「シスジェンダー」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「シスジェンダー」“Cisgender”とは、生まれながらに与えられた生物学的性差(男性性・女性性)に違和感がない人のことです。
「シスジェンダー」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・似たような言葉・ヘテロセクシャルとの違い」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「シスジェンダー」の意味とは?
- 「シスジェンダー」の類語や言い換え・似た言葉
- 「シスジェンダー」の言葉の使い方
- 「シスジェンダー」を使った例文
- 「シスジェンダー」と関係する言葉・似たような言葉
- ヘテロセクシャルとの違い
- シスジェンダーの対義語がトランスジェンダー
「シスジェンダー」の意味とは?
「シスジェンダー」とは、生まれながらに与えられた男性・女性という生物学的性差(セックス)に違和感のない人たちのことです。
シスジェンダーとは、「身体的な性別」と「心理的な性自認(自分のことを男性と感じるか女性と感じるか)」が一致している人のことで、「非トランスジェンダー」を意味しています。
人類の男女の大部分は、このシスジェンダーの特徴(身体と心理の性別が一致した状態)に当てはまることになります。
- シスジェンダーとトランスジェンダー:LGBT運動との関係
- 「シスジェンダー」の読み方
シスジェンダーとトランスジェンダー:LGBT運動との関係
世界的なLGBT問題の広がりの中で、自分の生物学的性差(男性・女性)と性自認が一致しない「トランスジェンダー」の人たちも増えてきていますが、トランスジェンダーであるからといって異常というわけではありません。
そういった個人個人の性自認の多様性をフラットに認めようという動きの中から、「トランスジェンダー」と並列的に定義される「シスジェンダー」という新しい概念が生み出されたのです。
LGBT運動では、性的マイノリティーの権利を守って差別を無くすことが目的になっていて、身体的性差と性自認が一致していなくても異常ではないという意味で「シスジェンダー」という新概念が考案されました。
「シスジェンダー」の読み方
「シスジェンダー」の読み方は、そのまま「しすじぇんだー」になります。
「シスジェンダー」の類語や言い換え・似た言葉
「シスジェンダー」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?「シスジェンダー」の類語・言い換え・似た言葉について説明していきます。
ただし、厳密・正確な定義では、シスジェンダーと完全に同じ意味を表す言葉はなく、「性的マジョリティーの意味」で使われる類語が多くなっています。
- 「ヘテロセクシャル」【へてろせくしゃる】
- 「ノーマル」
- 「ストレート」
「ヘテロセクシャル」【へてろせくしゃる】
「シスジェンダー」の類語・言い換えとして、「ヘテロセクシャル」があります。
ヘテロセクシャルとは異性のことを性的に求める「異性愛」のことであり、厳密には身体的な性別と性自認が一致するシスジェンダーとは異なる言葉です。
しかし、性的マイノリティーではないというニュアンスで、シスジェンダーとヘテロセクシャルが類語として用いられる場面は多くなっています。
「ノーマル」
「シスジェンダー」の類語・似た言葉として、「ノーマル」があります。
自分は性的マジョリティーに属する「性別に違和感のない普通の人(非同性愛・非トランスジェンダー)」であるというニュアンスで「ノーマル」という言葉を用います。
しかし、最近はトランスジェンダーがアブノーマル(異常)として解釈されやすいので、「ノーマル」という言葉は敬遠されやすくなっています。
「ストレート」
「シスジェンダー」の類語・似た言葉として、非同性愛者のヘテロセクシャルを意味する「ストレート」があります。
ストレートは異性のことが好きな「ヘテロセクシャル(非ホモセクシャル)」のことを意味する言葉ですが、正確には性自認に違和感のないシスジェンダーとは異なる意味になっています。
性的マジョリティーであるというニュアンスで、シスジェンダーとストレートは似た言葉として混同されることは多いのです。
「シスジェンダー」の言葉の使い方
「シスジェンダー」の言葉は、人類の男女の大多数が当てはまる「生物学的性差と性自認が一致している人・状態」を指して使用されています。
非トランスジェンダーである「身体的な性と心理的な性の一致に違和感がない人・状態」のことを指して、「シスジェンダー」という概念が使用されているのです。
「シスジェンダー」を使った例文
「シスジェンダー」を使った例文には、どのようなものがあるのでしょうか?「シスジェンダー」を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 「シスジェンダー」の例文1
- 「シスジェンダー」の例文2
- 「シスジェンダー」の例文3
「シスジェンダー」の例文1
「シスジェンダーという新概念が広まることによって、トランスジェンダーの正しい理解が進むことを願っています」
「シスジェンダー」の例文2
「シスジェンダーであるかないかは、生物学的に正常か異常かとは全く関係がありません」
「シスジェンダー」の例文3
「シスジェンダーの人たちとトランスジェンダーの人たちの共感的な相互理解を進めていくことが、現代のLGBT問題の大きな課題になっています」
「シスジェンダー」と関係する言葉・似たような言葉
「シスジェンダー」と関係する言葉・似たような言葉には、以下のようなものがあります。
シスジェンダーの概念を正しく理解するためには、以下のジェンダー学の基本的な言葉を知っておいた方が良いでしょう。
- 「ジェンダー」【じぇんだー】
- 「セクシャリティー」【せくしゃりてぃー】
- 「性的指向」【せいてきしこう】
「ジェンダー」【じぇんだー】
「シスジェンダー」と関係する言葉として、「ジェンダー」“gender”があります。
ジェンダーとは社会学で用いられる概念で「社会的性差」を意味しています。
ジェンダーとは社会的・文化的・心理的(異性関係的)に規定される「男らしさ・女らしさ」のことで、「身体的な性差・心理的な性差」と合わせてこの「社会的な性差」に適応できないと、生きづらさや心・性の悩みが増えやすくなります。
「セクシャリティー」【せくしゃりてぃー】
「シスジェンダー」と関係する言葉として、「セクシャリティー」“sexuality”があります。
セクシャリティーは「性的事象」と訳されますが、性の欲求と観念、幻想に関連するあらゆるものを指しています。
セクシャリティーは「生物学的性差・性自認・性的指向(同性が好きか異性が好きか)・ジェンダー役割」などで構成されると定義されています。
「性的指向」【せいてきしこう】
「シスジェンダー」と関係する言葉として、セクシャリティーの一部を構成する「性指向・性嗜好」があります。
性指向とは、異性愛(ヘテロセクシャル)か同性愛(ホモセクシャル)かを規定する概念のことです。
性嗜好とは「性的な欲求の内容・方向性・趣味性」のことであり、性指向よりも意味の幅が広くなっています。
ヘテロセクシャルとの違い
シスジェンダーとヘテロセクシャルの違いは、シスジェンダーは「身体的性差と性自認が一致している状態」を意味するのに対して、ヘテロセクシャルは「異性愛という性指向(性的欲求の対象が異性であること)」を意味しているということです。
厳密な定義では、シスジェンダーは「身体的な性別と性自認が一致していること」だけを意味するので、同性の相手を性的欲求(性的関心)の対象とする「ホモセクシャル」の人たちでもシスジェンダーであることは多いのです。
つまり、身体的な性別が男性(女性)で、性的対象にする性別が男性(女性)であるという「ホモセクシャル(ゲイ・レズビアン)」であっても、自分の身体的な性別に対する違和感がなければシスジェンダーということになります。
性愛の対象として同性が好きか異性が好きかの「性指向の問題(ヘテロセクシャルかホモセクシャルか)」は、「性自認の問題(シスジェンダーかトランスジェンダーか)」とは区別して考えられています。
シスジェンダーの対義語がトランスジェンダー
シスジェンダーの対義語は「トランスジェンダー(transgender)」になりますが、シスジェンダーとトランスジェンダーの間には、どちらの方が正常で優れているかという価値の上下関係(優劣判断)はありません。
トランスジェンダーは「性別越境者」という訳もありますが、「先天的な生物学的性差(セックス)」と自分の男女の意識である「性自認」が一致していない人のことを指しています。
身体的には男性(女性)なのに、心理的には女性(男性)としての自意識・自己認識を持っているという人が、トランスジェンダーになります。
それに対して、身体的な性差と性自認が違和感なく一致している人をシスジェンダーといいます。
トランスジェンダーは「LGBTのT」の頭文字になっている性的マイノリティーの一種でもありますが、現在ではその差別・偏見を無くすためにシスジェンダーという対立概念が配置されているのです。
「シスジェンダー」という言葉について徹底的に解説しましたが、シスジェンダーには「生まれながらに与えられた男性・女性という自分の生物学的性差(セックス)に違和感のない人たち」の意味があります。
シスジェンダーの類語・言い換え・似た言葉としては「ヘテロセクシャル・ノーマル・ストレート」などがありますが、完全に同じ意味というわけではありません。
「シスジェンダー」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。