「おおきに」の意味とは?どこの方言?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
言語を学ぶ楽しみの一つに、同じ意味でも各地で微妙に違う言い回しの差を知る事があります。
そうした方言の中でも、大阪弁や京都弁はひときわ大きな存在感を放っています。
本項ではその中でも特によく知られる「おおきに」について解説します。
目次
- 「おおきに」の意味とは?
- 「おおきに」の類語や言い換え
- 「おおきに」の使い方
- 「おおきに」を使った例文
- 「おおきに」を使った言葉の解説
- 「おおきに」と言われた時の返事
「おおきに」の意味とは?
- 「おおきに」の意味
- 「おおきに」の使われる地域
- 「おおきに」の言い方の違い
「おおきに」の意味
副詞の「大きに」から来ており、主に京都弁(京言葉)や大阪弁といった上方語で頻繁に使われる言葉です。
「おおきに」一語だけですと、一般的には感謝の意を示していることになります。
これは「おおきに、ありがたい」を省略した格好であり、英語で例えると“Thank you very much”の“very much”だけで気持ちを伝えているようなものです。
「おおきに」の使われる地域
京都に限らず関西では広く使われている言葉ですが、少々外れた九州や関東でも用いる地域はあります。
また若干形を変えて伝わっている地域(秋田の「おぎに」宮崎の「おおきん」)もあり、テレビメディアなどの影響も手伝って、日本国内では通じない方が珍しい言葉であるといえます。
「おおきに」の言い方の違い
「おおきい」は、関西語圏では頭にアクセントが付きますが、
これが「おおきに」になると、「き」にアクセントが付いて区別されます。
京言葉はひらがな表記が一般的な各地方言の中でも、「はんなり」「ほな」「はばかりさん」などh子音が多い、アクセントや言い回しが流麗など、やんわりとした丸みを相手に与えるのが印象です。
「おおきに」も例外ではなく、例えばこんな風に頭の中で思い浮かべて下さい。
「(素早く、勢いよく)おおきに!」大阪の商人のイメージ
「(ゆったり、優しく)お〜きに」京都の舞妓のイメージ
こうするとどんな日本人でもたやすく連想できるように、同じ表記でもその言い回しには各地ごとの特徴があります。
「おおきに」の類語や言い換え
- 「だんだん」【だんだん】
- 「きのどくな」【きのどくな】
- 「ごちそうさまです」【ごちそうさまです】
- 「にへーど、にへーでーびる」【にへーど、にへーでーびる】
「だんだん」【だんだん】
テレビドラマのタイトルにもなっていますので、耳にした方も多いでしょう。
ドラマの舞台となった鳥取などの山陰地方の他、愛媛県でも用いられます。
漢字では段々と書き、元は「いろいろ」という意味があったようです。
もちろん「おおきに」同様、後ろの「ありがとう」が省略されています。
「きのどくな」【きのどくな】
北陸地方で使われる感謝の言葉です。
この場合気の毒なのは相手ではなく、「相手にさせてしまった苦労や手間を考えると、自分の気持ちが毒される」、つまり申し訳ない、迷惑をかけたという意図で用いられます。
「ごちそうさまです」【ごちそうさまです】
新潟県では、食事のあとだけでなく、日常での感謝、特に贈答品への返礼に対し、「ごちそうさま」と言う場合があります。
「にへーど、にへーでーびる」【にへーど、にへーでーびる】
独自の言語体系といえばやはり沖縄県を欠かすわけにはいきません。
拝むといった意味の「にへー」に、「ど」、または丁寧語の「でーびる」が付いて「ありがとうございます」となります。
この他、感謝ひとつ取ってみても「にーはい(二拝)ゆー」「かふー(果報)しやたさー」「ふがらっさ」など、琉球地方にはまるで外国語かと見紛うような独特の味を持つ言葉が多く存在します。
「おおきに」の使い方
相手の行為に対しての感謝、業者とのやりとりや買い物、あるいは単に別れ際の挨拶など、ごく軽い庶民的な取引の場で常套句として使われます。
ただし、前述した通り後に何らかの言葉が省略されていますから、素直に肯定的な意味の場合もあれば、やんわりと断る場合にも用いられるなど、そこに微妙なニュアンスを含めることができます。
おおきには普通目上の人には使いませんが、あえてもっと敬意を払うならば、京言葉では「おおきにどす」、または省略せずに「おおきにありがとうさんどした」などと言う場合があります。
「おおきに」を使った例文
「京都を旅する楽しみの一つは、やはり着飾った舞妓さんと言葉を交わすことだ。一度、仕事中でない時に無礼を承知で誘ってみたが、『おおきに』の一言で済まされてしまった。あれはおそらく『ノーサンキュー』の意味だったのだろう」
「おおきに」を使った言葉の解説
- 「まいどおおきに」
「まいどおおきに」
関西語圏内の「まいど」は「毎度ありがとうございます」を略した形から生まれた、「おおきに」の類語といえる言葉です。
後が省略された慣用句同士、「おおきに」と大変相性が良いのも当然で、「まいどおおきに」と重ねる事によって謝意を強めています。
「おおきに」と言われた時の返事
- 「かまへんよ」「まいど」「なにおっしゃっとくれやす」
- こちらも「おおきに」で返す
「かまへんよ」「まいど」「なにおっしゃっとくれやす」
自分と相手の立場によって使い分けが必要な言葉です。
お互いが対等な立場なら、構わない、問題ないという意味で「かまへん」「かめへん」を用いて問題はありません。
先にも出てきた「まいど」は、こちらが商人側、つまり(こちらこそ、買ってもらって)毎度ありがとうございますといった場合に用いられます。
京都では「なにおっしゃっとくれやす(何をおっしゃいます)」と言えば、「どういたしまして」と同じ事になります。
こちらも「おおきに」で返す
道で出会って世間話をし、「いつもありがとう」と会釈して別れる、など、慣例としての挨拶では、お互いに「おおきに」で済ませてしまってもよいようです。
こうして調べてみると、普段よく耳にするだけあって非常に多彩な使い方のできる、魔法の言葉という印象が強まります。
「おおきに」に限らず、省略形でのシンプルな言い回しは日本各地に無数に存在しますので、これを機に学んでみてはいかがでしょうか。