白くなければ、学校から立ち去りたくなります。
で、部活の時間になると、学校に戻ってくる生徒もいます。
部活の監督だけは怖いので、戻る生徒がいます。
例文3
ばっくれていないで、素直に本当の気持ちを言って欲しい。
生まれながらに気が弱かったりして、なかなか正直に本当の気持ちを言えない人がいます。
そういう人に対して、勇気をもって、本当のところを発言して欲しい時、使う言葉です。
自分に正直に生きようよ、という励ましの言葉にも成り得ます。
自分の本心を隠している人は、自分に対して「ばっくれている」ことになります。
「ばっくれる」の英語と解釈
例えば、[to feign ignorance]なら、「しらを切る、素っ惚ける、そら(空)とぼける、うそぶく、知らん振りをする、知らぬ顔の半兵衛を決め込む」という意味になります。
[to evade one's responsibilities]なら、「自分の責任を回避する」ということです。
[He's not got blood enough to go in for felony with impunity. ] こちらは、「罪を犯しているのは間違いないのに、それを知らないものと、しらばっくれようにも、そうするには血の巡りが悪すぎる」という意味です。
「ばっくれる」の類義表現
- サボル
- ドタキャンする
- おとぼけに徹する
- ごまかす
- すっぽかす
- しらを切る
サボル
フランス語の「sabotage」から来ています。
本来、サボタージュとは、労働者の権利としてある争議行為のひとつです。
労働者が団結して仕事の能率を落とし、使用者側に損害を与えて紛争の解決を迫ることです。
労働者は、仕事を止め、使用者側との話し合いを求め、断交(団体交渉)で要求を勝ち取ろうと努力します。
また、サボルは、単に怠けることを意味します。
怠惰な態度を言い表しもします。
労働争議での言葉というより、単純に日常的に怠けることの意味での用法が多くなっています。
ドタキャンする
土壇場でキャンセルする意味です。
時間ギリギリになって、約束の待ち合わせ場所に行けなくなったと連絡するような時に使います。
待ち惚けを食った側からすると「ドタキャン」されたことになります。
なお、キャンセルという英語を使う例文なら、「He canceled on me at the last minute.」になります。
スラングなら、「flake on/back out」です。
おとぼけに徹する
「とぼける」ことに「御」を付け、可笑しさを増幅させます。
「お」は、駄目であることを強調する接頭辞という感じになります。
英語表現なら「on't play dumb.」になり、これを直訳すると、「馬鹿の振りをするな」です。
徹底的に馬鹿を演ずることが、謝罪会見などでは高等テクニックになります。
お笑い芸人が良く使う手法です。
ごまかす
こちらは「誤魔化す」から来ています。
語源的には二説あります。
ひとつ、祈祷の際に焚く「護摩(ごま)」に接尾語「かす」が付き、「ごまかす」になったとする説。
もうひとつの説は、弘法大師の護摩の灰と偽る詐欺商法かあり、その販売行為を、世間が「ごまかす」と言ったというもの。
すっぽかす
「すっぽかす」の「すっ」は接頭語。
「素っ放かす」とも書きます。
約束事や仕事など、義務を果さないで放置することを言います。
「約束をすっぽかす」、「当番をすっぽかす」のように使われます。
しらを切る
知っていながら知らぬという素振りを貫き通すこと。
白が知らぬの意であれば、白は当て字。
また、白々しいの白は、真面目とか正義という意味にもなります。
そして、切るについては、啖呵を切る、見得を切ると一緒で、目だった態度、目立った口調を表しています。
大袈裟に、知らぬという素振りを演じ切ることになります。
素直に正直に本当のことを言わない人に対して、「ばっくれるな」という言葉が放たれます。
この言葉は、相手を強めに罵倒する言葉になっています。
一方で、自身「ばっくれちゃおうかな」と言えば、悪意のある「すっぽかし」になります。
思いの他、類義表現が多いのは、消極的な退避行動の多い日本文化に起因しているのかも知れません。