「轍」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
最近は舗装されたアスファルトの道が多く、車輪の跡を見かける場面は少なくなりました。
しかし、車輪の跡を指す轍という漢字の意味を是非もう一度見直してみて欲しいのです。
きっと新しい発見や使い方を見つけることが出来るでしょう。

目次
- 「轍」の意味とは?
- 「轍」の類語や言い換え・似た言葉
- 「轍」の言葉の使い方
- 「轍」を使った例文と解釈
- 「轍」を使った言葉と意味の解釈
「轍」の意味とは?

轍という字には、2つの意味があります。
1つ目の意味は、車の通った後に残った車輪の跡のことです。
自動車や自転車、車の種類に限らず車輪の通った跡のことをまとめて轍と言うのです。
2つ目の意味は、先例、先人の辿った道、道筋になります。
2つ目の意味は、1つ目の意味である車輪の跡が道に残るからきているのです。
車輪の跡が付くと、その部分が踏み固められるため、後から来た車が必然的に足をとられ同じ道筋を辿ることになってしまいます。
ここから2つ目の先例や先人の辿った道という意味がきているのです。
- 「轍」の読み方
「轍」の読み方
轍の読み方は、音読みだと「てつ」そして訓読みだと「わだち」となります。
文章の中に轍という漢字が出てきた場合、てつと読むのかわだちと読むのか迷うこともあるかもしれません。
文章中の轍が、地面に残った車輪の跡を指すなら「わだち」と読みます。
車輪の跡ではなく、先例などのことを意味している場合は「てつ」と読むのが一般的です。
ただし、車輪の跡を指す場合でも熟語として使用する際にはてつと読む事があります。
このように轍の読み方は、その文章の中での扱われ方によって違うことになると覚えておきましょう。
「轍」の類語や言い換え・似た言葉

轍には2つの読み方、そして意味があることを紹介してきました。
2つの意味は、全く違った意味となっていますから、言い換えをするにあたっても別の類語が当てはまることになります。
どんな類語や似た意味の言葉があるのか見ていきましょう。
- タイヤ痕
- 車轍
- 先例
- 軌轍
タイヤ痕
車の通った車輪の跡、それはすなわち地面に残ったタイヤの痕跡のことです。
ですから、タイヤ痕と轍は同じ意味の言葉だと言えるでしょう。
現代、そして日常生活の中では轍よりもブレーキ痕といった方が伝わりやすいかもしれません。
車轍
車轍はしゃてつと読み、意味は車輪の跡の事です。
車輪の跡を指すものの、この場合は「わだち」ではなく「てつ」と読みます。
車轍は轍と同じ意味として使用することが出来ますから、言い換えに使用しても問題はありません。
先例
以前にあった同類の例の事を先例と言います。
先例に従う、先例にならうといった使い方をする事が多いでしょう。
しきたりという意味もありますが、轍の言い換えとして使用する場合は、前者の意味として用いられます。
軌轍
軌轍は「きてつ」と読み、そのまま車が通って出来た地面の車輪の跡、すなわち「わだち」とイコールの言葉です。
また、軌轍はその他にも先例や前例、手本という意味があります。
つまり轍の2番目の意味として紹介した道筋、先人の通ってきた道の類語となるのです。
「轍」の言葉の使い方

轍という言葉は、そのまま地面に残った車輪の跡を指し示して使います。
あくまでも車輪の跡を指し、人の足跡や物の通った跡を指して使用することはありません。
また、轍は慣用句としても多用される他、轍を使用した熟語も数多く存在しています。
「轍」を使った例文と解釈

轍は難しい漢字でありますが、その意味は決して難解なものではありません。
ですから、とても使い勝手の良い言葉でもあるのです。
例文を見ながら使いどころや、その解釈を見ていきましょう。
- 「轍」の例文1
- 「轍」の例文2
- 「轍」の例文3
「轍」の例文1
「雪道で轍にハンドルを取られ、真っ直ぐ走れない」
舗装された現代の道路では、轍が残ることはありません。
しかし、雪が降りつもった道は話が別で、何台も車が通った後は、深い轍が出来てしまいます。
轍は深くなればなる程、後から来た車のハンドルが取られやすくなるのです。
「轍」の例文2
「結局、私も父親と同じ轍を踏んでしまった」
この例文の轍は、先例や道筋の意味だととる事が出来ます。
同じ轍を踏むとは、先人と同じ道を辿る事を意味しているのですが、普通は同じ失敗をするという悪い意味で使用されるものです。
ですから上記の例文は、父親と同じような過ちや失敗をしてしまったと解釈する事が出来るでしょう。
「轍」の例文3
「先人の轍から教えてもらう事もあるだろう」
この例文の轍も「てつ」と読みます。
轍を踏むの場合、先例や前例といっても失敗という意味合いが強いものです。
ですが、轍は必ずしも失敗例に限定された言葉という意味ではありません。
この例文は、先人の歩んできた道のりという意味であり、先人から学ぶという意味が込められているのです。
「轍」を使った言葉と意味の解釈

轍という言葉を使用した熟語は、とても多いものです。
小説などの中にも、轍という文字は非常に多く登場します。
こうした轍が使用されている言葉とその意味を知れば、より一層自分のボキャブラリーが広がることでしょう。
- 途撤
- 覆轍
- 同一轍
- 轍鮒之急
- 車轍馬跡
- 北轍南轅
途撤
途撤は「とてつ」と読み、頻繁に使用される馴染みのある言葉のひとつです。
日常会話の中でも、「途撤もない」何気なく使用しているのではないのでしょうか。
途撤は道理やすじみちのこと、そして途撤もないは、道理やみちすじから外れたことを意味します。
ですから「途撤もない大きさ」と言えば、信じられないような大きさを表すのです。
覆轍
覆轍とは、車が転倒した跡の事を言います。
轍は、ただの車輪の跡ですが、ひっくり返るという意味の覆が前につくことで、転倒した跡という意味になります。
また、そこから先人の失敗という意味もあるのです。
轍は先人の道筋という意味ですが、覆轍は「失敗」という意味合いが強くなります。
ですから、轍を踏むというように、覆轍を踏むといった使い方をするケースが多いでしょう。
同一轍
同一轍は「どういつてつ」と読みます。
この意味は、物事の経過や結果がこれまでと同じになるという事です。
同じ失敗をするという意味合いで使われることが多いものですが、必ずしもそうとは限りません。
同一轍は、同じ結果になる、同じ道筋を辿るというニュアンスが強いと覚えておきましょう。
例えば「歴史は同一轍を繰り返す、同一轍を踏む」という文章なら、歴史は同じ結果を辿る、歴史は繰り返すという意味になります。
轍鮒之急
「てっぷのきゅう」と読む轍鮒之急は、身に差し迫った危険や困難の例えになります。
轍鮒之急の由来は、轍(車輪の跡)のくぼみに溜まった水の中で苦しみ助けを求めている鮒からきている四文字熟語です。
ですから、轍鮒之急を使うのはピンチに陥っている状態や場面で用いるのに相応しい言葉だと言えるでしょう。
車轍馬跡
この四文字熟語は、しゃてつばせきと読みます。
中国の古典に登場した言葉であり、これは政治家が支持を集める為などに全国各地巡り歩く事です。
昔は自動車ではなく、馬車を使って政治活動をしていた為、馬という漢字も含めた車轍馬跡という言葉になりました。
北轍南轅
北轍南轅は、見たこともない四文字熟語だという人も多いでしょう。
「ほくてつなんえん」と読み、その意味は行動と心が伴っていないことを表します。
心とは裏腹な行動をとってしまったり、自分の意思に反した行いをしてしまう事が、人間にはよくあるでしょう。
車輪の跡は北を向き、かじをとる轅は、南を向いてるという相反する状態が北轍南轅の語源となのです。
轍には車輪の跡、先例や先人の道筋という意味の2つがあることが分かりました。
後者では「轍を踏む」という慣用句で使われる事が多く、また轍が使用されている熟語は多数存在しています。
その意味や轍を使用した熟語を覚えれば、そのぶん知識の幅が広がるでしょう。