「便宜上」の意味とは?正しい使い方と、例文語
ニュースなどで政治家や閣僚などがこの案件に関しては「便宜上」このように取り計らう、などと聞いたことがあるかもしれません。
日常生活では、それほど頻繁には使わないこの「便宜上」という言葉の意味、類語、正しい使い方と例文について調べて、日本語を正しく理解するようにしましょう。
目次
- 「便宜上」の意味とは?
- 「便宜上」の類語や言い換え
- 「便宜上」の使い方
- 「便宜上」を使った例文
- 「便宜」を使った言葉
- 「便宜上」を分解して解釈
「便宜上」の意味とは?
「便宜上」の意味とは「そのほうが都合が良い事」「そのほうが便利であること」「ある事情のために、都合をつける」という意味があります。
これらの事から読み取れるのは、恒久的に扱い方を変えるというイメージよりも、ある一定期間、もしくはある限定された状況で正しいと思える方法をとるという事です。
- 「便宜上」の読み方
「便宜上」の読み方
「便宜上」は「べんぎじょう」と読みます。
「便宜」という言葉の「便」は「たより」とも「びん」とも読みますが、この場合は「べん」と読みます。
「便利」の「べん」と覚えておくと良いでしょう。
「便宜」の「宜」は「宜しい」とかいて「よろしい」と読むこともありますが、この場合は「ぎ」と読みます。
この言葉の意味は「その場にあって都合が良い」という意味になります。
最後に「上」ですが、これは「うえ」とも読むことが出来ますが「じょう」と読むことによって「べんぎじょう」と続けて読み一つの単語になります。
この「上」という言葉の数ある意味の中で、この「便宜上」と関係あるのは、「その場で行われること」という意味です。
「便宜上」の類語や言い換え
「便宜上」には似たような意味の言葉である類語もありますし、ほかの言葉で言い換えることもできます。
そのような言葉を調べることによって、より一層「便宜上」という言葉の正しい使い方を知ることが出来ます。
- 「好都合」
- 「便利」
- 「割が良い」
「好都合」
先ほども考えましたが、「便宜上」という意味には「このほうが都合が良い」という意味があります。
ですから「便宜上」という言葉を使わずに、「好都合」という言葉を用いて「このように物事を行うほうが好都合である」と言い換えることもできます。
どちらの言葉も、その状況において、物事が良く進んでいく、もしくは進んで行っているという意味で使用することが出来るでしょう。
「便利」
「便利」という言葉の意味は「都合が良い事」「使い勝手が良い事」「楽である」という意味があります。
それで「便宜上」という言葉を使わずに、同じ意味を持たせたいときには「便利を図るならば」や「このほうが便利が良い」と言い換えることが出来るでしょう。
「割が良い」
「割が良い」という言葉はある物事をした時に、そのほうが、利益が出たり、時間の短縮になったりして、便益が出る時に使います。
「便宜上」という言葉が比較的広い意味を持つのに対して、「割が良い」というのは特に、金銭的な意味で益があるという狭い範囲で用いられることが多いです。
「便宜上」の使い方
「便宜上」という言葉はある物事を扱うときに、やり方を変えたほうが都合が良かったり、利益が出やすかったりする際に、今までの習慣ややり方とは異なるものの、「便宜上この方法に変更することにしました」などの使い方をします。
つまり、習慣的に行っている方法の事ではなく、利益のために改善を図るときに行う特別な計らいの事です。
政治家などが「便宜上」その決定をしたというコメントを聞いたりすると、悪い事をしているかのように聞こえることもありますが、基本的に言って、「便宜上」には悪い意味はなく、便利をよくするため、都合をよくするために改善する作業の事を指します。
「便宜上」を使った例文
- 「便宜上彼の名をベンと呼ぶ」
- 「便宜上この漢字はひらがなで記します」
- 「便宜上の目的と本来の目的は異なる」
「便宜上彼の名をベンと呼ぶ」
この例文の中でのベンという人物はベンと呼ぶよりも長い名前を持っています。
もしかしたら「アブラハム、リチャード、ベンジャミン3世」という名前かもしれません。
しかし、このような長い本名を毎回の会話の中で、もしくは文章の中で何度も用いるなら、文章が長くなってしまいます。
もしくは、言いたい内容の要点がぼやけてしまうかもしれません。
そのような時に、本名のように正式な名前ではないものの、「短縮して「ベン」と呼んだほうが、話すほうも、聞くほうも分かりやすいので、そのほうが都合が良いですよね。」
では便宜上彼の名をベンと呼びましょうという流れになります。
「便宜上この漢字はひらがなで記します」
漢字で書いても、難しくて、多くの人が読めないために正しく意味を伝えることが出来ない場合があります。
もしくは漢字で書くことによって誤解を招くこともあります。
そのような時には「便宜上」ひらがなで書くこともあるでしょう。
この場合は、漢字で書いたほうが正式であるものの、正しく意味を伝えるという目的のためにひらがなを用いるという事で「便宜上」という言葉を用います。
「便宜上の目的と本来の目的は異なる」
企画書を用意する時に、目的の部分で、本来の目的を記すなら、同意を得ることが難しいので、便宜上他の理由を記す場合があります。
本来ならば、正しい目的を記す必要がありますが、この場合は、企画書を通すためという特別な目的で、本来の目的とは違う理由を記しますのでたしかに「便宜上」という言葉を用いるのは正しいでしょう。
これら三つの例文から学べたのは「便宜上」という言葉を用いる時には、物事を簡略化したり、正しい方向に仕向けるために行う一つの方法であるという事が分かりました。
「便宜」を使った言葉
- 便宜上必要
- 便宜性
- 便宜を図る
便宜上必要
「便宜上必要」という言葉には、便宜という理由付けがされています。
ある人から見て、その行いや方法は100%正しいとは言い切れないかもしれませんが、便益を図るために、100%正しいとは言えない行動をとることがあります。
その場合の理由は、「正しいから」という理由ではなく、「そのほうが便宜があるから」という理由になります。
便宜性
「便宜性」という言葉は「便宜上」という言葉と少し異なります。
「便宜上」が「都合をよくするために行う事」という意味を持っているのに対して、「便宜性」とは便利である、都合が良いという様子を指示しています。
便宜を図る
「便宜を図る」とは相手にとって都合が良いように取り計らうという意味があります。
意味としては「便宜上」と同じ意味ですが、「便宜を図る」は動詞ですから、その行動に注目していると言えます。
「便宜上」を分解して解釈
- 「便宜」
- 「上」
「便宜」
「便宜」とは「便利であること」「都合が良い事」「物事を正しい方向に仕向ける」という意味があります。
「上」
この「上」には便宜を図っているゆえにという意味があります。
ただ単に「便宜」という言葉を分の最初に持ってきても理解できないですが、「上」を付け加えて「便宜上」という言葉にすることによってその後に続く文章が、便宜を図られた事柄であることを指示します。
今回は「便宜上」という言葉の意味、使い方、類語や例文について考えました。
「便宜」という言葉が持っている意味は「都合よくすること」という意味でしたが、その「便宜」に「上」を加えることによって、便宜を図った結果という意味を込めることが出来ます。
便宜を図る場合は、それが金銭的な益になるというだけでなく、利便性が良くなる、分かりやすくなる、誤解を防げる、などの理由があることも考えました。
最近日本人が頓に用いている「忖度する」という言葉とも似た意味があり、空気を読んで行動する日本人にとっては知っておいて損はない「便宜上」という言葉でした。