「睥睨」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
私達は、とれほど日本語を知っているでしょうか?
日本語には、色々な種類の言葉が存在しており、中国から伝播してきた故事や四字熟語があったり、海外から輸入されたようなカタカナ語、ネットスラングのようなニッチな用語までと多岐に渡っています。
最近は漢字検定などもあってか、難しい漢字の言葉もあるのですが、「睥睨」という言葉を知っている人は、どれくらいいるでしょう?
目次
- 「睥睨」の意味とは?
- 「睥睨」の類語や言い換え・似た言葉
- 「睥睨」の言葉の使い方
- 「睥睨」を使った例文
- 「睥睨」の英語
- 「睥睨」の語源や由来
- 「睥睨」と見下すの違い
- 「睥睨」を使った言葉と意味の解説
「睥睨」の意味とは?
「睥睨」という言葉を使える人は、20代、30代の若い世代の中にはほとんどいないのではないかと思います。
「睥睨」とは、「流し目でじろりと見ること」という意味があるのですが、この意味から転じて、「(相手を威圧するように)周囲を睨み回すこと」を指しています。
あたかも鋭い目付きだけで見る人を圧倒させてしまう力を持っている人のことになるでしょう。
まさに「眼力の持ち主」と言えるなのかもしれませんが、仕事をしている中でも、目付きだけで相手を威圧してしまう力を持っている人がいます。
そのような人達の仕草は、「睥睨」という言葉が最も適しているのかもしれませんね。
- 「睥睨」の読み方
「睥睨」の読み方
「睥睨」は、「へいげい」という読み方になりますが、この読み方できる人は、本当にすごいとしか言いようがありません。
「睥睨」の類語や言い換え・似た言葉
では、この「睥睨」という言葉を他の言葉で言い換えるならば、どんな言葉が類義語として当てはまるでしょうか?
- 「権勢を振るう」
- 「幅を利かせる」
「権勢を振るう」
「睥睨」のように「睨み付ける」という直接的な意味ではありませんが、「力を握っていて威勢のいいこと」という解釈で類義語として挙げることができるでしょう。
「睥睨」も「周囲を睨み回す」ことから、「睨みを効かす」というニュアンスを持つことから、「権勢を振るう」という理解ができます。
「権勢を振るう」とは、「強大な権力を欲しいままにする」ということになるので、一国の独裁者的な大きな力を持つことになります。
人類の歴史を振り替えって見ると、このような人がたくさんいることを私達は知っています。
「幅を利かせる」
「幅を利かせる」という言葉も「睥睨」の同義語として挙げられると思います。
「勢力をふるう」、「威張ること」、あるいは「思いどおりに振る舞うこと」といった意味がありますが、「彼は最近、偉くなったことで、かなり幅を利かせている」というような使い方になります。
「睥睨」の言葉の使い方
「睥睨」という言葉は、普段の生活の中での日常会話で使うことはありませんし、ビジネスの世界でも、この言葉を用いる場面があったとしても、使える人がそんなにいないのではないでしょうか?
もし、「うちの部長はいつも睥睨しているな」
と言っても、「なんのことだ?」と首を傾げる人ばかりではないでしょうか?
「睥睨」を使った例文
では、「睥睨」という言葉を使うのであれば、どのような場面で当てはめることができるのか、例文を見ていくことにしましょう。
- 「睥睨」の例文1
- 「睥睨」の例文2
- 「睥睨」の例文3
「睥睨」の例文1
「町田駅近辺のバーやカフェなどの中では、店の一角を陣取っている2、3人が人通りを行き交う人達を睥睨しているのが分かるのです」
今風に言えば、「ヒューマンウォッチ」ないしは「人間観察」とでも言うのでしょうか、このような仕草をしている人がいます。
でも、その時の目付きは、とても鋭いのかもしれません。
「睥睨」の例文2
「天下を制した将は、高いところから天下の民を睥睨するような人である」
これも高い場所からきつい眼光で多くの民を睨み回しているということになりますが、その一方で民を見守っているという理解もできることでしょう。
「睥睨」の例文3
「刑事のように人通りの少ない場所から睥睨している」
犯人を探しているために、常に眼を光らせているのでしょうが、あまりにも鋭い目付きなので、すぐにバレてしまうのではないでしょうか?
「睥睨」の英語
「睥睨する」という言葉を英語で表現するなら、“glareat”や“look contemptuousl yat”となります。
また、「天下を睥睨する」という文章を英訳するなら、“lord it over the world”と訳します。
「睥睨」の語源や由来
「睥睨」の語源を見てみると、「睥睨」の中に含まれている「睥」には「身体を低くかがめて覗くこと」とい意味があります。
また、「睨」にも「子どものような目つきで下から睨(にら)むこと」というニュアンスを持っていますが、どちらの文字にも、「睨むこと」や「横目で見る」、「斜めに物を見ること」と言うように「睨み」と意味がさらに強まってきます。
「睥睨」は、睥が膰(へい)に通ずることから、古い城の上の垣根も「睥(膰)睨」と呼称して、高い所から敵の様子を伺いながら、「隙あらば敵を打ってやる」と睨みを利かしている状態から、今のような解釈で使われるようになっていったと考えられています。
「睥睨」と見下すの違い
「睥睨」は、「(相手を威圧するように)周囲を睨み回すこと」という意味から、「見下す」という表現も同義語のような印象を覚えます。
しかし、「見下す」とは、「上から人や物事を見下げる」という意味合いがあるために、「偉そうな姿勢や気持ちで、相手を馬鹿にしながら見ている」という感じがあります。
一方の「睥睨」は、「きつい眼光で見回す」ということになりますが、決して人を卑下するような思いはありません。
「睥睨」を使った言葉と意味の解説
では、「睥睨」を使った言葉をもう少し見ていくことにしましょう。
- 「天下を睥睨する」
- 「壁を睥睨」
「天下を睥睨する」
「将軍は、国全国を平定して、天下を睥睨するようになったのです」
いつの時代でも全国を平定して治めるのに、敵と戦い多くの犠牲を払ってきたことでしょう。
しかし、国全体を統一することは、並大抵のことではありませんし、平定した後の方が、さらに大変になるはずです。
戦が無くなり、落ち着いた世の中を政治で平和な時代にしなくてはならないからです。
歴史でも引き合いに出させるのが、徳川幕府で、徳川家康が全国統一を果たした後は、2代将軍の徳川秀忠に政治を任せます。
将軍を譲った後でも、大御所としてしばらくは政治を影から操っていた家康も最後は死してもなお、日光の代権現様として、世の中を見張っていたのです。
これこそ、まさに「睥睨」という言葉が当てはまるのではないかと思うのです。
「壁を睥睨」
「人の眼は限られた条件でも、暗い壁を睥睨することができる」
このような言い方の中には、人の眼は肉眼だけではなく、「心の眼」で物事を見ることができるということを言っているような気がします。
いわゆる「心眼」というものですが、人が物事を観察してその動きなり、状況を把握するためには、物事の表面的なことだけを見ていては、真の姿を捉えることはできないということになります。
物事には必ず因果応報という法則に基づき成り立っているので、その奥に存在している深い意味を把握して理解することができて初めて、本当の真実に触れることができるのです。
そのためには、「睥睨」という行動が必要不可欠になるのかもしれません。
「睥睨」という言葉を調べていくうちに、いかに日本語には、まだまだ知らない言葉が数多く残されていることを痛感してしまいます。
最近では、IT系の仕事がとても人気が集まっていますが、このような「睥睨」という言葉を知らなくても支障はありません。
しかし、私達は古い言葉の奥に隠されている意味をしっかりと理解することで、先人達が作り上げてきた歴史の重みを知ることにもなるのではないかと思います。