「漸く」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語は世界の言葉の中でも最も難しい言語と言われています。
昔から伝わる大和言葉があれば、中国から渡ってきた故事や四字熟語。
また、最近ではインターネットが普及してから、スマホでツイートする時に使うネットスラングもあります。
地方に目を向けると、方言もあったりと、本当に様々な単語や熟語もあります。
中には似たような表現や意味を持つ言葉も数多くあり、話すこと、書くことの楽しさにも味わいがある日本語です。
その中で、「漸く」という言葉の意味を知る人はどれだけいるでしょう?
目次
- 「漸く」の意味とは?
- 「漸く」の類語や言い換え・似た言葉
- 「漸く」の言葉の使い方
- 「漸く」を使った例文
- 「漸」を使った熟語
- 「漸く」の語源
「漸く」の意味とは?
「漸く」という読み方が分かれば、言葉の意味も何となく見えてくるのではないでしょうか。
何故なら、この言葉は昔から伝わることわざのようなことがなく、ごく普通の日常会話の中でも、使われているからです。
しかし、改めてこの言葉の意味を考えてみると、しっかりと理解しているとは言いがたいかもしれません。
今一度、「漸く」の意味を見ると、「時間や手数がかかった後に待っていたことが実現するさま」という意味があります。
「やっとのことで」というニュアンスがあり「戦争が終わり漸く平和になったのである」という使い方ができますね。
他には、「苦労した結果、目標が達成できるさま」という捉え方もできて、「かろうじて」という意味も持っています。
「迷った末に熟慮して漸くたどりついた結果なのです」という言い方にも使える言葉です。
また、「時間が経つにつれて状態がゆっくりと変化するさま」も表しており「段々と」と言った意味も持っています。
「人々は漸く列を正しくして」という表現にも含まれそうな言葉でもあります。
- 「漸く」の読み方
「漸く」の読み方
「漸く」という単語の意味を知る前に押さえておきたいことは、この言葉の読み方です。
どうしても、「しばらく」と読んでしまいそうになるのですが、その読み方は完全な間違いです。
「しばらく」とは「暫く」というように書きますが、この「漸く」は「ようやく」と読むのです。
「漸く」の類語や言い換え・似た言葉
「漸く」を他の言葉で言い換えると、次のような言葉が見つかりました。
- 「やっと(漸と)」
- 「到頭」
- 「遂に(ついに)」
「やっと(漸と)」
意味としては、「長い時間や労力を費やして実現すること」や「成立するさま」のことを指しています。
「長い年月をかけて、やっとの思いで完成させることができたのです」
中々作り上げることができなかった画期的な製品。
これを多くの技術者達の熱い思いで完成させたのです。
この表現は、私達が普通に話をする時に使いますね。
「到頭」
「到頭」という漢字を見ると、ピンと来ない人もいるかもしれませんが、「とうとう」という読み方になると、すぐに意味を理解することができるのではないかと思います。
「色々なことがあった挙句に、ついに」という意味になるので、すぐに分かることでしょう。
「数ヶ月もの間、1人で作っていた試作品が、とうとう完成したのです」
こんな言い方は、いつも会話の中で出て来ているでしょう。
「遂に(ついに)」
これも「漸く」の同義語として挙げられますが、意味は「長いいきさつや経過を経た時間の後に、とうとう」ということになります。
用例としては、「長い間、黙秘していた容疑者が、遂に口を割ったのだ」
これも日常的な会話の中で、聞いたり、自分自身も使っていますね。
「漸く」の言葉の使い方
「漸く」には、実現に時間や手間がかかったことを表している言葉になります。
また、その出来事が実現するまでの間に、たどってきた苦労や大変さがあったことも表す言葉として、使うことができる日常会話の中の単語です。
但し、時間がかかったことや、苦労をしたことなどに使われる言葉であり、ごく普通の一般的なプロセスの中で物事が実現したり、完成するなど、目標に達した時には使用することはありません。
このことから、「漸く」という言葉は、話し言葉としてよく使われていることが分かります。
しかし、仕事上で上司や先輩などの目上の人に対して使ってもいいのか、迷うことがないでしょうか?
そのようなことで、とても心配になるかもしれませんが、「漸く」は副詞にあたるので敬語としての役目を果たしていません。
そのことから、「漸く」を目上の人に使っても問題がないのです。
「漸く」を使った例文
では「漸く」を使う例文を見ましょう。
- 「漸く」の例文1
- 「漸く」の例文2
- 「漸く」の例文3
「漸く」の例文1
「漸く、ほっと一息つくことができて僕も私やっと安心したよ」
これも身近な生活の中や仕事でも使われるワンシーンでしょう。
特に仕事で締め切りが迫ったタイトなスケジュールで、このようなことは、よく出てくるセリフだと思います。
「漸く」の例文2
「彼は体調を崩してから、1ヶ月の間ほとんど何も食べずに寝込んでいたのですが、漸く先週末復活して、出社することができたのです」
元気で働いていた人が、体調を崩してずっと休んでいたなら、とても心配になってきます。
それが、やっと健康が回復してきて、次に頑張れる目標を持たせることができるのです。
「漸く」の例文3
「長雨も1ヶ月ほど降り続いて漸く晴れた」
うっとうしい梅雨の雨が上がり、梅雨明け宣言。
その後は、元気な夏到来ということになりますね。
「漸」を使った熟語
「漸く」の「漸」を使う熟語だと、どんな言葉が生まれるでしょうか?
- 「漸漸」
- 「漸減」
- 「浸漸(しんぜん)」
「漸漸」
「漸漸」には、「次第に物事が徐々に進むさま」を表しており、
まるで、「麦などが元気に伸びているさま」や「麦などの穂がそろっていること」、「山の石が高く険しいこと」、「涙の流れるさま」もたとえています。
「漸減」
「漸減」は、「次第にしだいに減ること」という意味があります。
「収益が漸減していく」などの用例があります。
「浸漸(しんぜん)」
「浸漸」とは、「次第にしみ込むこと」や「しだいに程度・状態が進むこと」の意味を指しています。
「昔この辺りは、山の中腹に硫酸が浸漸しんぜんをはじめたらしいのです」
「上下に浸漸して行くもの」もあります。
「漸く」の語源
「漸く」の言葉の始まりを調べてみると、
「漸」という漢字には、「次第に」や「段々」といった意味が込められています。
語源は「漸」という字が「さんずい」に「斬る」という漢字から構成されていることから、「水の流れを斬って導き通すこと」といった意味があります。
水を斬ることは、そんなに簡単にできることではありません。
そこから「次第に」という意味に転じてきたのだと考えられています。
それから、「漸く」という意味につながって行ったのです。
同義語の「やっと」も漢字で書くと「漸と」となりますので、「漸」という漢字が、全てのベースとなっています。
「苦労した結果、目標が達成できるさま」という意味が、「漸く」にはありましたね。
私達の毎日の暮らしの中でも、ビジネスの1つの場面でも使われる身近な言葉だけに、「苦労を重ねて来た結果、何とか目標計画を達成することができたことに感謝かもしれません」
そのようなことが、様々な環境下で日常茶飯事的に起きているのではないでしょうか?
それだけに厳しく高いハードルを乗り越えた時の喜びは、とても言葉でたとえることが難しいのかもしれません。
それでも、達成した目標の後には、さらに新しい目標が求められて来ることでしょう。
その時にこの「漸く」という言葉の重みを理解することになるのかもしれまさん。
「やっと自分の願望が成就したんだ」
こんなふうに、喜ぶことができるように1日1日を大切にしなくてはなりません。