「破落戸」の意味とは?読み方、類語や使い方、例文を紹介!
難読漢字クイズに出されそうな「破落戸」という言葉があります。
その実体は難読にありがちな、我々がよく目にし知っているものです。
本項では読み方に留まらず、意味や由来も併せて解説していきます。
目次
- 「破落戸」の意味とは?
- 「破落戸」の類語や言い換え・似た言葉
- 「破落戸」の言葉の使い方
- 「破落戸」を使った例文
- 「破落戸」の英語
- 「破落戸」の語源や由来
- 「破落戸」の漢字はなぜこんな読みづらい?
「破落戸」の意味とは?
元々の意味は「どこに住んでいるのかも分からず、定職についてもいないような不審な者」の事を指し、さらに辺りをうろついて人々を脅かし、金品を強奪したりする者を特にこう言います。
また自身が暴力に訴えなくとも、売春斡旋や町のみかじめ料、不当なサービス料請求(ぼったくり)などの、いわゆる民事介入暴力を行う者についても現在ではこう呼ぶ事があり、いずれにせよ破落戸は反社会的な存在であるとされています。
- 「破落戸」の読み方
「破落戸」の読み方
読み方には「ごろつき」「ならずもの」の二通りがあります。
というよりも、異なる二種類の言葉をまとめてこの一語で表しており、読み仮名が付かない限りは、どちらとして発音するか正確にはわかりません(項でさらに述べます)。
ごろつきはならずものの言い換えに過ぎないので、どう読もうと意味自体は変わりません。
「破落戸」の類語や言い換え・似た言葉
- 「賊徒」【ぞくと】
- 「チンピラ」【ちんぴら】
- 「与太者」【よたもの】
- 「ボウフラ野郎、野良犬」【ぼうふらやろう、のらいぬ】
- 「無頼漢」【ぶらいかん】
「賊徒」【ぞくと】
詐欺や窃盗などを生業とする者を総じて賊と呼びます。
こうした者達はその性質上、市井を堂々と闊歩したり定住したりする事が困難なため、おのずと破落戸における「不定住の不審者」の定義を満たす場合が多いと言えます。
「チンピラ」【ちんぴら】
程度の低い事を表す「ちんけ」と、平社員などの「ひら」が結びついた言葉です。
一般的には暴力団などの反社会勢力に属する、末端の構成員の事をこう呼びます。
ちんけ自体がそもそも暴力団から生まれた言葉であり、その語源はさいころ賭博における1の目(ちん)からだと言われています。
「与太者」【よたもの】
「与太話」「与太郎」など、「与太」には「馬鹿なこと、いい加減なこと」という意味があります。
与太者もこれらの言葉同様、単に愚かなものを指す場合がありますが、特にやくざな者や暴れん坊、周囲に害をなす荒くれ者の事を言います。
「ボウフラ野郎、野良犬」【ぼうふらやろう、のらいぬ】
その有様を他の生物になぞらえた例です。
ボウフラは水溜りがあれば、不潔だろうと小規模だろうとどこにでも発生してしまいます。
そこから、何か金目の話が出るとどこからともなく湧いてくる怪しい者をボウフラ野郎と呼びます。
また定住、定職を持たない人を蔑んで、野良犬と呼ぶ事もあります。
「無頼漢」【ぶらいかん】
無頼とは頼むものがない、つまり自分の力だけをあてにして生きる人の事を言いますが、これには二通りの解釈があり、社会においてのその人の立場が大きく異なります。
まずは言葉通りに、人に甘えないで自分で道を切り開こうとする者。
これは元々人付き合いが苦手だったり、他者に迷惑をかけまいとしての生き方であったりと理由は様々ですが、さほど人々から敵対視される事もありません。
一方、自分だけをあてにするという事は、他者を省みないという場合もありえます。
そうした者はやはりならず者の烙印を押され、社会に仇なす生き方をしていく事になります。
「破落戸」の言葉の使い方
江戸時代を舞台にした時代劇や、中世ヨーロッパ的なファンタジー作品にはよく登場しますが、現代ではほぼ暴力団関係者を指す言葉となっています。
その辺をうろついていてもそれは単なる浮浪者ですし、貧しさのあまり盗みを働いたとしても、困窮して思わず手を出してしまったのならまた話も違ってきます。
破落戸には、常日頃から意識して恐喝や窃盗、暴力を行う不定住の者、という意味が特にあり、これが現代では一般的に反社会勢力の者を指す理由の一つと言えそうです。
「破落戸」を使った例文
読みやすくするために「ごろつき」「ならず者」と区別して表記しています。
- 「破落戸」の例文1
- 「破落戸」の例文2
- 「破落戸」の例文3
「破落戸」の例文1
「喧嘩に明け暮れているあの若者は、普段は場末のごろつき長屋に隠れているらしい」
「破落戸」の例文2
「税金の使い方もはっきりせず、国民の負担を増やす事ばかり考えているようでは、政治家というよりまるでごろつきではないか」
「破落戸」の例文3
「月夜の晩に、一台の馬車がならず者に取り囲まれた」
「破落戸」の英語
- rogue
- blackmailer
- rascal
- hooligan
rogue
英語では最も一般的なのがこの「ローグ」のようです。
主な意味は悪党、悪漢ですが、「群れからはぐれている」者を指す場合もあります。
blackmailer
破落戸における「ゆすり、たかり、恐喝、強奪」の側面が特に強い言葉です。
この場合、blackは「不当」mailは「税」を意味しています。
rascal
同じく破落戸を指しますが、もっと精神的に幼い、すなわち「悪がき」「腕白小僧」の意味合いが強い言葉のようです。
hooligan
サッカーの悪質サポーターを英国では「フーリガン」と呼びますが、これも元々は破落戸を意味する言葉です。
サッカー場や町中で破壊行為を繰り返し、快楽のままに行動する放蕩者が彼等の特徴ですので、人を騙したりたかったりという側面はあまりありません。
「破落戸」の語源や由来
語源は中国語であり、そのまま破落戸という言葉があります。
意味は落ちぶれた者、家を失った者、悪者などとあり、ここから日本語として拝借したのがその由来です。
日本でも中国の小説を元にした「忠臣水滸伝」の中に角兵衛という人物が登場し、破落戸とつるんで人々を脅かし、金を巻き上げる…といった描写があります。
「破落戸」の漢字はなぜこんな読みづらい?
これは一字一字の読みとは関係なく、言葉一語にまとまった読み方を与えた「熟字訓」だからです。
熟字訓には「七夕(たなばた)」「一寸(ちょっと)」「陽炎(かげろう)」など馴染みの深い例も多くあり、それぞれの漢字には読みを想起させる要素は全くといっていいほど現れません。
破落戸は、前項で述べた中国の古い言葉を、意味が同じだという事で訓を当てたもので、当て字などとはまた違う、熟字訓のうまい成立例と言えるのではないでしょうか。
破落戸について詳細に述べましたが、少し知識の足しになったとはいえ漢字表記で使う事はあまりないでしょう。
また、実際にお目にかかりたくない、関わりあいたくないものでもあります。
もし万が一どこかにこのような表記がなされていたら、周りの人にそっと教えてあげましょう。