「うるかす」の意味とは?北海道の方言?使い方や例文を紹介!
洗い物を水につけておいて、汚れを落ちやすくしたり、庭のゴミを掃き集めたり、布団を押し入れに入れたりするといった、日常のなにげない行動の中で使う言葉には、標準語とばかり思っていた言葉が、案外、地方独特の言い回しであることがあります。
目次
- 「うるかす」の意味とは?
- 「うるかす」の言い換え
- 「うるかす」の言葉の使い方
- 「うるかす」の例文
- 「うるかす」の語源
- 「うるかす」は何処の方言で使われる
「うるかす」の意味とは?
「潤かす」と書いて、お米を水に浸けて、水分を吸わせること。
という意味になります。
ここでのお米を水に浸けるというのは、ドボンと入れて終わりというのではなく、じっくり時間をかけて、たっぷりと水を吸わせることを指しています。
水に浸すや水に浸けるという言葉からイメージする時間の枠ではではなく、「うるかす」という言葉を用いることでイメージされる、独自の時間枠を示す言葉です。
わりと長めの時間が、イメージされます。
この時間の長さが、やわらかくて美味しいぜんざいやあんこの基となる、小豆や大豆の味を決めます。
こうした「時間をかけて」という部分に目をつけて、現在、起きている問題や解決しなければならない問題を、意図的に放っておいて、先送りにするという姿勢を意味することを指す意味もあります。
ただし、それは、北海道と一部の津軽地方で使われている意味の解釈です。
この両者は、地理的に近いので、そうした意味合いをもつことは、当然のこととして考えられますが、驚くことに、はるか離れた、北関東の一部でも使われています。
さらに、九州の、真ん中あたりの熊本県の一部でも使われています。
なぜ、北海道から遠く離れた北関東で使われるのか不思議ですが、日本中を繋いだ廻船や全国各地から北海道へ向かった開拓者、開拓の途中で挫折して帰郷した人々が、関係しているのかもしれません。
「うるかす」の言い換え
- 「うるける」【うるける】
- 「ふやかす」【ふやかす】
「うるける」【うるける】
「うるかす」をした結果、生じた現象や症状について使う言葉で、分かりやすいのはお風呂に長く入っていると、指先などがふやけたようになった時に、「うるけてしまったね」などと言って使います。
「うるかす」が、水に浸ける行為を表す動詞であるのに対して「うるける」は、その結果を表す動詞になります。
標準語の「ふやける」と同じ意味合いになります。
「ふやかす」【ふやかす】
大豆などの豆類を料理する前に、水に一晩ほど浸けておいて、十分に水分を浸透させ、やわらかくしてから、調理するのが普通で、その水に浸けて水分を含ませる行為を「ふやかす」と言います。
そして、全体がふくれたり、皮の部分がやわらかくなって、しわができた状態などのことを「ふやける」といいます。
これが転じて。
「一本すきっとした筋が通ってなく、ふやけてだらしないさま」や「きちんとしたところがなく、だらっとした力の抜けたような様子」を表す意味の言葉にも使われています。
「うるかす」の言葉の使い方
「うるかす」という動作を表す言葉ですから、動詞として使うようにすれば、特に、問題もなく、使いやすい言葉です。
しかし、使う場面が限られているので、なかなか使う機会がない言葉です。
「うるかす」の例文
- 「うるかす」の例文1
- 「うるかす」の例文2
「うるかす」の例文1
「ご飯食べ終わったら、お茶碗は、流しの桶に入れてうるかしといて」
「うるかす」の例文2
甥っ子が、名門私立中学に合格したそうだから、小豆をうるかして、赤飯を炊いてやろうと思って、嫁に「小豆を出して、うるかしといて」と言ったら、何を思ったのか、小豆の袋を裏返しにして、テーブルの上に置いていた。
「うるかす」の語源
「潤す」と表記するところからして、「うるう」という言葉が、「うるかす」の基となっていると考えられます。
「潤う」という水分をたっぷり含んだ状態を表す言葉に「かす」という「〜させる」「〜せる」といった働きをする助動詞がくっついて、できた言葉です。
つまり、対象となるものが、水分を含むのではなくて、対象物に水分をたっぷりと含ま「せる」、含ま「させる」という訳です。
あるいは、古語の「潤ふ」+「かす」から(潤ふかす)さらに(うるかす)と変わっていったのか、同じ古語の「潤へる」+「かす」から(潤へるかす)(うるぇるかす)(うるかす)なのか、いずれも正解とは言えませんが「潤す」が出発点の言葉であり、語源であることは、間違いありません。
「うるかす」は何処の方言で使われる
東北地方や北海道で主に使われていますが、どちらかと言えば、北海道の方が使われているようです。
また、使用の度合いは高くないのですが、神奈川や千葉といった関東地区の他にも、飛び石のように、岡山や山口などでも使われています。
耳にしても、目にしても、何を表した言葉なのか、かいもく見当もつかない方言の一種です。
その上、小豆を煮てあんこを作ったり、赤飯を蒸したりするようなことも、現在ではほとんどありませんから、余計に、こうした言葉に出会う機会が少なくなり、ますます縁遠い存在となってしまいます。
文化と言葉とが、密接に結びついていることを示す好例です。
大豆を煮込んだ料理なども、手間からいって買う方が早く「うるかす」も死語になるのが近い言葉だと言えそうです。