「ノスタルジー」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
古い町並みに出会ったとき、人はその時代に生きていなかったとしても、なんとなく懐かしい気分になることがあります。
また、故郷に似た風景に、別のどこかで出会ったときにも、故郷を思い出し、懐かしい気持ちになることがありますね。
ここでは、そんな気持ちを言い表すのにぴったりな、「ノスタルジー」ということばをご紹介します。
目次
- 「ノスタルジー」の意味とは?
- 「ノスタルジー」の類語や言い換え・似たことば
- 「ノスタルジー」の使い方
- 「ノスタルジー」を使った例文
- 「ノスタルジー」の英語
- 「ノスタルジー」を感じる心理
- 「ノスタルジー」の対義語
「ノスタルジー」の意味とは?
「ノスタルジー」は、過ぎ去った時代や時間、過去を懐かしむことや、異郷から、故郷を懐かしむ気持ちを表します。
もともとはフランス語で“nostalgie”と書きます。
それがいつしか、日本でもカタカナ語のように使われるようになったのですね。
フランス語でも同じ意味で使われています。
「ノスタルジー」の類語や言い換え・似たことば
どこかで聞いたことはあるけど、うまく使いこなせない、という方も多いのが、「ノスタルジー」ということばではないでしょうか。
日本語に訳すとどのようなことばが適しているのか、類語、同義語、似た表現を見ておきましょう。
類語表現を知っていくうちに、語彙も広がります。
- 「望郷」【ぼうきょう】「郷愁」【きょうしゅう」
- 「懐古」【かいこ】「追憶」【ついおく】
- 「レトロ」【れとろ】
「望郷」【ぼうきょう】「郷愁」【きょうしゅう」
それぞれ「ぼうきょう」「きょうしゅう」と読みます。
「望郷」は故郷を懐かしく思いだすこと、「郷愁」は、異郷にあり、さびしくて故郷に思いを寄せることを意味することばです。
故郷に対し、切ない思いを感じたり、懐かしさに心惹かれている、というところが、「ノスタルジー」とほとんど同義といってよいでしょう。
「海を見るたび望郷の念に駆られる」
「ひさびさに卒業アルバムを見ていると、郷愁を覚え、涙ぐんでしまった」
「懐古」【かいこ】「追憶」【ついおく】
それぞれ「かいこ」「ついおく」と読みます。
「懐古」は、自分の過去だけでなく、昔の時代など、自分がまだ生まれていない時代に対しても、懐かしく感じたり、慕わしく思うことをいいます。
「追憶」は、過去を思い出し、しのぶことをいいます。
こちらも「ノスタルジー」とほとんど同義のことばといえるでしょう。
「村の歴史を懐古するのが祖父の趣味になっている」
「追憶にふけることで、母を亡くした心を慰めている」
「レトロ」【れとろ】
懐古的であること、古いものを好むことや、郷愁に誘われる気持ちを意味することばです。
「ノスタルジー」ほどの感傷的な気持ち、切なさをまとったものというよりは、単純に昔を懐かしむ、という意味あいの強いことばです。
「広告にレトロな字体を使うと、印象的になることが多い」
「ノスタルジー」の使い方
「ノスタルジーな気持ち」「ノスタルジーな雰囲気」「ノスタルジーに浸る」というかたちでよく使われます。
どれも、郷愁を誘うような風景や事象、思い出の品などについて使われることが多いでしょう。
お店などでも、「ノスタルジー」な印象を持たせる内装やつくりになった場所もあります。
そんなお店へ行ったとき、「ここはノスタルジーな雰囲気だね」といえると素敵ですね。
「ノスタルジー」を使った例文
では、「ノスタルジー」を使いこなすためにも例文を見ておきましょう。
知らないことばや使い方のいまいちわからないことばは、ぜひ文章のなかでどのように使われているかをおさえてみてください。
文脈のなかでことば、単語、語句を覚えていくことで、実際の会話や文章中に応用する力がつきますよ。
- 「ノスタルジー」の例文1
- 「ノスタルジー」の例文2
- 「ノスタルジー」の例文3
「ノスタルジー」の例文1
「どこの国のものでも、民謡にはノスタルジーを誘うものが多くある」
牧歌的なものなど、民謡のなかには、それが異国のものであってもなんとなく懐かしさを感じるものがありますね。
人間に通底した「懐かしさ」が描かれているのでしょう。
言語や歴史、民族性をこえて、「懐かしい」という気持ちは共有されることがあるのかもしれません。
「ノスタルジー」の例文2
「ノスタルジーな雰囲気が世代に関係なく好まれたが、とうとう閉店が決まった」
靴磨きや映画館、診療所やキャバレーなど、時代とともに移ろい、需要がなくなったものや、別のなにかに取って代わられたものはたくさんあります。
そのような店を見聞きしたり、そこへ行ったりすることで人は、そのような店が栄えた時代まで思い出し、懐かしく感じるのですね。
「ノスタルジー」の例文3
「祖母の葬儀でひさびさに故郷へ帰ることになり、しばしノスタルジーに浸った」
故人をしのぶとき、その人だけでなく、その人といた過去やその時代をひっくるめて思いだす、ということをしませんか。
大人になってから学生時代の友人に会ったりしたときにも似た感覚を覚えることがあるかと思います。
そんなとき、「ノスタルジー」に浸ることがあなたにもあるのではないでしょうか。
「ノスタルジー」の英語
英語には、“nostalgy”という単語は基本的にはありません。
名詞“nostalgia”(ノスタルジア」か、形容詞“nostalgic”(ノスタルジック)が、日本でいう「ノスタルジー」を表す英単語となります。
どちらも懐かしい、懐かしい気持ち、というような意味で使われていますので、日本での使い方ともほとんど同義といえるでしょう。
国は違えど、故郷や過去を懐かしむ気持ちには変わりがないようですね。
「ノスタルジー」を感じる心理
さて、例文などからもある程度お気づきのことと思いますが、人はどんなときに「ノスタルジー」を感じるのでしょう。
いくつかのパターンに分けてご説明します。
あなた自身が「ノスタルジー」を感じたときのことを思い出しながら見てみてください。
- 昔を思わせる場所や風景に出会ったとき
- 故郷を思わせる場所やもの、人に出会ったとき
- 昔を思わせる作品
昔を思わせる場所や風景に出会ったとき
自分がまだ生まれるよりも以前の時代を思わせる建造物や創作物などを見たとき、人は「ノスタルジー」を感じることがあります。
古代など、まだ人間が生まれていない時代の化石などに「ノスタルジー」を感じるよりは、人間の古い文明の遺跡など、人間が関与するものに対して「ノスタルジー」を感じることのほうが多いでしょう。
接点の多いものほど、深い「ノスタルジー」を感じるのではないでしょうか。
故郷を思わせる場所やもの、人に出会ったとき
上京した先で、故郷の特産品を扱った飲食店へ行ったときや、同窓会へ行って古い友人に会ったときなど、「ノスタルジー」を感じる人は多いといえます。
昔話に花が咲いたり、同郷の人と、故郷の話で盛りあがったりするとき、故郷に住んでいた時代そのものを思い出し、懐かしむのでしょう。
昔を思わせる作品
1や2で紹介したような場所や時代などを扱った作品には、多くの人が「ノスタルジー」を感じるといえます。
存在しない場所の話であったとしても、だれもが懐かしく感じる田園の風景などを扱った絵画や映像作品は、心惹かれるものになることが多くあります。
「ノスタルジー」の対義語
「現代的」「未来的」というようなことばが、「ノスタルジー」の対義語にあたるでしょう。
また、「モダン」や「コンテンポラリー」ということばで表現することもできます。
どちらも、今風の、現代風の、今日的な、というような意味で使われています。
馴染みがないかたは、日本語で覚えておくといいでしょう。
対義語からも、「ノスタルジー」がどのようなことばか見えてきたことと思います。
「ノスタルジー」は、郷愁や懐古、つまり昔や故郷を懐かしむ気持ちを表すことばとわかりました。
過去を切り捨てるのでなく、古きよきものと、新しきよきものの組みあわせで、これからの時代がよりよい時代になるよう、わたしたちも次世代につないでいくことが求められてくるのでしょう。