「補って余りある」の意味・読み方・英語【使い方や例文】
この「補って余りある」という慣用句は、一度は見たり聞いたりしたことがあるでしょう。
その響きから、何となく意味が分かりそうなものですが、詳しい説明となると、そこまではできないという人も多いのではないでしょうか。
目次
- 「補って余りある」の意味とは?
- 「補って余りある」を分解して解釈
- 「補って余りある」の使い方
- 「補って余りある」を使った例文と解釈
- 「補って余りある」を英語で表現すると?
- 「補って余りある」と似ている表現や間違えやすい表現
「補って余りある」の意味とは?
補って余りあるとは、「損失を被ってしまった分を補填でき、且つ余剰分まで発生する(くらいの)嬉しい状況」を表す慣用句です。
余剰分に関しては、ほとんど発生していなくても構いませんが(損失分は完全に補填できていることが条件です)、それほど嬉しい状況だということを表現すると考えてください。
- 「補って余りある」の読み方
「補って余りある」の読み方
「補って余りある」は、「おぎなってあまりある」と発音します。
そのまま使うことがほとんどで、応用形としての使っている例はほとんど見掛けません。
使われ方としては、「〜ほどの」、「〜くらいまで」といった表現をよく見掛けます。
「補って余りある」を分解して解釈
この慣用句は、2つの言葉からできています。
その2つの言葉の意味から、慣用句として成り立つまでの解釈を見ていきます。
- 「補って」【おぎなって】
- 「余りある」【あまりある】
「補って」【おぎなって】
「補う」とは、不足した分を補填することを意味する言葉です。
補填の「補」が入っていることで、見ただけでそうと解釈できます。
活用形の多い言葉ですが、「補って」とすることで、「補填できて(その上で)」という意味になります。
注意点として、「補ってください」などと使う時には意味が異なるので注意してください。
「補って」の次に全く違う言葉を繋げることで、この慣用句で使っている意味になります。
「余りある」【あまりある】
「余りある」は、「余剰分まで発生する(ほど)」と解釈します。
これも、「余」の文字から想像できます。
上にも書きましたが、「〜ほど」、「〜くらい」という言葉を後ろに付けて使うことの多い慣用句なので、この「余りある」で終わっていると考えていいでしょう。
「補って余りある」の使い方
補って余りあるは、そのようなことがあり、非常に嬉しい時にこそ使います。
もしくは、そういったことだと傍から思った(感じた)場合にも使うことができます。
ギャンブルが好きな人だと、この慣用句は日常的に使う機会があるでしょう。
例えば、競馬で前のレースで3千円を負けてしまい、次のレースで5千円の利益が出た時など、正に「補って余りある配当」となった訳です。
「補って余りある」を使った例文と解釈
補って余りあるという慣用句は、日常的に使うものでもないので、実際にそれほど見たり聞いたりする機会はないかも知れません。
使われる際には、これらの例文のようなケースが多いと言えるでしょう。
- 「今期は前期の損失を補って余りあるほどの増収だった」
- 「さすがに補って余りあるとまでは言えないが、そこそこ回収できてよかった」
- 「これだけの利益を出せば、充分にこの前の損害を補って余りあるぞ」
- 「これだけ売上げが伸びれば、子会社の分まで補って余りある」
「今期は前期の損失を補って余りあるほどの増収だった」
お店や会社などで使われる例です。
こういう時にこそ使う慣用句なので、この使い方は大変適切な表現になります。
「さすがに補って余りあるとまでは言えないが、そこそこ回収できてよかった」
これは、そこまではいかなかったという例で使っている表現です。
損失を完全に埋めることまではできなかったながらも、それなりに納得できるところまでは何とかなったという場合を表しています。
「これだけの利益を出せば、充分にこの前の損害を補って余りあるぞ」
「〜ほど」、「〜くらい」と使わない例でもあります。
この使い方は、それができてとても嬉しいという様子がよく分かります。
補って余りあるという表現は、単に(損失を)補えただけでなく、いわゆる「お釣り」がくるほどまで(補填できた)というところがポイントになっている慣用句です。
「これだけ売上げが伸びれば、子会社の分まで補って余りある」
「補って余りある」で締め括っても構わないという例文です。
この七文字で1つの慣用句ながら、それで文章を終わらせてしまっても全く問題ありません。
「補って余りある」を英語で表現すると?
補って余りあるという慣用句は、英語では“more than makes up for”、または“more than compensate for”と表現します。
共に“for”の後に、何(どんな損失)を補填できたのかを付け加えて使います。
“more than makes up for his misstake”であれば、“his misstake”(彼の失敗)を補うことができたという意味になります。
「補って余りある」と似ている表現や間違えやすい表現
この「補って余りある」と似ている使い方をする慣用句、また、見た目はよく似ていますが、意味は全く異なる慣用句を紹介します。
これらも一緒に覚えておくと、知識の幅が広がるというものです。
- 「充分過ぎるほど」【じゅうぶんすぎるほど】
- 「察するに余りある」【さっするにあまりある】
「充分過ぎるほど」【じゅうぶんすぎるほど】
「十分過ぎるほど」と表現されることも多いですが、「充てることができる(できた)」という意味から、「充」の方でも間違いではありません。
(どちらでも構いません)
「充分」が「満足できる」ところまで(補填できた)を表現し、「過ぎるほど」は、「それを超えるほど」という意味です。
このような解釈から、「補って余りある」とほとんど同じように使える表現だと分かります。
最後の「ほど」は「くらい」に置き換えても構いません。
これらは前述のように、「補って余りある」の後ろに付けて使うことも多く、このような表現には付きものの言葉だと言うことができます。
「察するに余りある」【さっするにあまりある】
この慣用句は、「想像も付かないほど」という意味で使います。
「察するに」は「想像できる範囲」、「余りある」は「それを超えて」と解釈し、「想像できる範囲を超えている」という解釈になります。
使い方としては、かなり辛い思いをした人を対象した例では、「あの人の辛さは察するに余りある」といった形になります。
この表現を使う時には、「〜ものがある」と締め括ることが多く、あくまで想像の範疇ながら、それほどのことだろうと思った時に使ってください。
悲しいシチュエーションに対して使われることが多い慣用句の為、「補って余りある」が喜びを表現するのとは、全く逆の使い方をすると覚えてください。
補って余りあるは、それだけのことがあったと簡単に表現できる慣用句です。
詳しい意味や使い方を詳しく覚えておいて損になることはないでしょう。