「切羽詰まる」の意味・類語・対義語【使い方や例文】
「切羽詰まる」という言葉は、日常会話でもビジネス会話でも時々使われる言葉です。
しかし、その語源など、この言葉について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、「切羽詰まる」という言葉について詳しく解説していきます。
目次
- 「切羽詰まる」の意味とは?
- 「切羽詰まる」の語源や由来
- 「切羽詰まる」の言葉の使い方
- 「切羽詰まる」を使った例文・短文(解釈)
- 「切羽詰まる」の英語
- 「切羽詰まる」を敬語に直すと
- 「切羽詰まる」の類語
- 「切羽詰まる」を使った言葉と意味を解釈
「切羽詰まる」の意味とは?
「切羽詰まる」は、物事がさし迫り緊迫する、窮地に立たされ追いつめられる、切り抜けることができなくなる、という意味を持つ言葉です。
逃げ場が絶たれ、追い込まれてどうにもならない状況を表す時などに使われ、期限が差し迫っていて後がない状態や、心の余裕が全く無くなり気持ちが張り詰めた状態、逃げ場がなく精神的に追い詰められた状態を意味します。
ビジネスシーンでは、納期などの期限が迫っているにもかかわらず作業が捗っていない場面や、売り上げが思わしくなくこのままでは店舗を閉鎖しなくてはいけないといった深刻な場面で使われます。
- 「切羽詰まる」の読み方
「切羽詰まる」の読み方
「切羽詰まる」は、「せっぱつまる」と読みます。
「切羽」という漢字を見ただけで即座に「せっぱ」と読める人は少ないでしょう。
「切羽」は「きりは」と読まれることもある言葉ですが、「切羽詰まる」の場合には、「せっぱ」と読まれます。
「切羽詰まる」の語源や由来
「切羽詰まる」の「切羽」というのは、日本刀に付いているパーツの名称です。
日本刀の柄と鞘の接点にあり、楕円形をした薄い金属でできていますが、このパーツが詰まって刀が抜けなくなることがあります。
刀を抜かなくてはいけない切迫した状態で刀を抜くことができなくなると、逃げることも戦うこともできず、窮地に立たされてしまいます。
そのことから、追い詰められて窮地に立たされる、逃げ場がなくどうにもならないといった状況を表す言葉として、「切羽詰まる」が使われるようになったと言われています。
「切羽詰まる」の言葉の使い方
「切羽詰まる」は、どうにもならない、切り抜けることができない、といったように、もう後がない状態を表す言葉ですが、次のような2つの場面で使われることが多い言葉です。
1つは、精神的に追い込まれたり、気持ちに余裕がなくなるなど、メンタル面で追い詰められている状態を表す場合、もう1つは、期限に追い詰められている状態を表す場合です。
「切羽詰まる」を使った例文・短文(解釈)
「切羽詰まる」の意味や使い方を解説してきましたが、では、具体的にはどのような文章で使われるでしょうか?より一層理解を深められるように、この言葉を使った例文を挙げて解説します。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
取引先から指定された納期が3日後に迫っているというのに、納品する製品に重大な欠陥が見つかりました。
この切羽詰まった状況を打開するため、社員が一丸となって、昼夜を問わず作業を続け、困難な状況を乗り切れたのです。
(この文章では、期限に追い詰められている状況を「切羽詰まる」という言葉で表しています。
「尻に火が付いた」という言葉で表すこともできるでしょう。)
例文2
勤めていた会社をリストラされ、失意のどん底にいた私に更なる不幸が降りかかりました。
結婚の約束をしていた彼から、突然別れを切り出されてしまったのです。
40代で仕事も婚約者も失い、まさに切羽詰まった状況に陥ってしまいましたが、それでも何とか新しい道を見つけようと日々模索をしているところです。
(この文章では、精神的に追い詰められている状況を「切羽詰まる」という言葉で表しています。
「崖っぷちに立たされる」という言葉で表すこともできる文章です。)
例文3
彼は私との待ち合わせ場所に来るなり、「ごめん。
ちょっと待ってて」
と言って駅のトイレに駆け込んで行きました。
いつも温厚で笑顔を絶やさない彼ですが、この時ばかりはとても固い表情をしていたので、余程切羽詰まった状況だったのでしょう。
(この文章では、気持ちに余裕がない状況を「切羽詰まる」という言葉で表しています。)
「切羽詰まる」の英語
「切羽詰まる」は日本における武士の社会から生まれた言い回しですが、英語にも似たような表現はあります。
「切羽詰まる」を英訳する時には、be driven into a corner(行き詰まる、絶体絶命)や、be driven to the wall(窮する、しのぎがつかない)、be in a fix(身動きが取れない、にっちもさっちもいかない)などの言い回しが使われています。
「切羽詰まる」を敬語に直すと
「切羽詰まる」は、「行く→いらっしゃる」、「食べる→召し上がる」、「見る→ご覧になる」のように、尊敬語になると言い方が変わる言葉ではありませんので、目上の人の様子を表現する時には、「切羽詰まったご様子」のような表現を使うとよいでしょう。
「切羽詰まる」の類語
「切羽詰まる」の類語としては、「尻に火が付く」、「崖っぷちに立たされる」、「逃げ場を失う」といった言葉が挙げられます。
それぞれの言葉の意味を詳しく解説していきましょう。
- 「尻に火が付く」【しりにひがつく】
- 「崖っぷちに立たされる」【がけっぷちにたたされる】
- 「逃げ場を失う」【にげばをうしなう】
「尻に火が付く」【しりにひがつく】
物事が差し迫って追い詰められる、窮地に立たされ後がない状況を意味する言葉です。
試験勉強が捗らずに時間だけが過ぎて、十分な準備ができないまま試験当日を迎えてしまった時や、営業会議で使う資料の準備を先延ばしにしていた結果、1日ですべての資料を纏め準備しなくてはいけなくなった時などに使います。
「崖っぷちに立たされる」【がけっぷちにたたされる】
もう後がない切迫した状況に追い込まれる、危機的な状況に追い詰められる、窮地に追い込まれる、といった意味合いを持つ言葉です。
そして、この言葉は、精神的に追い込まれて思い詰めた様子や、悲壮感が漂う様子を表す時にも使われます。
「逃げ場を失う」【にげばをうしなう】
精神的に追い詰められる、思いつめる、といった意味合いを持つ言葉です。
「土俵際に立たされる」とも言い換えることができる言葉で、窮地に追い詰められて、もうどうしようもない、なすすべがない危機的な状態を表す時に使われます。
「切羽詰まる」を使った言葉と意味を解釈
「切羽詰まる」を使った言葉としてよく見聞きする表現に、「切羽詰まる表情」、「切羽詰まる状況」が挙げられます。
それぞれどのような意味があるかを解説します。
- 切羽詰まる表情
- 切羽詰まる状況
切羽詰まる表情
逃げ場を失って追い詰められた表情を表しています。
心に余裕がなく、思い詰めた表情のことで、悲壮感が漂う表情と言い換えることも出来ます。
身の回りでそのような表情をしている人を見かける機会は多くはありませんが、映画やドラマでの演技を思い起こせばイメージしやすいでしょう。
切羽詰まる状況
会社の存続がかかっている重要な会議に間に合うかどうかという緊迫した状況にもかかわらず、道路が大渋滞してなすすべがない状態や、出張先から戻る飛行機が大雪で何日も欠航になってしまい、自分の結婚式に出席できるか分からなくなったといった深刻な状況に陥ってしまった時などに使われます。
又、出先でトイレに行きたくなり、最寄りのトイレに駆け込んだら長蛇の列が出来ていた。
夏に水着を着るために5キロのダイエットをしたいと思っているのに、6月の時点で全く体重が減っていない。
などのような致命的とまではいかない状況を表す時に使われることもあります。
「切羽詰まる」という言葉について深く掘り下げて解説してまいりましたがいかがでしたか?この言葉の由来を知っている人はそれほど多くはないと思われますので、会話の中などで、豆知識として披露するのもよいでしょう。
人は、切羽詰まった状況下に置かれると、驚くほど大きな力を発揮したり、思いもよらないアイデアが思い浮かんできたりすることがあります。
そういった「火事場の馬鹿力」を発揮することができるので、切羽詰まった状況を歓迎する人もいます。