「後顧の憂い」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「後顧の憂い」の意味や類語を紹介します。
さらに「後顧の憂い」の使い方や例文を紹介していきます。
目次
- 「後顧の憂い」の意味とは?
- 「後顧の憂い」の類語や言い換え・似た言葉
- 「後顧の憂い」の言葉の使い方
- 「後顧の憂い」を使った例文
- 「後顧の憂い」を分解して解釈
「後顧の憂い」の意味とは?
「後顧の憂い」という言葉をご存知でしょうか。
ほとんど初見だという人も、少なくない言葉かもしれません。
文章を読んだり書いたりするのが好きな人にとっては、見覚えがある言葉でしょう。
そんな「後顧の憂い」の読み方や意味を紹介します。
- 「後顧の憂い」の読み方と意味
「後顧の憂い」の読み方と意味
「後顧の憂い」は「こうこのうれい」と読みます。
「後顧」は「後の事を気にする」、「憂い」は「悪い事が起こらないか心配する」という意味があります。
この二つの言葉の組み合わせで、「後顧の憂い」は「後に何か悪い事が起こらないか心配する」という意味が生まれています。
例えば、会社を創業した社長が高齢になり、次の代へとバトンタッチをする時は、「後顧の憂い」があるかもしれません。
自分がいなくなった後の事を心配するかもしれないからです。
そこで、「後顧の憂いが無いように」と、次の世代の人材を育てるなどして、自分が無き世界のために備えます。
このように、後の事を考えて、心配する様子を「後顧の憂い」という言葉で表現します。
「後顧の憂い」の類語や言い換え・似た言葉
次に「後顧の憂い」の類語や言い換えられる、似た意味の言葉を見て行きましょう。
「後顧の憂い」のように、何かを心配する心を表現した言葉がそろっています。
- 「心残り」【こころのこり】
- 「危惧する」【きぐする】
- 「気を揉む」【きをもむ】
「心残り」【こころのこり】
「心残り」は「後に心が残る事」の意味です。
また「未練」という意味も含んでいます。
「子供を残して死んでいくことが『心残り』だ」という例文が意味するように、「後顧の憂い」と同じような意味があります。
心が残らなければ、スッキリと次のステージに進む事ができます。
例えば一つの恋愛を終えた後、「心残り」さえなければ、新しい出会いを心の底から楽しむ事ができます。
しかし「心残り」があると、いつまで前の人への想いを引きずってしまう事になります。
もし「心残り」があると感じている人がいたら、できるだけの事をして心がスッキリするようにしましょう。
「危惧する」【きぐする】
「危惧する」という言葉があります。
「危惧する」には「心配する」という意味がありますが、ただの心配ではなく、うまくいかないのではないかと心配する意味があります。
「後顧の憂い」も、悪い事が起こらないように心配するという意味が含まれていますので、「危惧する」と似たような意味があるでしょう。
何かを始める時に、「絶対に成功する」と思える時と、「危惧する」時があると思います。
「危惧」を感じる時は、なぜうまくいかないと思うのか、その理由をハッキリさせた方が良いかもしれません。
「気を揉む」【きをもむ】
「気を揉む」は、あれこれと心配するという意味があります。
「やきもきする」という言葉に言い換える事もできます。
例えば子供が大学に進学するために、上京して一人暮らしをするとします。
この場合「友達とうまくやれるか」「防犯上大丈夫か」「勉強とバイトを両立できるか」「悪い人と付き合わないか」などたくさんの心配があります。
このような時は心配事が多すぎるため、単なる心配ではなく「気を揉む」事になるでしょう。
「後顧の憂い」を持つ人も、後の事を思って「気を揉む」のではないでしょうか。
「後顧の憂い」の言葉の使い方
「後顧の憂い」という言葉は、それほど一般的に使われる言葉ではないです。
しかし、使われる機会は限られますが、使わないわけではありません。
例えば、高齢になって遺書を書き遺そうと思う頃になれば、自分が亡き後の事を思い、「後顧の憂い」を使った文章をしたためるかもしれません。
またビジネスシーンでも「後顧の憂い」という言葉を使う事があります。
例えば社運を賭けたような大きなプロジェクトは、失敗が許されない戦いでもあります。
誰かにハシゴを外されたり、取引先から裏切りがあったりしたら、それでプロジェクトは立ち消えて、会社が沈んでいく事も考えられます。
そこで「後顧の憂い」もしっかりして、どこから攻撃されても大丈夫なように準備万端用意をするはずです。
このように大切な仕事を始める時は、誰かが「後顧の憂い」について話を始めるかもしれません。
「後顧の憂い」を使った例文
続いて「後顧の憂い」を使った例文を見て行きましょう。
どのように「後顧の憂い」を文章に組み込めばいいか、そのコツを見て行きましょう。
- 「後顧の憂い」の例文1
- 「後顧の憂い」の例文2
「後顧の憂い」の例文1
「後顧の憂い」という言葉を使う時は、自分がいなくなった後の世界を心配する時に使われる事が多いです。
特に、自分が死んでしまった後の、子供の様子は気になるでしょう。
そのような子供を心配する親の様子を、「後顧の憂い」使った文章にしてみましょう。
「息子は優しい性格だが、厳しさが足りない面がある。だから私が死んだ後に会社を守れるかどうか『後顧の憂い』がある」、「独身の娘を残したまま死にたくない。だから娘に婚活をさせて、『後顧の憂い』を断とうと思う」という感じです。
親は自分の子どもが大人になっても、頼りなく感じるものです。
本人は「平気だよ」と言っても、親は「後顧の憂い」を持ってしまうものなのかもしれません。
「後顧の憂い」の例文2
戦いの場面でも、「後顧の憂い」という言葉は登場します。
歴史小説などの合戦の様子を再現する時は、「後顧の憂い」という言葉を良く目にするでしょう。
「同盟軍の出陣の約束を得た。これで『後顧の憂い』なく、敵の本体に挑む事ができる」、「A大名が『後顧の憂い』になっている。何とかこちら側に寝返るよう、調略する事はできぬものか」という感じです。
合戦中に、後方から攻められるのは最悪ですから、「後顧の憂い」という言葉が登場するのも当然でしょう。
「後顧の憂い」を分解して解釈
「後顧の憂い」は「後顧」と「憂い」という二つの言葉から作られています。
「後顧」は「こうこ」、「憂い」は「うれい」とそれぞれ読みます。
それぞれの言葉の意味を知る事が、「後顧の憂い」の意味をより深く理解する事につながるかもしれません。
- 「後顧」
- 「憂い」
「後顧」
「後顧」には、「後になって気にする事」という意味があります。
また「後ろを振り返って見てみる事」を意味します。
現在、「後顧の憂い」という言葉の場合は、前者の「後になって気にする事」という意味が使われる事が多いです。
自分が亡くなった後に残る子供の心配をするなどする時に、「後顧の憂い」という言葉を使う事が多いからです。
ただし、戦争や戦の時は違います。
自軍が前進する時に、後ろから攻撃を受けないかどうかを気にする事を「後顧の憂い」と表現するからです。
「味方の軍に後ろを固めてもらう事で『後顧の憂い』を断つ事ができた」などという使い方をします。
「憂い」
「憂い」は「うれい」と読みます。
「憂い」という言葉は、悲しげで憂鬱なイメージがある言葉です。
その通りに「憂い」には「心配」という意味があります。
さらに、「悪い事が起きないかどうか、心配する」という意味も含まれています。
「後顧の憂い」という言葉の場合、後になって心配になるような事が起こらないか気にする、悪い事が起こるのではないかと心配する、そんな意味になります。
「後顧の憂い」の意味や使い方をチェックしてきました。
まだ若い人は、「後顧の憂い」という言葉を使う場面が少ないかもしれません。
しかし「後顧の憂いがある」と目上の人や両親から言われる事はありそうです。
言葉の意味を覚えておけば、きょとんとせずに済むでしょう。