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「ひゃっこい」の意味とは?方言?使い方や例文の紹介!

暑さや寒さ、お風呂の温度やものに触った感じなど、人の感覚に関する表現の仕方は実に多彩です。

その上に、方言が加わってくると、さらに表現の仕方は、様々に分かれていきます。

ひゃっこい

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「ひゃっこい」の意味とは?方言?使い方や例文の紹介!>


目次

  • 「ひゃっこい」の意味とは?
  • 「ひゃっこい」の言い換え
  • 「ひゃっこい」の言葉の使い方
  • 「ひゃっこい」の例文
  • 「ひゃっこい」の語源
  • 「ひゃっこい」は、何処の方言?


「ひゃっこい」の意味とは?

「ひゃっこい」の意味とは?

「冷たい」という意味です。

「ひゃっこい」「ひゃっ」の部分が、冷たい状態を表す「冷」(ひや)で、「こい」は、強める意味合いをもっています。

合わせて「冷っこい」となりますから、比較的意味の分かりやすい言葉です。



「ひゃっこい」の言い換え

「ひゃっこい」の言い換え

どれも「冷たい」ことを表す言葉ですが、一見似ているようで、微妙に違っています。

  • 「ひやこい」【ひやこい】
  • 「しゃっこい」【しゃっこい】
  • 「ひやい」【ひやい】
  • 「つめたか」【つめたか】

「ひやこい」【ひやこい】

関西方面で使われている方言です。

この大阪や奈良、和歌山で使われているのと同じ方言が、和歌山と海をへだてて対峙する、徳島でも使われているという事実は、言葉の拡がり方を見る上で、大変興味深いものです。

なお、海を隔てて対峙するこれらの県では、「冷たい」を意味する方言で、「ひやこい」という言葉が使われています。

また、同様の海を挟んで同じ方言という事例が「しゃっこい」を方言として使う北海道と青森の間にも生じていて、両者の間に、海の存在があろうとなかろうと、あまり問題ではなく、それよりも方言の拡がりには、隣接するということが、条件の一つとして、大事な点だと考えられます。

「しゃっこい」【しゃっこい】

「ひゃっこい」「ひ」「し」に変化した方言です。

生粋の江戸っ子が苦手とする「コーヒー」「コーシー」に,「必死に(ひっしに)」が,「しっしに」と、無意識のうちに「ひ」「し」の発音に変化してしまう事例と重ねて考えると、わかりやすい方言です。

しかし、関東地区で、この方言を使っているのは、埼玉と神奈川だけです。

それに対して、その地方の方言となっているのは、東北地方の青森、秋田、福島と北海道です。

また、語尾が「え」に変化して「しゃっこえ」となる所もあって、宮城や新潟の方言は、その例にあたります。

「ひやい」【ひやい】

西日本を中心に、使われている言葉です。

広島や山口を中心に使われ、瀬戸内海を挟んだ愛媛でも、海の存在は関係ないかのように同じ「ひやい」を使い、その隣の高知でも、隣接の条件からか、短く「ひやい」と言って、冷たさを表現しています。

「つめたか」【つめたか】

九州では、「冷たい」「か」をおくって、「つめたか」とする方言が、福岡、熊本、長崎で使われており、面白いのは、感嘆詞をそのまま方言にしたような大分の「ひえー」や宮崎の「つめてー」があります。

「ひゃっこい」の言葉の使い方

「ひゃっこい」の言葉の使い方

名詞や形容詞として使うことが出来る言葉ですので、割と使いやすい言葉です。



「ひゃっこい」の例文

「ひゃっこい」の例文
  • 「ひゃっこい」の例文1
  • 「ひゃっこい」の例文2

「ひゃっこい」の例文1

あんまり暑いので、かき氷を頼んだところ、思った以上に、容器の(ひゃっこい)のに驚いて、思わず「ひゃっこーい」と、叫んでしまった。

「ひゃっこい」の例文2

「ジュースを冷やしてきたので、どうぞ」

「ありがとう。重かったでしょう」

「はい、どうぞ」

「ひゃあ、(ひゃっこい)。(ひゃっこい)」

「ひゃっこい」の語源

「ひゃっこい」の語源

もともとは、江戸時代に侠客という、自分の身を犠牲にしてでも、弱いものを助けてやろうとする、気性に富んだ男気のある生き方をする者同士が集まり、徒党を組んで市中を闊歩していました。

彼らは、町火消しや旗本の次男坊からなる旗本奴、それに対抗する町奴などで、ある意味では、後の愚連隊や博徒などの前身となる集団です。

そうした旗本奴や町奴などの侠客が使っていた「奴詞」という独特のことばがあります。

とりわけ市中を徘徊し、勢力を誇示したのが、六方組と呼ばれる集団でした。

笊籬組、吉屋組、唐犬組、鶺鴒組、大小神祇組、鉄砲組、の六つの組で、その中では、「六方詞」と呼ばれる威勢が良く、乱暴なことばが、あえて使われていました。

例えば、「言う」「ほじゃく」「事」「こんだ」「涙」「なだ」というような言い回しに変えていて、その中で、「冷たい」「ひゃっこい」と言われていたのが、「ひゃっこい」の語源だと考えられます。

また、江戸時代には、冷たい井戸の水を桶に汲んで、それに、白玉と砂糖を加え、市中を売り歩いた「水売り」なる商売がありました。

その水売りの発する売り声が「氷水あがらんか、ひゃっこい。

汲みたてあがらんか、ひゃっこい」
といって、「ひゃっこい」をおはやしの音頭のようにして、調子を取りながら、売り歩いていたことに由来するという説もあります。

つまり、その調子を取る売り声が、いつしか冷たいことを表す言葉に転じたと言う訳です。

「ひゃっこい」は、何処の方言?

「ひゃっこい」は、何処の方言?

江戸を発祥の地とするのが、適切だと考えられます。

しかし、個々に違いはありますが、全国に「冷たい」ことや「冷たさ」を表す言葉が存在していて、何処の方言とは、言いがたい面もあります。

大都市江戸から広がったにしても、原型となる「ひゃっこい」は、関東地区では埼玉に残るだけですし、静岡、福島で使われてはいますが、埼玉と隣接している訳でもなく、何処の方言かは、限定できないようです。

icon まとめ

同じ冷たさを表現する言葉の中でも「ひゃっこい」は、冷たいものに、触ったり、触れたりした瞬間に思わず出そうな言葉で、表現する対象をよくとらえている、音声言語を基にした雰囲気のある方言の一つです。