「遵守」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
ビジネス業界では、この20年の間に「遵守」という言葉が使われるようになりました。
企業活動の中では、頻繁に使われる言葉なので、社員であるあなたは、この言葉の意味を何となく分かったつもりになっているかもしれません。
しかし、その理解や使い方が、本当に正しいと言うことができるでしょうか?
もしかすると、間違っている可能性もあるかもしれませんので、「遵守」の正しい意味をここで、勉強してください。

目次
- 「遵守」の意味とは?
- 「遵守」の類語や言い換え・似た言葉
- 「遵守」の言葉の使い方
- 「遵守」を使った例文
- 「厳守」と「遵守」の違い
- 「遵守」と「順守」の違い
- 「遵守」の対義語
- 「遵守」を使った言葉
「遵守」の意味とは?

「遵守」の意味、ニュアンスは、使われる場面や状況によって異なってくることがありますが、元来の意味は、「言いつけ、決まり事、法律などにそむかず、それをよく守ること」ということを言っています。
これが「法令遵守」となると、その意味は「法律や規則といった法令を守ること」という意味になりますが、「納期順守」となると、「納期を守ること」という内容を指すことになります。
ビジネスでの取引で、契約を交わした取引先から、「くれぐれも、納期順守してください」と言われることがあります。
納期遅延を起こさないことが、商売の必須条件となります。
ここで「あれ?」と思うことがあるでしょう。
「遵守」と「順守」の2つの種類があるからです。
この意味の違いは後で説明することにしますが、基本的な意味は、「ルールを守ること」という理解になります。
- 「遵守」の読み方
「遵守」の読み方
「遵守」は「じゅんしゅ」と読みます。
字体を見ると、思わず「そんじゅ」と読みそうになりますがそうではありません。
「遵守」も「順守」も「じゅんしゅ」という読み方なりますが、どちらとも意味は、「言いつけ、きまり、法律などにしっかりと守ること」と同じ解釈になります。
この2つの言葉の使い方の使い分けとしては、公用文や教科書では「遵守」を使い、新聞やテレビなどの報道関係で「順守」と表記することが多く見られます。
「遵守」の類語や言い換え・似た言葉

では、「言いつけ、きまり、法律などにしっかりと守ること」という意味を持つ「遵守」の類義語には、次のような言葉があります。
- 「コンプライアンス」
- 「励行」
「コンプライアンス」
ビジネス業界では、この「遵守」がよく使われています。
意味は、「企業などが、法令や規則をよく守ること」となります。
「法令遵守」という意味でビジネスシーンで用いられる「コンプライアンス」のことを指しています。
法令を守ることは当たり前のことですが、企業では、法律や社会のルールに反することなく、公正に業務を実行する義務があります。
特に、日本では2000年以降に、多くの企業で不祥事が発覚したことから、このコンプライアンスが重要視されるようになっていったのです。
企業は、多くのライバル会社と競争して、常に勝ち続けなければならない環境下にあります。
しかし、このような環境にありながら、不正なことを行ってしまい、法的な罰則を受けてしまう人々が後を絶ちません。
このようなことにならないためには、企業は、コンプライアンス体制をしっかりと構築することで、不正行為を行う社員を生み出さず、未然に防ぐこと必要があるのです。
コンプライアンスをきちんと運用している企業は、「優良企業」、「信頼性の高い企業」と判断されます。
コンプライアンス体制を構築することは、法令遵守に対する従業員の意識を高めて、正しい行動を履行するだけでなく、不正に対する社内のチェック機能、けん制機能を強化することで、不正を防ぐ環境や雰囲気を確立することになります。
「励行」
「遵守」に近い意味を持つ言葉には、「励行」もあります。
「励行」には、「努力してそうすること」あるいは、「その決めごとを破らないようにつとめること」という意味があります。
「励」という文字には、「力いっぱいつとめる」と「力づける」の2つの意味があります。
「励ます」という意味から「力づける」という強い元気が出る印象があるのでるのですが、「励行」の形式で使用される場合の意味は「力いっぱいつとめる」という解釈になります。
「行」は、「励行」の形で用いられる時に、「行う」、「実行する」という意味合いを持つようになります。
「規則などの通りに実行」を「励行する」という言葉で表現する時は、「規則や決めた事柄」を「力いっぱいつとめる」になります。
言い換えると、「励行する」ことは、「規則や決めた事柄を誠実に力いっぱい実行して守る」ということになるわけです。
「遵守」の言葉の使い方

「遵守」の使い方の多くは、企業が法令を守る時に頻繁に出てくる言葉ですが、社員への「遵守」ルールの社内啓蒙活動などでも、目にしたり耳にすることが多くなっています。
「遵守」を使った例文

では、どのようなシーンで「遵守」が使われるのか、例文を見ていくことにしましょう。
- 「遵守」の例文1
- 「遵守」の例文2
- 「遵守」の例文3
「遵守」の例文1
「全社員に就業規則遵守に関する誓約書を提出していただきます」
このような誓約書の提出の社員に求める企業が、たくさんあります。
この誓約書は一般社員だけでなく、課長、部長、ひいては役員も同じ条件で提出をする義務があります。
社長に対してですが、株主に対する誓約書でもあるので、社長を提出する場合もあります。
「遵守」の例文2
「労働三法の遵守は、企業の義務である」
「労働三法」は企業が守らなければならない「必要最低限の決まりごと」と理解してもいいでしょう。
しかし、世の中には、サービス残業、サービス休日出勤、不当な長時間労働を当たり前のように強制しているブラック企業も少なくありません。
社会的に知名度の高い企業でさえ、このようなことが平気で行われているのですから、恐ろしい限りです。
「遵守」の例文3
「法令を遵守するために、コンプライアンス部門を立ち上げた」
このような動きは、ビジネス社会全体の動きであると言っても、過言ではありません。
しかし、中小企業では、ここまでの組織体制を敷くことができず、個人レベルの意識向上・維持をつとめることが難しい現実もあるようです。
「厳守」と「遵守」の違い

「遵守」と似たような言葉で「厳守」があります。
「厳守」とは、「規則や法律や約束を厳しく守ること」を意味しており、「遵守」をより厳しいルールや行いが「厳守」となります。
「時間厳守」などでよく使われていますね。
「遵守」と「順守」の違い

「遵守」は、「順守」という書き方をする場合があります。
「順守」も、「遵守」と全く同じ意味で使われています。
インターネットで意味を調べてみても、この2つの漢字がともに表記されていますが、元々、「遵守」という言葉が使われていました。
しかし、昭和20年代に「遵」が一般的に使用される当用漢字から外される案が発表されたのです。
その結果、新聞などでは「遵」の代わりに「順」の字を当て、「順守」という言葉が発生してきたのです。
ただ、一旦は当用漢字表から外されるはずだった「遵」が外れなかったために、そのまま「遵守」と「順守」という2つの表記がされることあるのです。
前述の通り、現在では公用文、教科書なども含めて、ビジネス社会では「遵守」が使われることが多く、法令に関する文書にも大半が「遵守」が使われています。
近年多用されている「コンプライアンス」関連の資料でも、法令に関わる分野なので「遵守」が使われています。
「遵守」の対義語

「遵守」の対義語は、「違反」という言葉になります。
意味は「法令や契約などを守らないこと」となりますが、「違反」はビジネスシーンだけでなく、日常生活でも使われる身近な言葉でしょう。
「遵守」を使った言葉

「遵守」を使った言葉を見ていきます。
- 「遵守すべき事項」
- 「法令遵守を徹底」
「遵守すべき事項」
「入社について遵守すべき事項をまとめていますので、必ず確認してください」
このようなことを新入社員への「社員心得」などのマニュアルに表記されていることがあります。
「法令遵守を徹底」
「飲酒運転がクローズアップされているが、公務員は法令遵守を徹底してもらいたい」
公務員のコンプラアンス違反も非常に厳しい処罰が下されるので、ルールを守ることは必須ですね。
ビジネスシーンでは、この「遵守」という言葉が嫌になるほど、出てきているのではないでしょうか?
それほどに、企業の姿勢が厳しく問われています。
一旦、法令違反をすると、社員の懲戒解雇などの処罰だけではなく、社会的信用も失墜します。
そのために、「法令遵守」は、企業の必要不可欠な条件となります。