「レゾンデートル」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
人はだれしも一度は、「自分とはなんなのか、なぜ生きているのか」というような疑問にぶち当たることがあるかと思います。
ここでは「レゾンデートル」ということばをご紹介しますが、このことば、上記のような悩みに深く関わりがあります。
聞いたことがある方もない方も、「レゾンデートル」ということばを知ってみてください。
目次
- 「レゾンデートル」の意味とは?
- 「レゾンデートル」の類語や言い換え・似たことば
- 「レゾンデートル」の使い方
- 「レゾンデートル」を使った例文
- 「レゾンデートル」の英語
- 「レゾンデートル」の反対語や対義語
- 「レゾンデートル」と「アイデンティティ」の違い
- サルトルの実存主義と「レゾンデートル」
「レゾンデートル」の意味とは?
「レゾンデートル」は、フランス語で“raison d'etr”と書き、日本語に訳すと、存在意義や存在価値、という意味を持つことばです。
日本でも現在では存在意義、存在価値ということばを使わず、「レゾンデートル」ということばを用いることが多いですので、カタカナ語として知られているといっていいでしょう。
とくに、哲学の分野で知られていることばになります。
「レゾンデートル」の類語や言い換え・似たことば
あまり普段遣いすることばではないですから、類語表現をあわせて見ておきましょう。
類語や言い換えの表現にもやはり、あまり会話などで使わないことばが多く含まれてしまいますが、こういう意味のことばなのだ、と落とし込むためにもぜひ一読ください。
- 「存在意義」【そんざいいぎ】
- 「実在根拠」【じつざいこんきょ】
- 「生きがい」【いきがい】
「存在意義」【そんざいいぎ】
存在する意味、という意味を持つことばです。
自分という人間が存在する意味、自分という人間が、この時代を選んで生まれてきた意味、など考えたことはありませんか。
「レゾンデートル」も、そのようなときに使うといいでしょう。
「存在意義など考えてわかるものではないが、それでも考えずにいられないのが若者の特権だと、教授はいった」。
「実在根拠」【じつざいこんきょ】
なにかできごとが起こったり、なにかものが実際にあることの原因、という意味です。
実在理由、存在理由、存在根拠、なども似た意味で使われています。
「人間の実在根拠を考え始めると、今の世界からはあまりにかけ離れている気がする」。
「生きがい」【いきがい】
ほかの国の単語にはないことば、ともいわれる「生きがい」ということばですが、その人がなにか生きる甲斐があるように思わせるなにか、をいいます。
「レゾンデートル」とはニアリーイコールといったところでしょう。
ほかの類語表現が、一般的なことばでないものが多いため、すこしニュアンスはちがいますが、挙げておきました。
「孫の成長を生きがいのように感じるが、私という人間そのものの生きがいを思うと、長年続けてきた硬化の収集がそれにあたるかもしれない」
「レゾンデートル」の使い方
「レゾンデートルが揺らぐ」「レゾンデートルとはなにか」「レゾンデートルは〇〇である」「レゾンデートルに悩む」などの使い方があります。
ビジネスシーンでも使うことはできますが、相手も「レゾンデートル」ということばがわかっている前提で使うことが必要になります。
論文など、すこし格式の高い文章に使うことが多いかもしれません。
「レゾンデートル」を使った例文
それでも会話や文書、ビジネスシーンにおいて「レゾンデートル」ということばを使いたい、使いこなしたい、という方のために、例文を挙げておきます。
文脈のなかで、「レゾンデートル」がどのように使われているかがわかると、応用がききます。
- 「レゾンデートル」の例文1
- 「レゾンデートル」の例文2
- 「レゾンデートル」の例文3
「レゾンデートル」の例文1
「電子機器が主流になることで、レゾンデートルが脅かされている業界は多々あるだろう。たとえば紙媒体の出版業界などがいい例だ」
なぜ紙でなければならないのか、という存在理由が脅かされている、といえます。
同じように、ネット放送が増えたことで、テレビやラジオも「レゾンデートル」が揺らいでいるといえるでしょう。
「レゾンデートル」の例文2
「AI技術の発展により、人間はこれまでにも増して、人間そのもののレゾンデートルについて熟考せねばならなくなるだろう」
さまざまな職業がAIに取って代わられると噂される昨今、人間はなにをすべきか、なんのために生きるのかが問われる時代が来る、ともいわれています。
人間らしさ、人間が存在する理由とはなんなのか、という究極の問いが突きつけられたとき、人はなにを選択するのでしょうか。
「レゾンデートル」の例文3
「原点に立ち返ると、この企画のレゾンデートルはどこにあるのか、問い直す必要があるのではないでしょうか」
たとえばイベントを立ちあげたとき、そのイベントをする理由、そのイベントが、だれのため、なんのために行われるのか、考える必要があるでしょう。
企画で行き詰まったとき、原点回帰の意味あいを兼ね、「レゾンデートル」を共有すると、前進することもあるかもしれませんね。
「レゾンデートル」の英語
英文でも、“raison d'etr”と原文のまま使われることもあるようですが、あえて英語に直すとすると、存在理由を意味する語句として、“reason of being”が挙げられます。
また、「生きがい」「生きる理由」を英語表記にすると、“reason for living”となります。
あわせて覚えておくといいでしょう。
「レゾンデートル」の反対語や対義語
「レゾンデートル」は、存在そのもの、ということもできますので、反対語や対義語にあたるものはありません。
もしくは、「反対語や対義語がない」ということ自体が反対語、対義語にあたるかもしれませんね。
存在意義というものが、本当にあるのか、ないのか、議論に決着がつかないからこそ、反対語がまだ生まれていない、と考えることもできそうです。
「レゾンデートル」と「アイデンティティ」の違い
「アイデンティティ」は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
「レゾンデートル」が、存在意義、存在そのものを言い表すのに対し、「アイデンティティ」は、日本語で自己同一性と訳され、これがなければわたしではない、と考えるものです。
「レゾンデートル」が、交換のきかない、ある意味で固定されたものであるのに対し、「アイデンティティ」は失っても存在そのものはなくならず、交換可能な、流動的ともいえるものでしょう。
サルトルの実存主義と「レゾンデートル」
サルトルは、20世紀のフランスで、実存主義を代表する哲学者です。
実存は、「現実存在」を縮めた語といわれ、今、現実に存在している人間のあり方を主張するのが実存主義といわれています。
サルトルが主張したもののなかでとくに、「レゾンデートル」と関わりのあるものが、「アンガージュマン」ということばではないでしょうか。
これは、社会参加という意味を持つことばで、とくに、社会への積極的な参加、を意味します。
自ら積極性を持って、能動的に社会とか変わっていくことが、人間の「レゾンデートル」ではないか、といっているのですね。
- サルトルのほかの主張
サルトルのほかの主張
サルトルはほかにも、「実存は本質に先立つ」や、「人間は自由の刑に処されている(処せられている)」というような主張をしています。
どちらもやはり、人間の「レゾンデートル」と深く関わりのある主張ですので、興味のある方や、「レゾンデートル」に悩んでいる方は、この機会にサルトルを学び、思いっきり「レゾンデートル」について熟考するのもいいかもしれません。
「レゾンデートル」とは、存在意義、存在理由を意味することばでした。
人間をはじめ、森羅万象にはかならず理由があるのだとする一方で、その理由とはなんなのか、納得のいく説明ができる人はほとんどいないのではないでしょうか。
そんななかで生きていく不思議をとくと味わい、「レゾンデートル」に思いをはせる時間を取るのも、たまにはいいものかもしれませんね。