「わびさび」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語の紹介!
この10数年で日本に多くの外国人観光客が増えています。
彼らの観光には、京都や奈良など日本の古き良き歴史に触れることも。
目的かもしれません。
これは、見ることだけでなく、日本独特の文化を知ることも含まれています。
その時に注目されるのが、「わびさび」の世界です。
目次
- 「わびさび」の意味とは?
- 「わびさび」の類語や言い換え
- 「わびさび」の使い方
- 「わびさび」を使った例文
- 「わびさび」を使った言葉を解釈
- 「わびさび」の対義語や似た対義語
「わびさび」の意味とは?
「わびさび」の世界を感じることがあるとしたなら、それは日本庭園に行ったり、昔の茶器などに触れた時かもしれません。
私達が、日本独特の「美意識」を表す文化・表現としての「わびさび」は、歴史の授業で習っているので、何となく言葉で意味が分かるような気がしますが、詳しい意味を知らずに何となく聞いたことがある程度という人も少なくありません。
日本人が、「わび」と言えば、「さび」の意味も含まていることも含めて、認識しているのではないでしょうか。
「何となくという感性や心」といった非常にあいまいな意味として理解しているかもしらません。
「わびさび」は、言う間でもなく日本の美意識の1つで、一般的には、「質素で静かなもの」を指しています。
本来は「わび」と「さび」、2つの別々の概念を持っている言葉ですが、今では、1つの概念として理解されていることが多いのです。
しかし、「わび」と「さび」それぞれ言葉の意味は大きく異っています。
- 「わび」
- 「さび」
- 「わびさび」の読み方
「わび」
「わび」(侘び)とは、「貧粗・不足のなかに心の充足を見出そうとする意識」にことを指しています。
「わぶ」という言葉の名詞で「わぶ」という言葉には、「気落ちする」、「迷惑する」、「心細く感じる」、「落ちぶれた生活を送る」、「閑寂を楽しむ」といった意味があります。
元々は、疲弊している心身の状態を表していましたが、時代が下っていくにつれて、満ち足りていない世界の美を表す「美」の意識へと意味が変容していったのです。
その意味は、室町時代の後期に栄えていく茶の湯と結び付いて急速に進化していき、江戸時代に松尾芭蕉が「わび」の美しさを確立したと考えられています。
「さび」
「さび」(寂び)は、「閑寂さの中に、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられるような美しさ」のことを意味しています。
これは、「さぶ」という言葉の名詞の形を取っています。
さびは、「寂しい」から来た言葉ですが、「さび」には「古びる」、「色褪る」、「枯れる」という意味も含んでいます。
「わび」と同様、一見、暗く否定的な印象を持つ言葉に感じるのですが、粗末で寂しい空気や情が、いつの間にか、茶の湯や禅の世界で出てくる「精神性の豊かさ」と理解されるようになってきて、日本独特の感性として広がっていった流れを持っているのです。
「さび」には、時間が経つとともに、物事が劣化していく様も意味しています。
「さび」には、「寂」という漢字が使われるようになり、これが転じて「寂れる」というような考え方に移り、「人がいなくなって静かな状態」の意味を持つようになってきました。
茶の湯の世界では、とてもシンプル(簡素)な雰囲気を持つ世界観を味わう心がありますが、そのことが古き「日本人らしい感性」とも言えるのかもしれません。
しかし、「わびさび」は、その簡素な意味合いから、崇高な印象に変化した理解ともと取れることもあります。
「わびさび」の読み方
「わびさび」は、現代では、ひらがなで使われることが多いので、読み方を語ることは必要ありませんが、漢字で表すと、「侘び・寂び」と書くことになります。
「わびさび」の類語や言い換え
「わびさび」は古き日本人の感性を代表した言葉でもあり、類義語を挙げることは難しいのですが、あえて言うなら、次のような言葉となるでしょう。
- 「趣き」
- 「心に響く」
- 「静寂閑雅」
「趣き」
「趣き」とは、「そのものが感じさせる風情」、「しみじみとした味わい」、「全体から感じられる様子やあり様」を意味しています。
「異国情緒の趣きのある街」といったような使い方となりますが、この言葉の感性に訴えた表現となります。
「心に響く」
「心に響く」は、「印象深く伝わる」という意味になるでしょう。
「あの人の曲は、多くの人々の心に響く」
「彼の書いた小説は、私達の心に響く」
このような使い方になります。
この表現もやはり、心に訴えかける言葉と言えます。
「静寂閑雅」
「静寂閑雅」は、「せいじゃく-かんが」と読みますが、意味としては、「静かでひっそりとしていて、みやびやかな風情のある様」を表しています。
「しんと静まり返っているさま」の「静寂」と、「閑静でみやびやかな趣のあるさま」の「閑雅」から組み合わさった言葉で、「心にしみじみと思われるもの」という理解もできるでしょう。
日常会話の中では、あまり使われる表現ではありませんが、言葉の意味合いには、奥深いものがあります。
「わびさび」の使い方
「わびさび」を日常生活の会話の中で使うことは、あまりないと思われるのですが、
古き良き時代の世界観を言葉にする時に使うことになるでしょう。
京都では代表的な観光地として挙げられる「鹿苑寺金閣」と「慈照寺銀閣」。
目を見張る金閣寺と比べて、銀閣寺を見ると、非常に質素な佇まいをしているのですが、「わびさび」の奥深さと理解できる名スポットと言えます。
「わびさび」を使った例文
「金箔貼りの華やかな金閣寺と比べて、静かな佇まいを持つ銀閣寺は、わび・さびで違った魅力を持っている」
「静寂に包まれたわび・さびの景色を目の前にしてその世界を理解することができると、新しく華々しいもの環境ばかりを見ているだけでは知ることのできない、奥ゆかしい価値観を見出すことができる」
このような表現も「わびさび」を理解するために、使う表現かもしれません。
カラフルで目を見張る世界観だけでは、決して理解することがない価値観かもしれません。
「地味や質素という言葉で片付けてしまいそうなわび・さびの美しさは、その簡素さが独特の味わいがあるのです」
これも「わびさび」の真の意味を理解する時に使われそうです。
「わびさび」を使った言葉を解釈
「わびさび」を使った言葉では、どのような言葉があるでしょうか?
- 「わびの精神」
- 「さびのある」
「わびの精神」
「茶道の茶室に見られるわびの精神は、豊かな現代生活を改めて見直したいものの1つかもしれません」
これは「茶道の茶室に見られる質素や簡素さから見る精神は、豊かな現代生活の中で暮らしている私達の習慣を見直したいものの1つ」と言えるのかもしれません。
「さびのある」
「この茶碗はさびがついて新品にはない深みと味わいが出てきた」
「この茶碗は長年使ってきたことで古びた色合いが付いて、新しい物にはない深みと味わいを見ることができる」
これも「さび」の意味を表している言葉になるでしょう。
「わびさび」の対義語や似た対義語
「わびさび」の対義語を列挙することは、非常に難しいかもしれません。
但し、「わびさび」には、「静寂」という意味を含まれているので、その対義語的な意味としては、「喧噪」、「喧騒」(けんそう)=「声や物音で騒がしいこと」という言葉が挙げられるかもしれません。
「わびさき」の世界観を言葉で表現することは、非常に難しい概念かもしれません。
かなり前ですが、某テレビで「銀閣寺」を紹介する番組があったのですが、当時の室町幕府の将軍が、その一室で政務をこなしてした部屋が紹介されていました。
その部屋は非常に質素な佇まいをしているのですは、その小さな窓から見える庭が、質素な室内を味わいのある雰囲気にしているのです。
これも、ある意味「わびさび」の1つの現れなのかもしれません。