「適当」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語の中には、同じ言葉でも色々な意味を持つ言葉があります。
そのうちの一つが、適当という聞き慣れた言葉です。
よく意味や使い方を理解しているつもりでも、実は間違った解釈をしている人も少なくありません。
適当を今までよりも上手く使えるように、そして正しく解釈する為の知識をつけましょう。
目次
- 「適当」の意味とは?
- 「適当」の類語や言い換え・似た言葉
- 「適当」の言葉の使い方
- 「適当」を使った例文と解釈
- 「適当」の対義語
- 「適当」の語源
- 「適当」と「適切」の違い
- 「適当」と「テキトー」の使い分け
「適当」の意味とは?
適当という言葉は、3つの意味に分けて考える事が出来ます。
ひとつ目の意味は、ある条件や目的、要求などに上手くあてはまることを指します。
ぴったりくる、しっくりくるという意味だと解釈出来るでしょう。
ふたつ目は、程度がほど良い、さじ加減が良いという意味になります。
そして、最後は前述した2つの意味とは少々具合が違ってくる事に注意をしなくてはいけません。
適当のみっつ目の意味としては、物事に対していい加減であるという、これまでとは違うネガティブなものになってしまいます。
- 「適当」の読み方
「適当」の読み方
適当は、両方とも小学生のうちに習う漢字が使われています。
読み方は「てきとう」となり、書くのも読むのも難しい言葉ではありません。
「てき」も「とう」もどちらも音読みですが、適は訓読みの場合「かなう」「ゆく」「たまたま」と読め、当は「あたる」「あてる」と読む事が出来ます。
「適当」の類語や言い換え・似た言葉
適当という言葉には、上記で述べた通り3つの意味があります。
ですから類語や言い換え、似た言葉もそれぞれ違うはずです。
特にいい加減という意味で使用される適当は、類語や言い換えも他の2つの意味とは異なる言葉になると言えるでしょう。
- 相応【そうおう】
- 十分【じゅうぶん】
- 妥当【だとう】
- 適度【てきど】
- 無責任【むせきにん】
- でたらめ
相応【そうおう】
相応は「釣り合っている」「似合っている」「適した状態である」という意味を持つ言葉です。
あてはまる、程度がほど良いという意味がある適当に似た言葉だと言えるでしょう。
あるモノとあるモノを結びつけて、両者が釣り合っていたり、適している時に相応しいという言葉を使う事になります。
例えば「その時計はあなたに相応だ」という文章なら、その時計とあなたが釣り合っているという意味です。
十分【じゅうぶん】
ある条件や物事に対して不足はないということ、それが十分という意味です。
つまり、十分というのは条件や要求にあてはまっているという事になります。
そのため適当の言い換えとして通用するのです。
それは、使用目的にあった適当な商品という文章を十分な商品と言い換えても、意味がほぼ変わらない事からも分かるでしょう。
妥当【だとう】
妥当はよく使われる言葉のひとつですが、ぴったり当てはまるという意味になります。
妥当な意見、妥当な値段といった使い方をするものです。
適当にもあてはまる、ぴったりくるという意味がありますから、両者は同じような意味を表す言葉だと言えるでしょう。
適度【てきど】
適当の2番目に上げた「程度がほど良い」という意味と似た言葉として適度があります。
適度というのはちょうど良い加減、レベルという事になりますから、適当と同じ意味として使えるでしょう。
「このお茶の熱さは適当だ」を「熱さは適度だ」に言い換えてもお茶の熱さがほどほどであるという意味は変わりません。
無責任【むせきにん】
悪い意味で用いられる適当のいい加減と似た言葉が、無責任になります。
無責任は自分の発言や行動に責任を持たないことで、良い意味で捉える人はいません。
無責任である、それはいい加減な人間性がうかがえると言えるでしょう。
でたらめ
でたらめも決して良い意味で使用される言葉ではありません。
適当の悪い意味であるいい加減とでたらめは、同じような意味として使えるでしょう。
でたらめは、漢字だと出鱈目と書けますが、これは当て字です。
他にもでたらめは、筋が通らない、勝手気まま、根拠がない等といった意味も持ち合わせています。
「適当」の言葉の使い方
適当は名詞、形容動詞として使用することが出来ます。
口語だと言いきりのカタチは、適当だ、になり意味合いとしては形容詞に近いのが特徴です。
活用方法としては言いきりの「適当だ」の他に「適当な」「適当に」「適当なら」等となります。
「適当」を使った例文と解釈
適当は頻繁に使用される言葉ですが、時には間違った解釈をされてしまう事が少なくない言葉です。
日頃から登場する機会が多い言葉だからこそ、正しく使えるようにしておきましょう。
- 「適当」の例文1
- 「適当」の例文2
- 「適当」の例文3
「適当」の例文1
「彼は将来、国民を導く適当なリーダーとなるだろう」
この場合、彼が国民を導くという目的にうまくあてはまるリーダーとして相応しいという意味で「適当」が使用されています。
この場合の適当は、良い意味で使用されていますが、ともするといい加減なリーダーだとも解釈出来てしまうでしょう。
しかし、前後の文脈からこの場合は前者の良い意味で使用されている事がわかります。
このように適当は、文脈や前後の文章をよく見て意味を判断する必要があるのです。
「適当」の例文2
「根のつめすぎは、仕事の効率をさげるので、適当に頑張るのが良い」
このような使い方をする場合、適当はほどほど、程度が良いという意味になります。
決してでたらめに仕事をしなさい、という意味ではありません。
物事は、何でもほどほどが良いと言われています。
仕事も同じで、ずっと根を詰めていては逆効果になりますから、息を抜いてほどほどに頑張りなさいという意味です。
「適当」の例文3
「こんな適当な報告書は受け付ける事が出来ません」という場合の適当は、いい加減やでたらめ、無茶苦茶といった悪い意味です。
適当は良い意味で使われるだけではなく、こうした悪い意味で使われるケースも多くなります。
こちらも文脈から意味を読み取るようにしなければ、正しく解釈する事は出来ません。
「適当」の対義語
適当の対義語についても、良い意味で使用されているケースと悪い意味で使用されるケースに分けて見ていきましょう。
適当の対義語も一緒に覚えておくと、これまでよりもボキャブラリーや文章の幅が広がっていきます。
- ミスマッチ
- 不適当
- 極端
- 真面目
ミスマッチ
ミスマッチは、相応しいやぴったり合うという際に用いる適当と反対になる意味の言葉です。
「この文章に適当な言葉」とはこの文章にぴったり合う言葉となります。
適当の部分にミスマッチを挿入すると、この文章にあわないしっくりこない文章となり、反対の意味になっている事が分かるでしょう。
不適当
適当に打消しの意味がある不をつけた言葉です。
こうした頭に不がついた言葉は他にも色々とあり、多くはその後に続く言葉の反対の意味になります。
不適当も例にもれず、適当の反対の意味を表し、相応しくない、ぴったりこないという意味で使用されるものです。
ただし、不適当はいい加減の対義語としては使用されません。
極端
普通の程度からかけ離れている事を極端といいます。
適当をほどほどという意味で使用した場合、極端は対義語にあたると言えるでしょう。
極端とは少なすぎたり多すぎたりと、中位から離れている時に使用します。
メーターがどちらかに振り切られている様な状態です。
真面目
適当にはいい加減という意味もありますから、その対義語にも真面目もあげられるでしょう。
真面目は人物の誠実な人柄を表して使用される事が多いものですが、嘘やいい加減なとろこがないという意味もあります。
性格を表す以外にも真面目な本、真面目に勉強をする、といったように使う事が可能です。
「適当」の語源
適当の適の意味には相応しい、よくあてはまるという意味があり、当にもあてはまるという意味があります。
どちらも同じ様な意味合いを持つ言葉が組み合わさり出来た熟語です。
適当という漢字の意味から考えると分かるように、本来は「ぴったりあてはまる」「ほど良い」という意味合いで使用されていた言葉になります。
いい加減という意味で使用されるようになった明確な語源は分かっていませんが、諸説ある中のひとつとして、良い加減がいい加減となったという説もあります。
現代では、どちらの用法も間違いではありません。
「適当」と「適切」の違い
適当と適切は、非常に近い意味を持った言葉になります。
場合によっては、お互いに言い換えとして使用しても問題はないでしょう。
ただし厳密には違う部分もあるので、覚えておいてください。
適切は物事や目的などに上手くあてはまるという意味合いが強く、その幅は広くなっています。
しかし、適切は適当よりももっと限定的であり「ピッタリ」あてはまるという意味が強いのです。
また、適当にはその他にも、ちょうど良い加減やいい加減という意味がありますが、適切にはその様な意味はありません。
「適当」と「テキトー」の使い分け
適当には、これまで説明した通り3つの意味があります。
そのため、文脈からしっかりと読み取らなければ、意図した意味とは違った解釈をされてしまう可能性も否めません。
そこで他の意味と区別しやすくする為に、いい加減という意味で適当を使う場合、テキトーと表記するケースが多くなりました。
カタカナ表記にすること、そしてテキトウではなくテキトーと語尾を伸ばす事によって、よりいい加減さを表現しているのです。
適当は、ひとつで3つの意味を表現出来る非常に面白い言葉です。
どちらかと言うと現在では、適当はテキトーの意味で使われるケースが多いものですが、「上手くあてはまること」「ほど良い加減」という意味がある事も忘れてはいけません。