「カタルシス」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「カタルシス」とは、演劇(悲劇)の感動による精神浄化や内面に溜まっているものを吐き出す心理学的な感情浄化のことです。
「カタルシス」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・事例・特徴」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「カタルシス」の意味とは?
- 「カタルシス」の類語や言い換え・似た言葉
- 「カタルシス」の言葉の使い方
- 「カタルシス」の例
- 「カタルシス」を使った例文
- 「カタルシス」が使われている言葉
「カタルシス」の意味とは?
カタルシス“catharsis”は元々、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの「詩学」で演劇用語として用いられた「浄化・排泄」を意味する用語です。
アリストテレスはカタルシスを、「悲劇が観客の心に怖れ(ポボス)と憐れみ(エレオス)の感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」として定義しましたが、一般的にも映画・演劇・小説などで感動したり泣いたりして感情がすっきりする効果として認識されていて、カタルシスにはある種の快感・解放感が伴います。
その後、カタルシスはオルフェウス教などで「宗教的な魂の浄化」の意味でも用いられましたが、19〜20世紀にジークムント・フロイトの精神分析学が隆盛してからは、催眠療法から発展した自由連想の精神分析において、抑圧された感情を解放する「感情浄化」の意味合いで使われるようになりました。
自分の心の中に思い浮かぶことを何でも自由に話すことによって、抑圧されていた感情・願望が浄化されて精神症状が改善するのです。
「カタルシス」の類語や言い換え・似た言葉
「カタルシス」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「カタルシス」の類語・言い換え・似た言葉について、分かりやすく解説していきます。
- 「浄化」【じょうか】
- 「排泄」【はいせつ】
- 「昇華」【しょうか】
「浄化」【じょうか】
「カタルシス」の類語・言い換えとして、「感情(精神)の浄化」があります。
感情(精神)の浄化とは、自分の内面に溜め込んでいた激しくて強い感情を表出することによって起こる感覚であり、一般的に「気持ち・心がすっきりしたという感覚」を呼び起こします。
自分の内面に抑圧している感情を表出させる手段として「悲劇・喜劇などの演劇や芸術作品」、あるいは「精神分析・心理療法(サイコセラピー)・カウンセリング」などがあります。
「感情(精神)の浄化」は、「カタルシス」の類語になっています。
「排泄」【はいせつ】
「カタルシス」の類語・言い換えとして、「排泄・排出」があります。
カタルシスには自分が内面に溜め込んでいるものを、感情の発散・爆発によって一気に外部に排出(排泄)するという意味合いがあります。
いつまでもネガティブな感情や記憶を自分の内側に溜め込んでいると、様々な心身症・神経症を引き寄せてしまうので、定期的にそういった溜まったネガティブな感情・記憶を排出(排泄)して上げる必要があるのです。
カタルシスの言い換えとして、「排泄・排出」を上げることができるでしょう。
「昇華」【しょうか】
「カタルシス」の類語・似た言葉として、「昇華・解放」があります。
精神分析の文脈におけるカタルシスは、自分の内面に鬱積した本能的な感情・欲望をより高次元の生産的な欲望や適応的な願望に昇華させるという意味合いがあります。
「昇華」というのは、化学用語としては固体が液体を経ずにいきなり気体に変わることですが、精神分析学の用語としては「非適応的な性や本能の欲望」を「高次元の適応的な欲望」に転換していくことを意味しています。
カタルシスとは、芸術・演劇・心理療法などによって、内面に鬱積した欲望・願望を解放したり昇華したりすることなのです。
「カタルシス」の言葉の使い方
カタルシスという言葉は、アリストテレスの「詩学」の定義に従えば、「悲劇・喜劇などの演劇・芸術作品」に触れて感動することで、感情が解放された時に用いることができます。
更に、カタルシスの言葉は精神分析や心理療法(サイコセラピー)を受けて、自分の悩みや気持ち・考え方について話すことで、気持ちがすっきりして精神状態が回復した時にも使うことができます。
カタルシスとは、「自分が内面に溜め込んでいた感情・気持ち・記憶」を思いっきり表出(表現)して、精神状態が浄化されてすっきりした時に使用する言葉なのです。
「カタルシス」の例
「カタルシス」の具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 「カタルシス」の例1
- 「カタルシス」の例2
- 「カタルシス」の例3
「カタルシス」の例1
テレビで主人公が自分の不幸な生い立ちや家族関係を乗り越えて、自分の人生を切り開いていく感動的なドラマに感情移入して、耐えられず涙がボロボロと溢れ出てきた。
このように感動的な悲劇(ドラマ)・喜劇に没入すると、その物語が佳境に入って盛り上がってくると同時に感動的な気持ちがこみ上げてきますが、これもカタルシスの具体的な一例になります。
「カタルシス」の例2
精神分析を前提とするサイコセラピー(心理療法)を受けてみて、「過去の抑圧していた悲しい記憶や感情」を思い出し、その記憶・感情について素直に話す度に気持ちがすっきりとしていった。
このように精神分析・心理療法(サイコセラピー)を受けてみると、自分が内面に抑圧している苦痛な記憶・感情について話すことで気持ちが解放・回復していきますが、これもカタルシスの具体的な例になります。
「カタルシス」の例3
不登校になるまで自分を長年にわたっていじめ続けてきた意地悪で冷酷な昔のクラスメイトが、予期せぬ事故に遭遇して全治3ヶ月はかかる大怪我をしたと聞き、これも因果応報だと思い気持ちがすっきりと晴れた。
このように長期間にわたって溜め込んできた怨恨・憎悪・嫌悪のような感情が、何らかの出来事をきっかけにして一気に噴出・浄化されるということも、カタルシスの具体的な一例と言えるでしょう。
「カタルシス」を使った例文
「カタルシス」を使った例文にはどのようなものがあるのでしょうか?「カタルシス」を使った例文について紹介していきます。
- 「カタルシス」の例文1
- 「カタルシス」の例文2
- 「カタルシス」の例文3
「カタルシス」の例文1
カタルシス(catharsis)という言葉の語源は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが書いた「詩学」の一説にありますが、当時のカタルシスは「悲劇における感動・感情浄化の作用」が中心で、精神分析の除反応の意味合いはありませんでした。
「カタルシス」の例文2
退屈で平凡な日常生活に精神的な活力をもたらすのが感情を解放するカタルシスであり、演劇や芸術、小説、人間関係におけるカタルシスのない人生には私はとても耐えられそうにない。
「カタルシス」の例文3
ジークムント・フロイトが創始した精神分析では、カタルシスは神経症症状を取り除いてくれる除反応として注目されましたが、現代の日常生活においても「腹に溜まっているものを吐き出すおしゃべりの時間・相手」というカタルシスの機会は、メンタルヘルスを維持する上でとても大切なものです。
「カタルシス」が使われている言葉
「カタルシス」が使われている言葉である「カタルシスト」「カタルシステージ」について、その意味を解説していきます。
- 「カタルシスト」
- 「カタルシステージ」
「カタルシスト」
「カタルシスト」とは、RADWIMPSというアーティストの楽曲のタイトルです。
RADWIMPSの野田洋次郎さんが作詞作曲を担当した「カタルシスト」は、サッカーのFIFAワールドカップロシア大会のテーマソングにも選ばれましたが、カタルシストの意味には諸説あるようです。
カタルシストとは、「カタルシス(感情浄化)+ト(〜する者)」で「サッカーの観客を試合の興奮に巻き込んで、日ごろ溜まった感情を発散させる者=観客を魅了して興奮させるサッカーのプレイヤー」という意味があると推測されます。
「カタルシステージ」
「カタルシステージ」とは、DMMGAMESが制作・配信している女子向け(腐女子向け)のたくさんの美少年が登場するゲームのことです。
「闇持ち男子の心を浄化する」というのがカタルシスと関係するスローガンになっていて、音楽事務所の男子寮を舞台にして、心理カウンセラー兼マネージャーとして寮に住み込むことになった主人公(あなた)は、「心に闇を抱えた迷える男子たち」を救済するミッションに取り組むことになるのです。
「カタルシス」という言葉について徹底的に解説しましたが、カタルシスには「悲劇・喜劇・芸術作品などに感動して気持ちが盛り上がり感情が浄化されること」や「精神分析・カウンセリングによって自分の内面に抑圧していた感情・記憶を表出してすっきりとすること(抑圧した感情の解放が精神症状の改善につながること)」などの意味があります。
カタルシスの類語・言い換えとしては、「感情浄化(精神浄化)」「排泄・排出」「昇華・解放」などがあります。
「カタルシス」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。