「トレードオフ」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「トレードオフ」とは、何かを達成するために何かを犠牲にしなければならない二つの事柄が両立しない関係・状態のことです。
「トレードオフ」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・生物の事例・反対語」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「トレードオフ」の意味とは?
- 「トレードオフ」の類語や言い換え・似た言葉
- 「トレードオフ」の言葉の使い方
- 「トレードオフ」を使った例文
- 「トレードオフ」が生物の場合
- 「トレードオフ」の反対語
- 「トレードオフ」の身近な例・具体例
「トレードオフ」の意味とは?
「トレードオフ」“trade-off”とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという両立しない状態・関係のことを意味しています。
トレードオフのある関係・状況では、二つのものを同時に手に入れたり二つの行動(仕事)を同時に選んだりすることはできないので、「二つのもの・行動の長所と短所(メリットとデメリット)の比較」を行うことが大切になってきます。
アメリカの政治家・著述家のベンジャミン・フランクリンが指摘した「時は金なり」が、もっとも典型的な日常生活におけるトレードオフの例であり、私たちは「有限の時間を何に使うのか?」のトレードオフを常に経験していることになります。
同じ時刻においては、「Aさんと食事をする行動」と「Bさんと外出する行動」はトレードオフの関係にあり、二つの行動を同時に行うことはできないということです。
経済学ではトレードオフで選択しなかったことによる損失を「機会コスト」と呼んでいます。
「トレードオフ」の類語や言い換え・似た言葉
「トレードオフ」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「トレードオフ」の類語・言い換え・似た言葉について、分かりやすく解説していきます。
- 「交換条件」
- 「相殺(そうさい)」
- 「対抗関係・対立関係」
「交換条件」
「トレードオフ」の類語・言い換えとして、「交換条件」があります。
交換条件というのは、「自分がAの行為をする代わりに相手にBの行為をしてほしいという条件」や「自分がAの利益・恩恵を与えるから相手にBの行為をしてほしいという条件」のことを意味しています。
トレードオフとは、何かを達成するために何かを犠牲にしなければならない二つのことが両立しない関係・状態のことを意味していますが、交換条件も「自分が相手に何かをして上げなければ相手からも何もしてもらえないという状態・条件」のことを意味しています。
そのため、交換条件はトレードオフの類語として考えることができます。
「相殺(そうさい)」
「トレードオフ」の類語・似た言葉として、「相殺(そうさい)」があります。
相殺というのは、「差し引きでお互いに損得がないようにすること」や「貸し借りを帳消しにすること、長所・利点などが差し引きで無くなってしまうこと」を意味しています。
相殺というのは、長所と短所の差し引きによってプラスマイナスでゼロになるというような関係・状態を意味していて、トレードオフと良く似た言葉になっているのです。
ただし、「トレードオフ」とは二つの行為・事柄が両立しないことを意味していますが、相殺は二つの事柄が差し引きで帳消しになること(二つの事柄それぞれが持つ長所が無くなること)を意味していて、微妙なニュアンスの違いはあります。
「対抗関係・対立関係」
「トレードオフ」の類語・言い換えとして、「対抗関係・対立関係」があります。
対抗関係・対立関係(相反関係)とは、「二つ以上の物事(二人以上の人物)の利害・考え方が対立していて両立しないこと」を意味しています。
トレードオフも「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない両立しない状態・関係」のことを意味しているので、二つの物事が対立していて両立しない関係を示唆する「対抗関係・対立関係(相反関係)」を類語として考えることができます。
「トレードオフ」の言葉の使い方
「トレードオフ」という言葉は、経済活動や日常生活、人間関係において、「一つの物事を選択すれば別の物事を諦めなければならない状態・関係」がある時に使用することができます。
二つの物事や二人の人物を同時に選ぶことができない時に「トレードオフ」という言葉を使うことができ、「減税と社会保障の充実が両立しないこと」や「一人を選ばなければならない恋愛・結婚」もトレードオフの典型的なものになっています。
「トレードオフ」を使った例文
「トレードオフ」を使った例文には、どのようなものがあるのでしょうか?「トレードオフ」を使った例文について紹介していきます。
- 「トレードオフ」の例文1
- 「トレードオフ」の例文2
- 「トレードオフ」の例文3
「トレードオフ」の例文1
商品(製品)のクオリティーの高さと経済的・時間的なコストは一般的にトレードオフの関係にあるため、「安くて短時間で作れる商品・製品のクオリティー(品質)」はそれなりのものになってしまう。
「トレードオフ」の例文2
プリウスやアクアをはじめとするハイブリッドカー(HV)の技術は、燃費とエンジンの動力性能がトレードオフの関係にあるという従来の常識を覆して、低燃費でパワフルな車の生産を可能にした。
「トレードオフ」の例文3
人は同じ時間帯に二人の異なる場所にいる人と会うことはできないし、高品質な製品・サービスを極端に安い価格で提供することはできないといった一般的な現実が、トレードオフの両立不可能な状態を分かりやすく示している。
「トレードオフ」が生物の場合
生物の繁殖戦略の最適化モデルでは、「子供の数(卵の数)」と「子供の成熟度(卵の大きさ)」がトレードオフの関係にあることが知られています。
子供の数(卵の数)が多ければ子の生存率は高まりますが、利用可能なエネルギー量には制限があるため、子供の数(卵の数)を増やせば天敵から捕食されやすい「未熟な小さな子(小さな卵)」になってしまいます。
反対に、「成熟した大きな子(大きな卵)」を作ろうとすると、エネルギー量の限界から「子供の数(卵の数)」は少なくなってしまいます。
このように生物界の繁殖戦略の最適化モデルでは、数を犠牲にして大きい卵を産んで生存率を高める「大卵少産戦略」と小さい卵を大量に産んで生存率を高める「小卵多産戦略」がトレードオフの関係にあるのです。
貧しい途上国で子沢山な家庭が多く、豊かな先進国で少子化が進んでいる現象にも、個人の幸福追求・子供の生存率と絡んだトレードオフが複雑に関係しています。
「トレードオフ」の反対語
「トレードオフ」の反対語として、「一挙両得」「一石二鳥」「マルチタスク」を考えることができます。
「一挙両得」とは、一つの行動や決断によって二つのものを同時に手に入れることです。
「一石二鳥」も、同じく一つの行為で二つの利益を同時に得ることを意味します。
「マルチタスク」は「二つ以上の複数の仕事を同時にこなすこと」を意味していて、「一つの作業だけを選んでしなければならない・一方を選んで他方を諦めなければならないトレードオフ」の反対語になっています。
「トレードオフ」の身近な例・具体例
「トレードオフ」の身近な例・具体例には、以下のようなものがあります。
- 「税金と社会保障・福祉政策のトレードオフ」
- 「高品質な製品・サービスと安い価格設定のトレードオフ」
- 「二人の異性を同時に選べない恋愛・結婚のトレードオフ」
「税金と社会保障・福祉政策のトレードオフ」
消費税増税などの増税には多くの国民が反対しますが、税金が社会保障政策(福祉政策)の財源になっている以上、「税率据え置き・減税」と「少子高齢化社会における社会保障制度・福祉政策の充実」を両立させ続けることは基本的にできません。
税金と社会保障(社会福祉)は、社会保障(社会福祉)を充実拡張させたければ税金を上げなければいけないというトレードオフの関係にあるのです。
「高品質な製品・サービスと安い価格設定のトレードオフ」
高品質な製品を作るためには、「高級な原材料・熟練の職人の労働力・完成までにかかる時間」などのコストがかかります。
高度なサービスにも、「従業員の徹底したトレーニング・施設や設備の充実・高めの給与による従業員のモチベーション維持」などのコストがかかります。
そのため、安い価格で高品質な製品・サービスを提供することはかなり難しいのです。
基本的に「製品・サービスの品質の高さ」と「価格設定の安さ」はトレードオフの関係にあります。
「二人の異性を同時に選べない恋愛・結婚のトレードオフ」
現代の先進国(一夫一婦制)の恋愛や結婚においては、どんなに好きな相手が多くいても、二人以上の異性と同時に恋愛をしたり重婚をしたりすることは法律的・倫理的・心理的に許されることがありません。
浮気・不倫はパートナーに対する重大な裏切り行為になるだけではなく、法律的・社会的・倫理的なペナルティーまで受けることが少なくないので、「恋愛・結婚」は誰か一人だけを選んで他の異性は諦めなければならないというトレードオフになっているのです。
「トレードオフ」という言葉について徹底的に解説しましたが、トレードオフには「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという関係・状態」の意味があります。
トレードオフの類語・言い換えとしては「交換条件」「相殺」「対立関係・相反関係」などがあります。
「トレードオフ」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。