「パラノイア」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「パラノイア」とは、被害妄想・誇大妄想などの体系的な妄想を持つ精神障害・パーソナリティー障害のことです。
「パラノイア」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・英語・原因・特徴」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「パラノイア」の意味とは?
- 「パラノイア」の類語や言い換え・似た言葉
- 「パラノイア」の言葉の使い方
- 「パラノイア」を使った例文
- 「パラノイア」の英語
- 「パラノイア」になる原因
- パラノイアに多い特徴
「パラノイア」の意味とは?
「パラノイア」の意味は、自分が誰かに迫害されているというような被害妄想、自分が特別に優れている人間だと思い込む誇大妄想・自己愛過剰などを特徴とする「妄想性障害」のことです。
パラノイアは日本語では「偏執病(へんしゅうびょう)」や「偏執狂(へんしつきょう)」と訳されますが、被害妄想・誇大妄想・自己愛妄想・恋愛妄想などの「体系的かつ持続的な妄想」を持つことが特徴になっています。
現代の精神医学では統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想の類)として解釈されたり、妄想性パーソナリティー障害と見なされたりすることが多くなっていますが、旧来の精神分析ではパラノイア(偏執病)は神経症の一種とされていました。
パラノイアの特徴として、統合失調症ほど妄想の程度が深刻ではなくて、現実と妄想の区別が完全にできないわけではなく、妄想の問題を抱えつつも、それなりに日常生活・職業活動に適応できるということがあります。
「パラノイア」の類語や言い換え・似た言葉
「パラノイア」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「パラノイア」の類語・言い換え・似た言葉について、分かりやすく解説していきます。
- 「偏執狂」【へんしつきょう】
- 「妄想」【もうそう】
- 「妄想性パーソナリティー障害」
「偏執狂」【へんしつきょう】
「パラノイア」の類語・言い換えとして、「偏執病(へんしゅうびょう)・偏執狂(へんしつきょう)」があります。
パラノイアは一般常識や客観現実と照らし合わせた時に、「極端に偏った妄想体系・妄想内容」を持ちますが、その偏った妄想への執着傾向のことを「偏執(へんしゅう・へんしつ)」と呼びます。
「偏執狂」は「モノマニア」とも呼ばれ、一つの物事に異常に執着する症状を示します。
そのため、パラノイアの類語として、パラノイアの日本語訳でもある「偏執病・偏執狂」を上げることができます。
「妄想」【もうそう】
「パラノイア」の類語・似た言葉として、「妄想・妄執(もうしゅう)」があります。
「妄想」というのは、「客観的現実とは異なる偏った思い込み・具体的根拠がないのに修正することが難しい思い込み」のことです。
妄執とは、「客観的事実とは異なる思い込みに執着すること」です。
「妄想・妄執」という言葉が、パラノイアの似た言葉になっています。
「妄想性パーソナリティー障害」
「パラノイア」の類語・言い換えとして、「妄想性パーソナリティー障害」があります。
パラノイアはかつては偏執病と呼ばれる妄想症状をメインとする神経症の一種とされていましたが、現代精神医学では人格傾向が極端に偏っていて被害妄想を抱きやすい「妄想性パーソナリティー障害」の特徴の一つとして解釈されるようになっています。
そのため、「パラノイア」は「妄想性パーソナリティー障害」という言葉で言い換えることができるのです。
「パラノイア」の言葉の使い方
「パラノイア」の言葉は一般的に、精神科医・心療内科医によって「妄想性障害・妄想性パーソナリティー障害」という診断を受けた人について使われます。
現代の精神医学の診断名(DSM-5に依拠する診断名)では、「パラノイア(偏執病・偏執狂)」
という疾患名が無くなっているので、妄想関連の精神障害を持っている人で、「被害妄想・誇大妄想・恋愛妄想」などが激しい人に対して「パラノイア」という言葉が使われるのです。
一方、精神疾患・精神障害・パーソナリティー障害の診断を受けていなくても、被害妄想や誇大妄想が強い人に対して、「パラノイア」という言葉が使用されることがあります。
「パラノイア」を使った例文
「パラノイア」を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 「パラノイア」の例文1
- 「パラノイア」の例文2
- 「パラノイア」の例文3
「パラノイア」の例文1
フロイトの精神分析が流行していた時代には、訂正困難な妄想症状を持つ患者のことをパラノイアと呼んでいました。
「パラノイア」の例文2
パラノイアの人は体系的で論理的な妄想症状を持っているのですが、被害妄想に基づく対人トラブル以外の仕事や日常生活では、大きな問題が無いことも多いのです。
「パラノイア」の例文3
あの人はいくら真剣な話し合いをしても、自己中心的な意見・要求ばかりを延々とまくし立てるパラノイアみたいな人で、最終的に話が上手くまとまる可能性はない。
「パラノイア」の英語
「パラノイア」の英語は、“paranoia”になります。
パラノイドは現代精神医学では妄想性パーソナリティ障害と同義とされやすいのですが、妄想性パーソナリティ障害の英語は“paranoid personality disorder”で、“paranoia”の形容詞“paranoid”になっています。
「パラノイア」になる原因
「パラノイア」になる原因は、近代精神医学の教科書を書いたエミール・クレペリンの仮説によると「内因性の精神疾患」とされています。
内因性というのは、心理的原因ではない「内部的な原因(遺伝・脳内の情報伝達プロセスの異常など)」のことを意味しています。
一方で、ジークムント・フロイトが創始した古典的な精神分析ではパラノイアになる原因として、「過去のトラウマ体験(信頼していた人から裏切られる心的外傷体験)」や「過剰なストレスの蓄積、不安・恐怖の経験の持続」などが指摘されていました。
現代精神医学では、「パラノイア」はパーソナリティー傾向の極端な偏り・歪みである「妄想性パーソナリティー障害」とほぼ同じものと見なされるようになっていて、パラノイアの原因として「生物学的原因(脳内の情報伝達物質の分泌異常)」と「心理的原因(不安・恐怖を伴う過去のトラウマ体験)」の両面に注目されています。
パラノイアに多い特徴
パラノイアに多い特徴には、どのようなものがあるのでしょうか?「パラノイアに多い特徴」について、分かりやすく説明していきます。
- 被害妄想
- 誇大妄想・血統妄想
- 恋愛妄想・嫉妬妄想
- 体系的妄想が持続するが人格荒廃などの重症化はしない
被害妄想
パラノイアに多い特徴として、「被害妄想」があります。
パラノイアの人は自分が人から騙されてお金を取られようとしているとか、悪意ある人から攻撃されたり失脚させられたりしようとしているとかいった被害妄想を持っていることが多いのです。
「他人の発言・行動・約束・誠実さ」を信用できなくなっていて、「自分の生命・地位・財産などを脅かされている」という被害妄想の症状が見られるのです。
誇大妄想・血統妄想
パラノイアに多い特徴として、「誇大妄想・血統妄想」があります。
パラノイアの人は「自分自身の能力・魅力・実績」について、実際以上に特別に優れていると思い込んでその自己評価の高さを吹聴する「誇大妄想」が多く見られます。
この誇大妄想の特徴は「自己愛の肥大」とも関係しています。
またパラノイアの人には、自分が高貴な身分・家柄の生まれ(血筋)であると思い込む「血統妄想」も見られやすくなっています。
恋愛妄想・嫉妬妄想
パラノイアに多い特徴として、「恋愛妄想・嫉妬妄想」があります。
パラノイアの人は男女関係(恋愛関係)・夫婦関係にまつわる体系的な妄想を抱きやすく、片思いの憧れの人に対して、付き合ってもいないのに付き合っている(相手が自分に惚れているはず)と思い込む「恋愛妄想」を持ちやすくなっています。
また恋人や配偶者が浮気・不倫をしているはずと根拠もなく思い込んで嫉妬する「嫉妬妄想」も起こりやすいのです。
体系的妄想が持続するが人格荒廃などの重症化はしない
パラノイアに多い特徴として、「体系的妄想が持続するが人格荒廃などの重症化はしない」があります。
20世紀までのパラノイアが、精神分析において「精神病」ではなく「神経症」と分類されたのは、予後が「人格荒廃・精神崩壊」のような最悪の結果にはならないからでした。
40代男性の発症率が高いとされるパラノイアには、修正困難な体系的妄想が見られますが、その妄想によって人生・職業生活・人格そのものが完全に崩壊するほどのリスクはないのです。
パラノイアは「妄想体系以外の思考・感情・行動・価値観」などが比較的正常に保たれていることが多く、偏執的・妄想的で変わった人ではあるのですが、人格荒廃にまで重症化するケースはほとんど無いのです。
「パラノイア」という言葉について徹底的に解説しましたが、パラノイアには「被害妄想・誇大妄想をはじめとして様々な妄想体系を抱く精神障害、パーソナリティー障害」などの意味があります。
パラノイアの類語・言い換え・似た言葉としては「偏執病・偏執狂」「妄想性パーソナリティー障害」「妄想・妄執」などがあります。
「パラノイア」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。