「玲瓏」とは?意味や類語を例文とともに説明【羽生善治】との関連についても紹介
「玲瓏」ということば、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。
そもそもなんて読むの?という方もおられると思います。
ここでは「玲瓏」について、意味や読み、類語や使い方など紹介致します。
また、日本の将棋棋士として有名な羽生善治さんとの関連も見ていきましょう。
目次
- 「玲瓏」の意味とは?
- 「玲瓏」の類語や言い換え
- 「玲瓏」の使い方
- 「玲瓏」を使った例文
- 「玲瓏」を使った言葉
- 羽生善治と玲瓏
「玲瓏」の意味とは?
それではまず、「玲瓏」の意味を見ていきましょう。
「玲瓏」とは、
- 金属や玉が美しく、また、冴えざえした澄んだ音を立てるさま。
- 麗しく照り、輝いているさま。
- 玉などが透き通っており、曇りのないさま。
の三つの意味を持っていることばです。
つまり、宝石など、玉のように濁りがなく、澄んでいるさまや、それらが触れ合い、冴えた音を響き渡らせるさまをいうことばになります。
- 「玲瓏」の読み方
「玲瓏」の読み方
「玲瓏」は、「れいろう」と読みます。
「玲」とは、玉や金属が触れ合い、涼しげに鳴る音のことを言います。
また、色が冴えていて鮮やかなさまのことも言います。
透き通るような、高く美しい音のこと、またその音が奏でられるようすの美しさを表しています。
鮮やかで透明感のある字であることからも、特に女の子の名前などにも使われることがありますね。
また、「瓏」にも、玉が触れ合い、澄み切った音のなることや、明らかなさま、という意味があります。
似た意味を持つことばを組みあわせた熟語になっていることがわかりますね。
「玲瓏」の類語や言い換え
意味と読みはわかったけれど、まだなんとなく腑に落ちない。
そういうときは、類語を参考にしてみてください。
似たようなことばがわかると、ああ、そういうことか、と納得できることがあります。
以下に三つ、「玲瓏」に似た意味を持つことばを挙げましたので、見ていきましょう。
- 「燦然」【さんぜん】
- 「清澄」【せいちょう】
- 「清か」【さやか】
「燦然」【さんぜん】
「燦然と輝く太陽」なんて聞いたことはないでしょうか。
「燦然」は、きらきらと光っているさまや、はっきりと鮮やかなさまを言います。
「玲瓏」のように、玉のように澄んだ高い音、という意味は含まれませんが、美しく光っている、という点がよく似ていることばになります。
「燦然たる名誉」なんていうふうにも使われており、こちらのほうがよく聞かれることばではないでしょうか。
「清澄」【せいちょう】
「清澄」は、読んで字のごとく、澄み渡っていて清らかなさまを言います。
「豊かな山だとは聞いていたが、ここまで清澄な場所も珍しい」このように、清澄な○○というかたちが使いやすいですね。
「清澄な山の空気」などというと、非常に澄んでいて、つい深呼吸がしたくなるイメージがわきませんか。
「清か」【さやか】
「きよい」、という漢字を使って、「さや(か)」と読みます。
フランス民謡を訳したものに、「星かげさやかに」なんていうものがありますね。
「清か」は、「冴える」ということばと同じ語源から来ていることばになります。
はっきりとして明らかなさま、という意味を持ち、「明か」とも書きます。
また、音の冴えて聞こえるさま、という意味もあります。
このような意味から、「玲瓏」とよく似たことば、として分類されます。
「玲瓏」の使い方
「玲瓏」は、「玲瓏と輝く月」や、「玲瓏たる星」というかたちで使われます。
どちらも対象物があり、そのものが「玲瓏」としているのだ、という修飾のために使われていることがわかります。
とても美しく澄んだものや音に出会ったとき、「玲瓏な○○」として人に伝えると、その感動や美しさが伝わるのではないでしょうか。
「玲瓏」を使った例文
- 「玲瓏」を使った例文1
- 「玲瓏」を使った例文2
「玲瓏」を使った例文1
「彼の声は玲瓏として響き、ホール中を感動にわかせた」
ここでは、彼の声の美しく澄み、響き渡るようすを、「玲瓏」で表しています。
「玲瓏」を使った例文2
「積雪でどうしようもなく冷え込む朝だったが、外に出ると玲瓏たる朝日が辺り一面に降り注いでいた」
ここでは、冴えざえとした朝の光りの輝くさまを、「玲瓏」を使うことで表しています。
「玲瓏」を使った言葉
ではここで、「玲瓏」を使ったことばをいくつか紹介していきます。
意味はわかったが使い方がわからない、という方も、例文を参考にすこしずつ慣れていくと、いつの間にかことばの用法が飲み込めている、ということはよくあることですよ。
順番に見ていきましょう。
- 「玲瓏たる」
- 「八面玲瓏」
- 「玲瓏な声」
- 「玲瓏流星群」
- 「玲瓏どうふ」
「玲瓏たる」
「寒さが厳しいとは聞いていたので冬が来るのが憂鬱だったが、この玲瓏たる雪の降り積もるさまは、人の心を明るくするものがある」
すでに「玲瓏たる星」「玲瓏たる朝日」という例文を紹介してきましたが、さらにもうひとつ、「玲瓏たる雪」という例文を紹介しました。
冬の、呆れるほどの寒さのなかで、まだだれにも踏まれていない美しい雪と、澄んだ空気に圧倒されながらも心癒やされる、という情景をよく表しています。
「八面玲瓏」
「見てみなさい、あれが、八面玲瓏たる富士の山だ」
「陽子さんは、八面玲瓏な人柄だと以前から感じていた」
山と人を同じ形容をするのはすこし不自然な感じがするでしょうか。
「八面玲瓏」には、どの方面を見ても美しく、透き通っているさま、という意味があります。
ここから、心にすこしもわだかまりのないさま、という意味もあるのです。
ですので、「八面玲瓏」な山もあれば、「八面玲瓏」な人もいる、ということになります。
「玲瓏な声」
「ソプラノ歌手として有名なあの女性は、実に玲瓏な声を持っている」
「あの女優の玲瓏な声は、持って生まれた才能だと思っていたが、辛い境遇のなかで重みを増したのだと、彼女のドキュメンタリー番組を見て知った」
このように、とても高く澄んでいる、玉のように美しい声のことを「玲瓏な声」と言います。
「玲瓏流星群」
「玲瓏」を使った作品のなかに、「玲瓏流星群」があります。
YASUHIRO(康寛)さんという方が作詞・作曲をした、初音ミクのオリジナル曲です。
流星に願いを込める女の子の気持ちを歌った曲です。
それを、「玲瓏流星群」と称することで、女の子の願いの清らかさが伝わってくるようですね。
「玲瓏どうふ」
豆腐の寒天寄せ、という料理を表す。
ここでは「玲瓏」は、「こおり」と読ませる。
つまり、「こおりどうふ」と読む。
豆腐料理百種を紹介した、『豆腐百珍』というレシピ本に載っている。
この本は、江戸時代に大変流行した本。
そのなかで「玲瓏どうふ」は、奇品(意表をついた料理)の一つとして挙げられている。
羽生善治と玲瓏
「玲瓏」と聞いてまず、羽生善治さんが思い浮かぶ、という方も多いかもしれません。
羽生さんが揮毫をする際に好んで書く文字として、「玲瓏」が挙げられるのです。
将棋の世界における揮毫とは、サイン会などで、棋士に色紙を渡し、なにか書いてもらうことを言います。
その場において羽生さんは、「玲瓏」という文字を扱うことがよくあるのです。
棋士にとって、渡された色紙や扇子になにを揮毫するか、というのは、生き様や信念を色濃く表明する、重要な場になります。
ここでのことばの選択は、自分に向き合うことでもあるのですね。
澄み切った心で盤上を鮮やかに彩る。
そんな羽生さんの心の表れではないでしょうか。
「玲瓏」とは、玉のように濁りがなく、澄んでいるさま。
その玉の触れ合ったときに奏でる高らかな音のことを意味するのだとわかりましたね。
類語や「玲瓏」を使ったことば、また羽生善治さんとの関連もご紹介しました。
清らかな心で将棋と、そして自分と向き合っている羽生さんの信念にも触れられたことと思います。
美しい風景、息を飲むほどの絶景などに出会ったとき、また冴えざえとした清らかな声を聞いたとき、「玲瓏」ということばを思い出し、どこかに発信してみるのもいいかもしれませんね!