「しばれる」の意味とは?北海道の方言?使い方や例文を紹介!
寒さを表現するには「さすような」とか「こおりつくような」といった、何かにたとえる言葉が多くありますが「しばれる」は、一語でそれら全てをまとめて表しているような、方言らしい独自の言い回しをもっています。
目次
- 「しばれる」の意味とは?
- 「しばれる」の言い換え
- 「しばれる」の言葉の使い方
- 「しばれる」の例文
- 「しばれる」の語源
- しばれる」は何処の方言
「しばれる」の意味とは?
非常に寒いことを指しています。
それも気温が、氷点下よりはるかに下がった時に、凍り付くような、肌がピリピリする、睫毛なども凍るという寒さを表す意味を込めて「しばれる」と言います。
それは、体験してみないと分からない、想像もつかない寒さの世界です。
「非常に」とは、普段に使う言葉ですが、その中に込められた寒さのスケールの大きさは、寒冷地に住む人でなければ、とうてい理解できないことでもあります。
「しばれる」の言い換え
- 「凍てつく」【いてつく】
- 「極寒」【ごっかん】
「凍てつく」【いてつく】
「凍りつく」という意味の言葉です。
文章では「凍りつくような寒さ」のように使います。
ところが、凍り付く「ような」ですから、正確には、まだ、凍ってはいない、氷点下までには、気温は下がっていないことになります。
文字面では「しばれる」に似た表記ですが、表された寒さには、ずいぶんと差があります。
「極寒」【ごっかん】
「これ以上の寒さはないと考えられ程寒いこと」という意味の言葉です。
もう後がないのですから、極めて寒い様子を表しますが、漢語のために「しばれる」とは、表記上でのイメージに、違いがあり過ぎるようで、言い換えるには、無理があるようです。
「しばれる」の言葉の使い方
寒いやとても寒い時には「寒いねえ」「冷えるねえ」「かじかむねえ」など、普通の寒さの表現で済ませます。
さらに寒い時には、すごくを意味する「なまら」を付けて、「なまら冷えるね」「なまら寒いね」と言うこともあります。
では、「しばれる」とは、どんな時に使うのかというと、気温が氷点下に下がった時に使います。
ただし、北海道で「しばれる」と言う氷点下とは、マイナス20度、十勝の方では、マイナス30度まで下がるとか、そこまで下がって初めて、凍り付くように寒いという意味の「しばれる」という言葉を使うことになります。
「しばれる」の例文
- 「しばれる」の例文1
- 「しばれる」の例文2
「しばれる」の例文1
その日は、いつにもなく(しばれる)日だったので、出された料理の数々やテーブルを囲んだ人の顔、今問題となっているその件についても、鮮明に覚えています。
「しばれる」の例文2
「今日は、(しばれる)だべさ」
「したって、2月っしょ。なまら(しばれる)ころっさねー」
「そいでも、今日の(しばれる)のには、たまげたべ」
「したっけさ、こたつに入って、くちゃべるのが、一番だべさ」
「しばれる」の語源
昔話の「おじいさんは、山へ柴刈りに」に出てくる、たきぎにちょうどよい大きさの雑木の小枝などのことを柴と言います。
その柴の中にある水分が、あまりの寒さに凍結して、木の枝を内部から割ってしまうという凍裂と言われる自然現象から生まれた言葉であるという説があります。
また、あまりの寒さに、自由な動きが取れず、まるで、体を縛られたかのように感じることから「しばれる」という言葉ができたという説もあります。
さらには、開拓民として北海道に渡った人は、全国各地からだけではなく、遠くアメリカの地からも多くの人?が移住してきました。
彼らは、開拓事業の先駆者として、技術の伝授に来ていました。
だから、日本人とは親交も深く、いつも身近に生活していました。
その米国人が、極端な氷点下に気温が下がった時、口にしていた「歯をがくがくさせて震える、身震いする」という意味の“It`s shivery.”という英語の“shivery”の部分を「sibarei」と聞き「しばれい」「しばれ」「しばれる」と変化してきたとする説です。
いずれの説にも一理あって、どれとは決めるだけの確かな資料や記録はありません。
しばれる」は何処の方言
氷点下マイナス20度というような、想像すらできない、凍り付くほどの寒さを体験するといったら、北海道でしかありません。
そう考えると、もともとは、当然のごとく北海道で生まれた方言となります。
やがて、東北の方にも拡がり、比較的よく耳にする言葉になってきました。
しかし、それほどまでに冷え込む、極寒をあらわす方言だとは、認識をされていないと思います。
「凍れる」と表記されるように、凍り付くような寒さを表す方言であることを再認識したいものです。
例えば、「昨晩は、タオルがしばれちゃうくらい冷え込んだ」という言葉の中の「しばれちゃう」という表現は、「凍りついちゃう」という意味です。
タオルが、一瞬にして凍り付くような「しばれる」極寒の世界で過ごす長い冬が明ける春の訪れは、どれだけ待ち遠しいものか、想像すらできません。
実生活から生まれた方言だと言えます。
北海道を代表するような言葉「しばれる」は、語感からして、染み込むような寒さが連想されます。
もともとの方言が、ドラマや映画の舞台に使われることで、新しい意味づけを生んだり、本来の意味づけとは違う方向へずれていったりと、まさに、言葉は生き物である事を知らしめてくれる好例です。