「八百長」の意味・類語【使い方や例文】
「八百長」という言葉からは悪いイメージを想像する人が多いでしょう。
それだけにこの言葉を使う時には注意が必要です。
「八百長」の意味や由来、使い方について以下に紹介します。
目次
- 「八百長」の意味とは?
- 「八百長」の語源や由来
- 「八百長」の言葉の使い方
- 「八百長」を使った例文・短文(解釈)
- 「八百長」の英語と解釈
- 「八百長」の類語や類義表現の言い換え
- 「八百長」の対義語
「八百長」の意味とは?
まずは「八百長」の読み方や意味について紹介します。
- 「八百長」の読み方
- 「八百長」の意味
「八百長」の読み方
「八百長」は「やおちょう」と読みます。
「八百」は「八百屋(やおや)」と同じで「やお」と言います。
「八百長」の意味
「八百長」とは「勝負事において事前に打ち合わせをしておき、勝敗が既に決まっている状態で試合をすること」です。
あたかも真剣勝負の様に見せかけて周囲の人をだまし、約束した通りの結果にする様に仕向けるのです。
八百長をするのは選手だけとは限らず、審判や付き人、運営スタッフが様々な形で勝負運びを計画することがあります。
八百長が行われる場合には、誰か強い権力者が圧力をかけていたり、勝ち負けを賭けに使われていたりすることが多く、負けた方は多額のお金が貰える様になっています。
応援している人への裏切りであり、スポーツにありがちな行為です。
「八百長」の語源や由来
「八百長」というのはとてもユニークな言葉ですが、実は人名が由来で、「八百屋の長兵衛」という人から付けられています。
明治時代に、八百屋の店主をしていた長兵衛という人がいました。
彼は当時有名だった相撲取りの「伊勢の海」と囲碁仲間だったのです。
長兵衛は実際には伊勢ノ海よりも囲碁が上手だったのですが、伊勢ノ海のご機嫌を取る為にいつもわざと負けていたと言われています。
しかしその後、囲碁のプロである「本因坊秀元」と勝負をした時に互角に対戦したことから、長兵衛は囲碁が強かったことが発覚しました。
このことからわざと勝負に負けることを「八百屋の長兵衛」と呼び、それが略されて「八百長」になったと言われています。
現在では「八百長」は囲碁だけではなくさまざまな勝負事で使われる様になっています。
「八百長」の言葉の使い方
「八百長」は、様々な勝負事で不自然に思った時に使えます。
- 強い相手があっさり負けた時
- 強い人が記録を作った時
- ビジネスの場で
強い相手があっさり負けた時
「八百長」は現在ではスポーツで行われるケースが多くあります。
団体競技よりも個人競技の方が設定し易く関係者が少ない分周囲にバレにくくなります。
地方予選から本大会まで順調に勝ち上がり、実力から見ても「この人が優勝するに間違いない」と思っている人が簡単に負けてしまうことがあります。
応援していた人から見れば普段の実力を出していれば勝てた試合なのに、あまりにもあっさりと負けてしまうので違和感を覚えるでしょう。
その様な時に「八百長じゃないの」と使います。
強い人が記録を作った時
それまで連勝を続けてきた人がいて、記録達成まであとわずかな時に、体調が悪くなったりケガをしてしまうことがあります。
それでもどうしても勝ちにこだわりたい時に、対戦相手に負けて貰う様に頼み込むのです。
周囲から見れば強い人が勝てばあまり違和感を感じず、盛り上がることになります。
後から負けた対戦相手やスタッフが「あれは八百長だった」と告白するケースもあります。
ビジネスの場で
ビジネスの場では「八百長」ではなく「出来レース」と呼ばれることがあります。
コンペで競う為に各参加者が一生懸命プレゼンをするのですが、最初から誰が選ばれるか決まっていることも多いのです。
単にイベントとしてプレゼンをするだけで、上層部では知っている人も多いのです。
但しこの場合本人には知らされていないこともあり、時間が経ってから「八百長だった」と知らされます。
「八百長」を使った例文・短文(解釈)
「八百長」を使った例文と、シチュエーション別の解釈について紹介します。
- 「八百長」の例文1
- 「八百長」の例文2
- 「八百長」の例文3
「八百長」の例文1
「八百長が発覚して会長が辞任した」
スポーツにはそれぞれのジャンルにより協会があり、会長や理事が取り仕切っています。
大会で八百長があったことが発覚すると、その責任は八百長をした人やチームが負うだけでは済まないことがあります。
組織ぐるみで八百長をしていたと分かった場合、トップである会長が辞任することも多くあるのです。
「八百長」の例文2
「勝つにはもう八百長でもするしかない」
大会も段々とカードが進んでいくに従い、強い相手が残ってくるものです。
準決勝、決勝と必ず残る人がいて、その中の誰かが優勝することがほとんどです。
たまにその時調子が良くて勝ち進んできましたが、段々と相手のレベルが高くなり簡単には勝てなくなります。
特にそのジャンルで有名な人が対戦相手になると、ついこの様な愚痴をこぼすこともあるでしょう。
「八百長」の例文3
「会社のゴルフコンペは毎回八百長ばっかりで興味がない」
会社でゴルフコンペが行われると、従業員は皆社長や役員に遠慮して負けることが慣例になっています。
うっかり勝ってしまうと後々にらまれることになり、とんでもない地方に転勤を言い渡されるかも知れません。
それでもほぼ強制参加なので仕方ないのですが、毎回多くの従業員からこの様な不満が出るのです。
「八百長」の英語と解釈
「八百長」は英語では“fixed game”と言うのが一般的です。
“fixed”というのは「固定する」という意味で、その試合の結果が決まっていることを表すのです。
"“I think that game was fixed! ”(あの試合は八百長だろう!)となります。
他にも“fixed match”という言い方もあり、“fixed game”と同じ様に使えます。
「八百長」の類語や類義表現の言い換え
「八百長」は独特な言葉で、同異義語というのは少なくなります。
- 「出来レース」【できれーす】
- 「結託」【けったく】
- 「内通」【ないつう】
「出来レース」【できれーす】
既に出来上がっているレース、つまり「やる前から勝ち負けが決まっていること」を意味します。
こちらはスポーツやギャンブルだけではなく、試験やビジネスでの競争でも使われます。
「結託」【けったく】
「お互いに同じ目的に対して協力して悪さをすること」を意味します。
「八百長」よりも汚職など一般的な不正に使われます。
「内通」【ないつう】
「味方の中に敵がいて重要な情報を流していること」を意味します。
こちらも「八百長」よりも「裏切り」「漏えい」の意味が強くなります。
「八百長」の対義語
「八百長」の対義語には以下のものがあります。
- 「 真剣勝負」【しんけんしょうぶ】
- 「ガチンコ」【がちんこ】
「 真剣勝負」【しんけんしょうぶ】
武士が木刀ではなく本物の刀で勝負することを意味します。
そこから「非常にまじめで集中している勝負」を表す様になりました。
「ガチンコ」【がちんこ】
相撲の稽古で力士同士が激しくぶつかり合う時に「がちん」と音がすることから来ています。
それだけまじめに勝負をするという意味に使われます。
「八百長」は良い意味ではないので、当事者に聞こえる様な言い方は避けましょう。
勝った方だけではなく負けた方も不正をしていることになりますので、この言葉を言う時にはある程度証拠を掴んでからにした方が良いでしょう。