「ポシャる」の意味・読み方【使い方や例文】
途中で何かが駄目になると誠に残念なものですが、「ポシャった」という表現ですとユーモア精神が加わり周囲を和ませます。
この言葉は果たして、最近になって生まれた若者言葉なのでしょうか。
既に昔からある言葉だとしますと、どのような背景で生まれた言葉なのでしょうか。
目次
- 「ポシャる」の意味とは?
- 「ポシャる」の語源・由来
- 「ポシャる」の使い方
- 「ポシャる」の例文と解釈
- 「ポシャる」のフランス語とその解釈
- 「ポシャる」の類義表現
「ポシャる」の意味とは?
一般的な用法としての「ポシャる」とは、予定や計画が途中で取り止めになること。
駄目になること、潰れることを意味しています。
何かが駄目になった時、「失敗しちゃった」と暗い気持ちで落ち込むより、「ポシャる」という表現ですと、何となく明るい気持ちでいられます。
暗く沈みがちになる気持ちを緩和させます。
この言葉は、芸能界など、特殊な業界用語、または、最近の若者言葉のようにも聞こえますが、実は、広辞苑にも掲載されている言葉になります。
「ポシャる」の語源・由来
「ポシャる」の語源は、フランス語で帽子を意味する「chapeau」(シャッポ) からです。
「シャッポ」の倒語が「ポシャ」であり、更に、これが動詞化されて「ポシャる」という言葉が生まれました。
シャッポを脱ぐ、つまり、帽子を脱ぐこと、兜を脱ぐことは「降参」です。
降参するという意味が広義に解されて、取り止めになる、駄目になるといった意味で使われるようになりました。
「ポシャる」の使い方
ちょっとした予定が無くなってしまった時、または、ずっと準備計画してきたことが取り止めになった時など、幅広く使える言葉です。
仏和辞典、フランス語サイトなどによると、相手の言動に感服した際、手を頭に触れさせて帽子を脱ぐようなポーズをするようです。
そういう格好のまま、「シャポー・バ」と言うと、それが「凄い」とか「参った」という意味のジェスチャー表現になります。
「ポシャる」の例文と解釈
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「あのイベント、ポシャっちゃったんだね」
ある物事、事象が取り消しとか、無くなってしまった時に使います。
駅前の商店が倒産した際など、「あの店、ついにポシャっちゃった」となります。
無くなってしまったという意味では、「楽しみにしていた明日のデートなのに、ポシャっちゃった」というのも同様です。
例文2
「事故で車がポシャった」
こちらは、物が破壊された時の表現です。
かすり傷ではなく、車が動かなくなった場合に用いられます。
通常表現としては、かすり傷程度なら、車がポシャったことにはなりません。
例文3
「事業計画を立てたのに、結局、ポシャった」
時間をかけて準備してきた大きな計画が途中頓挫した時の言葉になります。
将来的な夢の達成が駄目になった時の表現です。
とても残念な気分のはずですが、必要以上に落ち込まず、今後に向けて再スタートしようという感覚になれそうな言葉です。
前向きになれそうな言葉です。
「ポシャる」のフランス語とその解釈
フランス語で「シャポー(帽子)を脱ぐ」というのは、「enlever son chapeau」(オンルベー・ソン・シャポー)と表記されます。
enleverは脱ぐ、sonは英語のmy、hisにあたる所有形容詞です。
ただし、これだけでは、単に被っていた帽子を脱ぐという行動を意味していて、これが即、「降参」ということにはなりません。
「降参」を示す「シャッポを脱ぐ」という表現にしたければ、「mettre chapeau bas」(メットル・シャポー・バ)になります。
これは、慣用句でもあって、相手に敬意を表して脱帽するという表現にもなります。
「ポシャる」の類義表現
- 「オジャン」になる
- 「お釈迦」になる
「オジャン」になる
語源は江戸時代、江戸で有名な火事の際の「半鐘」から出た言葉と言われています。
当時、江戸が火事になると、火消し方は「半鐘」を叩いて、それを知らせていました。
その叩き方には決まりがあり、鎮火の後は、ゆっくり「ジャン・ジャン」と叩きます。
そこから、「ジャン・ジャン」は物事の「終わり」の合図になりました。
それが転じて「物事が駄目になる」という意味になり、更には、手短に「オジャン(おじゃん)」と言うようになりました。
「お釈迦」になる
ひとつ目の説として、ある鋳物屋が地蔵(阿弥陀像という説あり)作りを注文されたのに、間違えて釈迦像を作ってしまったという話があります。
そういう話を起源とする説があります。
もうひとつ、4月8日のお釈迦様の誕生日との関係を云々する説があります。
こちらは、大正時代から昭和にかけて、まだ技術的に未熟だった製鉄工場で不良品を沢山出してしまったことに由来するとされます。
失敗の原因は「火が強かった」からなのですが、現場の職人が江戸っ子のため、「ヒ」が「シ」になりました。
江戸職人が「シガツヨカッタ」と発音して、それが「シガツヨウカ(4月8日)ダ」と、周囲には聞こえました。
4月8日はお釈迦様の誕生日です。
そこから、洒落で「お釈迦」と言うようになったという説も有力です。
帽子、即ち、「シャッポ」。
帽子を脱ぐ、兜を脱ぐことは降参です。
こちらの「シャッポを脱ぐ」は、今後時間の経過とともに使用頻度が落ちるものと予測されます。
今日、殆ど耳にしなくなっています。
しかし、「ポシャる」は、業界用語的な逆さ言葉の時流に乗ったこともあり、今後、完全に日本語として定着するのかも知れません。