「倦厭」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「倦厭」は認知度の低い熟語のため、本来なら「倦厭」の使用が最適な場面でも、違う言葉があてがわれているケースも多々見受けられるものです。
「倦厭」を使いこなせる様になると、これまで以上に正しい表現が可能となるでしょう。
目次
- 「倦厭」の意味とは?
- 「倦厭」の類語や言い換え・似た言葉
- 「倦厭」の言葉の使い方
- 「倦厭」を使った例文と解釈
- 「倦厭」の英語
- 「倦厭」を使った言葉と意味の解釈
- 「倦厭」と敬遠の違い
「倦厭」の意味とは?
なんでも同じ事を繰り返していると、飽々してイヤになってくるものです。
倦厭とは、まさに同じ事が続くことにあきてイヤになってしまったり、うんざりするという意味があります。
倦という漢字にも、また厭にも「あきる」という意味があるので、倦厭とは同じ意味の漢字を重ねた熟語だと言えるでしょう。
- 「倦厭」の読み方
「倦厭」の読み方
倦厭は、けいえんと間違えられる事もありますが「けんえん」と読みます。
倦は音読みでは「けん」となり、訓読みだと「う(む)」「あ(きる)」「あ(ぐむ)」「つか(れる)」という複数の読み方がある漢字です。
また厭は音読みでも「えん」「おん」「よう」という3つの読み方の他、訓読みでは「いと(う)」「あ(きる)」「いや」「おさ(える)」と多くの読み方をする事が出来ます。
これまでに上げた読み方を見ても分かる通り、倦は「けい」と読みません。
ですから「けんえん」という読み方をしっかり覚えておきましょう。
「倦厭」の類語や言い換え・似た言葉
倦厭と同じように、あきてイヤになるという意味を持つ言葉は、他にもいくつかあります。
倦厭は決して一般的に認知されている言葉ではありませんが、類語や言い換えに適した言葉の中には、よく耳にする言葉もあるでしょう。
それでは、いくつかの似た言葉を紹介していきます。
- 食傷
- 倦怠
- 飽きる
食傷
食傷は主に3つの意味を持っています。
まずは、読んで字のごとく「しょくあたり」という意味です。
傷んだ食べ物を口にすると、高い確率でお腹を壊すでしょう。
しかし、上記の意味だけではなく、食傷には「同じ事の繰り返しで飽きたりイヤになる」という意味があるのです。
少し意味が違いますが、同じ食べ物をとり過ぎて飽きてイヤになるという意味も持っています。
2番目に紹介した意味が、倦厭に最も近いと言えるでしょう。
倦怠
倦怠というと、夫婦間の倦怠期を真っ先に頭に思い浮かべる人もいるでしょう。
倦怠には、物事に飽きてイヤになるという意味があります。
倦怠期は、まさしく夫婦がお互いに飽きてイヤになる時期なのです。
物事に飽きてイヤになるという意味で、倦怠と倦厭は似ていると言えます。
飽きる
飽きるは誰でも知っている言葉でしょう。
その意味は、倦厭とほとんど同じだと考えても問題なく、言い換えとして使用する事も可能です。
同じ物事が続いてイヤになるという意味では、倦厭と同じなのですが違いもあります。
「飽」と「倦」に焦点をあててみると、飽は満たされるという意味がある漢字なのに対して、倦は同じ事に接し続けて疲れうんざりするという意味合いが強いのです。
このように飽きるは、もう十分過ぎるほど与えられた結果「あきてイヤになる」というニュアンスだと覚えておきましょう。
「倦厭」の言葉の使い方
倦厭は品詞の種類でいうと名詞になります。
しかし、使い方としては「する」と合わせて「倦厭する」という動詞的な使用方法が多いでしょう。
使い方のポイントは、やはり「繰り返しや同じ事が続き」その結果として「あきる」「イヤになる」「うんざりする」場合に使うという事です。
ですから活字が好きではない人が、数十分しか読書をしていないのに本に飽きてうんざりする様な場合は、倦厭するという使い方は相応しくありません。
「倦厭」を使った例文と解釈
普段活字に親しみがないと、倦厭という熟語には馴染みがないものです。
そのため、倦厭と別の言葉を間違えて覚えている人も少なくありません。
例文を見ながら、その正しい意味や使い方、その内容を解釈していきましょう。
- 「倦厭」の例文1
- 「倦厭」の例文2
- 「倦厭」の例文3
「倦厭」の例文1
「彼の自慢話には、皆が倦厭している」
この例文では倦厭が使われる事によって、彼が何度もしつこく自慢話をしている事が分かります。
それは、倦厭が何度も同じ事を繰り返した結果、飽きてイヤになるという意味を持っているからです。
つまりこの例文は、彼が同じ自慢話を何度も繰り返すため、まわりの人は飽々しうんざりしてしまっている情態だという意味になります。
特に文脈から「うんざり」している様子が窺えるでしょう。
「倦厭」の例文2
「倦厭な日常から抜け出して旅に出る」
この例文では、「倦厭な」が日常という単語を修飾しています。
つまり倦厭な日常とは、同じことの繰り返しで刺激がない生活の事だと言えるでしょう。
同じ毎日に飽々して、イヤになり旅に飛び出した事がよく分かる文章です。
「倦厭」の例文3
「ずっと同じような景色ばかりで倦厭していたところに、一軒の洋館が現れた」
倦厭したという言葉は、このように同じ景色が続いてあきてイヤになった場合にも使用可能です。
同じ事柄に接し続けて飽々したり、うんざりする状況なら倦厭という言葉を使うに適しています。
「倦厭」の英語
倦厭の英語バージョンには“tired of”や“sick of”を使用するのが一般的でしょう。
“sick of”の方が、うんざりするというニュアンスが強い英語になります。
“weary”にも飽々する、うんざりするという意味がありますが、こちらは疲れたというニュアンスが強めです。
英語でもこのように、細かなニュアンスは異なるので状況に合わせて使い分けるようにしましょう。
「倦厭」を使った言葉と意味の解釈
倦厭を使った言葉は、思い浮かばない人の方が多いでしよう。
確かに倦厭は、普段一般的に使用される言葉ではありません。
数少ない倦厭を使用した言葉とその解釈を見ていきましょう。
- 「倦厭の情」
- 「倦厭り」
「倦厭の情」
倦厭の情もその意味は、倦厭とほぼ変わりません。
同じ言葉として見なす事も可能です。
情という言葉がプラスされる事によって、単純に「倦厭」とするよりも飽きてうんざりする心の動きを表現する事が出来ます。
同じ事柄に接していく事により、心が動く様を表したいのなら倦厭の情としてみるのも良いでしょう。
「倦厭り」
我慢出来ないほどイヤになってしまう心の様子をうんざりと言う言葉で表す事があります。
通常、この「うんざり」は平仮名で表すものです。
しかし、中には「倦厭り」と書いて「うんざり」と読むケースも存在しています。
そもそも「うんざり」という言葉は「倦ずあり(うんずあり)」が由来です。
「倦」と「厭」の意味を考えても倦厭りと書いて「うんざり」と読んでも間違いとは言えないでしょう。
ただし、他の漢字をあてて「うんざり」と読んでいるケースもいくつかあります。
ひとつの知識として「倦厭り」も覚えておくと良いでしょう。
「倦厭」と敬遠の違い
倦厭と敬遠は読み方が似ている為、意味を混同されがちです。
しかし、その2つの意味は全く異なり敬遠は「表面的には敬う態度を取りつつ、実際にはかかわりを持たないこと」「かかわりを持たないようにする為に物事を避けること」といった意味になります。
ですから倦厭の同じ事柄に接して飽々してイヤになる、うんざりするといった意味とは違う事が分かるでしょう。
敬遠もよくその使い方を間違えられる熟語です。
倦厭と同様に、適切な場面で正しい使い方をする様に注意してください。
倦厭は同じ読み方の熟語、敬遠のように似た音の熟語が多数あります。
その意味は、同じ事が続き飽きてイヤになる、うんざりする事だと覚えておきましょう。
正しい意味を覚え、他の熟語と混同してしまわない様にしたいものです。