「総領の甚六」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「総領の甚六」の意味や類語を紹介します。
さらに「総領の甚六」の使い方や、「総領の甚六」を使った例文を紹介して行きます。
目次
- 「総領の甚六」の意味とは?
- 「総領の甚六」の類語や言い換え・似た言葉
- 「総領の甚六」の言葉の使い方
- 「総領の甚六」を使った例文
- 「総領の甚六」を分解して解釈
「総領の甚六」の意味とは?
「総領の甚六」という言葉を知っているでしょうか?
それほど有名な言葉ではないので、知らないという人の方が多いかもしれません。
ただし、言葉としては有名でなくても、「総領の甚六」という言葉が意味する事は、現代にも通用する普遍的な事だと言えます。
「総領の甚六」という言葉とその意味を知ると、自分の周囲に「総領の甚六」のような人がいる事に気が付くかもしれません。
人を見る目が養われて、人生が豊かになるでしょう。
そこで「総領の甚六」という言葉の読み方と意味を紹介して行きます。
- 「総領の甚六」の読み方
- 「総領の甚六」の意味
「総領の甚六」の読み方
「総領の甚六」は「そうりょうのじんろく」と読みます。
「総領」は「そうりょう」、「甚六」は「じんろく」です。
特に「甚六」は人の名前ですので、読み間違えやすいと思います。
これを機会に「総領の甚六」を「そうりょうのじんろく」と読む事を覚えておきましょう。
「総領の甚六」の意味
「総領の甚六」にはどのような意味があるでしょうか。
「総領」とは、家名を注ぐ事を義務付けられている人の事を言います。
基本的には長男の事を指し、その家で初めて生まれた子どもが総領になります。
次に「甚六」ですが、これは人の名前です。
「甚六」には、お人よし、さらには愚か者の代名詞のような名前になっています。
そのため「総領の甚六」は、「愚か者の長男」という事になります。
長男や長女は、その家にとって初めての子供なので、大切に育てられる傾向があり、おっとりした子供や、世間知らずの子供、さらには愚かな子供が多いという意味があります。
みなさんも周りにも、「総領の甚六」だと感じる人がいるでしょうか。
「総領の甚六」の類語や言い換え・似た言葉
「総領の甚六」の類語や、言い換えられるような似た意味の言葉には、どのようなものがあるでしょうか。
同じような意味を持つ言葉を紹介して行きます。
2-1 「温室育ち」【おんしつそだち】
「温室育ち」は、いつも快適な温度に管理された温室のような温かい環境で、苦労せずに育てられた人の事を言います。
おだやかないい子に育ちますが、世間の荒波にもまれると苦戦して、絶望してしまう人も中にはいます。
大切に育てるのもいいけれど、ひ弱に育てるのは良くないという意味が込められています。
「箱入り娘」【はこいりむすめ】
「箱入り娘」は、大切に箱に入れて育てられたような子供、特に娘の事を言います。
「箱入り娘」は「総領の甚六」のように、おっとりとして世間知らずな事が多いので、良くない男性に騙されてしまうなど、大きくなった後で苦労する事も多いと言われています。
「世間知らず」【せけんしらず】
「世間知らず」という言葉もあります。
親から守られて、大切に育てられると、世間の世知辛さを知らずに育つ事になります。
結果的に、大人になって世間に出る必要が出た時に、苦労する事になります。
もちろん「世間知らず」だから、全員苦労するわけではなく、徐々に世間に慣れて成功する人もいるでしょう。
とはいえ、「総領の甚六」のように、「世間知らずだから使えない」と思われる人もたくさんいます。
「総領の甚六」の言葉の使い方
「総領の甚六」という言葉をどのような場面で使えばいいでしょうか。
「総領の甚六」には、長男や長女は、世間知らずで愚かな子供が多いという意味がありますので、そのように思える人を見た時に使うようにしましょう。
例えば、自分の会社の跡取りになりそうな、社長の息子がいるとします。
この息子が長男で、さらに頼りなく愚かな感じがする時に、「総領の甚六」という言葉を使う事ができます。
「わが社の跡取りは、どうやら『総領の甚六』のようだ」という感じです。
自分の子供や、知り合いの子供にも「総領の甚六」はいるかもしれません。
さらには自分が長男だった場合は、自分の事を「総領の甚六」と言いたくなるかもしれません。
このように「世間知らずで、おっとりしている、愚かな長男や長女」をみつけた時に、「総領の甚六」という言葉を使ってみましょう。
「総領の甚六」を使った例文
「総領の甚六」を使った、例文を紹介します。
様々な場面における、「総領の甚六」を使った例文を見る事で、「総領の甚六」の使い方が分かりやすくなるかもしれません。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
ビジネスシーンにおける「総領の甚六」を使った例文を紹介します。
「今度、新卒で入った新人は、専務の息子らしい。『総領の甚六』で、全然使えないと評判だ。うちの部署に来たら、扱いに困るな」、「取引先の企業の社長は、先代の跡取り息子で『総領の甚六』だと言われている。無事に取引が成立するかどうか、心配だ」、「君は長男か。『総領の甚六』と呼ばれないように、しっかり仕事を頑張りたまえ」などです。
仕事ができないのが、長男として育ったからだと言われると、全国の長男は腹立たしいと思います。
そう思われないためにも、次男や次女に負けないようにしましょう。
例文2
恋愛の場面における「総領の甚六」を使った例文を紹介します。
「私の彼は『総領の甚六』なの。いい人なんだけれど、お人よしだから、結婚相手としてはどうかと思っている」、「次のお見合いの相手は『総領の甚六』よ。家柄はいいし、跡取り息子なんだけど、バカっぽい子なのよ。あなたが気に入るかどうか心配だわ」という感じです。
結婚相手として「総領の甚六」はどう映るでしょうか。
財産次第ではありなのかもしれません。
例文3
日常生活における「総領の甚六」を使った例文を紹介します。
「どうも、あのバイトはふわふわしていると思ったら、『総領の甚六』か。
次からは次男次女からバイトを選ぼうかな」、「彼は『総領の甚六』のように見えるけど、しっかり仕事を頑張る努力家だよ」、「私は『総領の甚六』と呼ばれるのが嫌で、他の人に負けないように努力を続けてきました。
結果として、上場企業の社長になる事ができました」などです。
「総領の甚六」と呼ばれないように頑張る事が、仕事のモチベーションになるかもしれません。
「総領の甚六」を分解して解釈
「総領の甚六」を分解して解釈していきます。
「総領の甚六」は「総領」と「甚六」にわける事ができます。
それぞれの言葉の意味を知る事で、「総領の甚六」という言葉の意味がより深く理解できるかもしれません。
- 「総領」
- 「甚六」
「総領」
「総領」は、その家の跡取りになる人の事を言います。
日本では古来、その家の長男が総領になるという取り決めがありますので、「総領」は「長男」という事になります。
「甚六」
「甚六」はそれだけで、「愚か者」「お人よし」「のんびりしている」という意味がある言葉です。
「甚六」は、「甚だしいろくでない」という言葉を縮めて、人の名前にしたものです。
「甚だしい」の「甚」と、「ろくでなし」の「ろく」が「六」になり、合わせて「甚六」となります。
さらに「順禄」という言葉があり、こちらは順番通りに家督を継ぐという意味があります。
「順禄」に愚かな長男を意味する「甚六」という言葉が当てられて、現在の「甚六」という言葉が生まれたと考えられます。
「総領の甚六」という言葉の意味や使い方を見てきました。
長男や長女だから、愚かな子供が多いという偏見を含んだ言葉ですが、あなたがもし長男や長女だったら、この言葉を覆すように頑張って欲しいと思います。