「陥穽」の意味とは?使い方や例文、英語を紹介!
世の中には、人を貶めるがための罠が仕掛けられています。
「オレオレ詐欺」を筆頭に、街頭でのアンケートやモニターと称しての商品の契約販売など、慣れた手口で、言葉たくみに罠へと引き込みます。
それ以上にネット上では、ネットサーフィンを重ねる内に、闇のサイトにつながれていたり、知らぬ間に、怪しいサイトの会員になっていたりと、無数の落とし穴が、口を開いて待っています。
目次
- 「陥穽」の意味とは?
- 「陥穽」の言葉の使い方
- 「陥穽」を使った例文
- 「陥穽」の英語
- 「陥穽」を使った言葉と解説
- 「陥穽」の語源
- 7「陥穽」の類語と意味
「陥穽」の意味とは?
大きく二つの意味があります。
一つは、イノシシなどの獣の通り道に穴を掘って、その上を木の枝や葉っぱ、砂などで覆い隠し、落とし穴があるとは知らずに、その上を通る獣を穴の中に転落させて、捕獲する狩猟方法の一つを表しています。
そこから転じて、対象となる人物に対してわなを仕掛け、穴に落ちる、つまりは、失敗をさせたり、恥をかかせたりして、失墜させる、あるいは、悪巧みや悪の計略に落とし込むことを指している言葉でもあります。
- 「陥穽」の読み方
「陥穽」の読み方
初めて見るような漢字ですが「かんせい」と読みます。
一字目の「陷」は「陥没」(かんぼつ)「陥落」(かんらく)などにも使われていますので、すぐにでも読めそうです。
問題は「穽」の読みです。
「穽」(せい)訓読みでは(おとしあな)が、読みにくいかもしれません。
他ではあまり目にしない漢字だけに、読みづらいと思います。
「陥穽」の言葉の使い方
狩猟の意味で使う場合には、「裏山に、陥穽を仕掛ける」などのように「落とし穴」を「どうする」という使い方をすればよいので簡単です。
一方、策略の意味で使う場合には、策略する側からは「陥穽を仕組む」、策略される側からは「陥穽に陥る」などと、前後の言葉が変わるので、注意が必要です。
いずれにせよ、両方とも、名詞扱いにして使う点は、同じです。
「陥穽」を使った例文
- 「陥穽」の例文1
- 「陥穽」の例文2
- 「陥穽」の例文3
「陥穽」の例文1
仲間内で、雑談からどう発展したものか、イノシシを捕まえて猪鍋を作ろうということになったので、みんなで、裏山の獣道に、陥穽を造り、イノシシが掛かるのを、わくわくしながら待ちました。
「陥穽」の例文2
芸能人Aの週刊誌に書かれたスキャンダルは、巧妙に仕組まれた陥穽に落とされた結果をスクープされたようで、本当のところは、どうなのかは、あやしいものです。
「陥穽」の例文3
A社へ出向する話は、陥穽とは知りながらも、社の存続のためには仕方のないことと自分に言い聞かせて、断腸の思いで納得し、陥穽に陥る自分を他人のように感じながら、長年勤めた社屋を後にした。
「陥穽」の英語
いくつかの英訳例があります。
“pit”(あな)“pitfall”(落とし穴)とありますが、一番適するのは“trap”(わな)です。
米国などでは、組織を巻き込んでの大がかりな“trap”(わな)が仕組まれて、政府の要人が、陥穽に陥れられることは、日常茶飯事のようです。
その意味からも「trap」と英訳するのが、適切です。
「陥穽」を使った言葉と解説
- 「陥穽にはまる」【かんせいにはまる】
- 「陥穽に陥る」【かんせいにおちいる】
- 「陥穽の計にはまる」【かんせいのけいにはまる】
「陥穽にはまる」【かんせいにはまる】
相手が仕掛けた計略に、注意をしていたのに、ちょっとした不注意で、まんまと引っかかってしまうことをいいます。
対象人物が男性である場合には、十中八九、女性が関係しています。
俗に言う「ハニートラップ」です。
日本では、古来、「色仕掛け」と呼んでいた罠です。
「はまる」ですから、計略に陥る、まさに、泥沼にはまり込んで身動きが取れなくなった状態を言います。
対象相手の失脚をねらって、組織ぐるみで仕掛けられた陥穽であれば、到底、見つけることや気付くことはできないでしょう。
「陥穽に陥る」【かんせいにおちいる】
仕掛けられた陥穽の罠に、はまることをいいます。
それも「陥る」ですから、簡単には救いようのない状況になってしまい、そこからすぐには抜け出せそうにもない状態をいいます。
注意をしていてはまるのではなく、いきなりはまるのですから、まさしく落とし穴に落ちるのと同じようなものです。
「陥穽の計にはまる」【かんせいのけいにはまる】
うまく仕掛けられたくわだてやはかりごとに、見事にひっかかることで、ネット上に無数に仕掛けられた怪しいサイトへといざなうトラップに、まんまと引き込まれるのと同じようなものです。
強力な攻撃アイテムを難なく手に入れて喜んでいたら、使う度に、課金が減るシステムだったりする例のようなものです。
「陥穽」の語源
「陥」は、「?」(かん)が音を表していて「穴に落ちる」の意から、高い所から下に落ちることを意味します。
「穽」は、「井」(せい)が音を表し、「落とす」を意味する「墜」からきている文字で、落とし穴を意味しています。
両方共に「穴に落ちる」ことを意味する漢字から「陥穽」は出来ているので、必然的に、「落とし穴」を意味する言葉となります。
そこから、わなをかける、人をおとしいれるわなをかけるの意味を生じてきました。
7「陥穽」の類語と意味
- 「嵌められる」【はめられる】
- 「画策」【かくさく】
- 「権謀術数」【けんぼうじゅっすう】
- 「策を弄する」【さくをろうする】
「嵌められる」【はめられる】
相手の仕掛けた計略に落とし入れられて、だまされたり、不利な立場に立たされたりすることを言います。
計画通り、予定通りの状況にターゲットを立たせることから、あたかも何かをきちんとはめ込むようなという意をこめて「はめる」という言葉を使います。
「画策」【かくさく】
本来は、計画を立ててその実現に努めることをいいますが、あまりよい意味では使わずに、どちらかといえば、好ましくないという方向で使います。
つまり、はかりごとを企て、いろいろと方策を練ることを指した言葉です。
「裏で、こそこそと画策する」のように、陰にこもった感じで、策を練る姿が想像され、加えて少人数で画策する様子が感じられる言葉です。
「○○会の年次総会が、滞りなく済むように、あれこれ裏で画策する」のように、何かしらこそこそとしたイメージがつきまといます。
「権謀術数」【けんぼうじゅっすう】
巧みに人を欺く数数の計略や策略を言います。
あらゆる手段や手練手管を使ってまでも、相手を何とか陥れようとする強い敵意が感じられる言葉です。
必要なまでに、相手を陥れることに策を練る執念までもが感じられる四字熟語です。
「策を弄する」【さくをろうする】
ああでもない、こうでもないと、いろいろと策略をめぐらし。
相手を貶めることをいいます。
こんなに策を練られたのでは、無防備に過ごしている貶められる対象者が、計略に引っかかるなど、当然のことと思えてきます。
「弄する」には、「もてあそぶ」という意味もあって、直訳すると「いろいろと策略をもてあそぶ」となって、まるで貶めることを楽しんでいるかのようにも感じられます。
人を貶めるために罠をしかけるという意味のある「陥穽」を調べてみると、類する言葉の何と多いことか、その数と表現の多様さには驚かされます。
逆の見方をすれば、それだけ、他人を失脚させたり、失墜させたりすることやそう願うこと、実際に行動に移すことが、世の中に多いかということでもあります。
ひとつでも、一段でも、人よりも高いところに位置したいという、人間の奥深い欲が生んできたと思われる言葉の数には、驚かずにはいられません。
ハニートラップは、世界的なニュースにもなりました。
人種や言葉、国や性別による違いも無く、他人を貶める行動をとる人間の本能的な感情にも驚きを隠せません。