「圧巻」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
圧巻とは大変な誉め言葉として使われますが、意味を間違いやすい言葉でもあります。
本来の使い方や誤用の注意点をご紹介します。
目次
- 「圧巻」の意味とは?
- 「圧巻」の類語や言い換え
- 「圧巻」の使い方とよくある間違い
- 「圧巻」を使った例文
- 「圧巻」を使った言葉
- 「圧巻」とその他言葉の違い
「圧巻」の意味とは?
圧巻とは、最も優れた部分、とても優れたものに使う言葉です。
圧巻とはそもそも、中国の故事がその言葉の由来となっています。
中国には科挙という役人のためのテストがありました。
その答案用紙は「巻」であり、最もいい答案のできた答案用紙を一番上に置き他の答案用紙の「圧」としたことが「圧巻」の言葉の元です。
他の答案用紙より優れているため一番上に置かれていた用紙の圧力のことをさすため、本来は書物の一部分が他の部分より優れていることに使われる言葉でした。
時代と共にその他のものを表すことにも使われるようになりました。
- 「圧巻」の読み方
「圧巻」の読み方
圧巻は「あっかん」と読みます。
圧力、重圧など、「あつ」と読ませることの多い「圧」ですが、圧巻の場合はアの後ろは小さいツで発音することを覚えておきましょう。
同じ「圧」で「あっ」と読ませる単語には、ほかに「圧搾(あっさく)」「圧迫(あっぱく)」などがあります。
「圧巻」の類語や言い換え
圧巻という言葉は、現在でこそ様々なものを賞賛するときに使う言葉ですが、本来は書物などをほめたたえる時に使う言葉でした。
さらに言うと、全体のことより「その中の一部」を褒める時の言葉です。
そのため、圧巻を言い換える時には必然そのような一部を切り取った誉め言葉が多くなります。
その例を3つご紹介します。
- ハイライト【はいらいと】
- 見どころ【みどころ】
- 呼び物【よびもの】
ハイライト【はいらいと】
あらゆるエンターテインメント作品では、起承転結や序破急といった作品上の緩急が存在します。
その中の、一番の面白い盛り上がりが「ハイライト」です。
圧巻とは、その書物の中で一番優れているという部分を指す言葉。
そのため、「圧巻な盛り上がりを見せる」という意味で、ハイライトは似た言葉と言えるでしょう。
しかし、エンターテインメント作品はハイライト以外にも圧巻な場所は多々あるもの。
導入が圧巻である、ラストが圧巻であるという場合もあるので、ハイライトとは完全なイコールではありません。
見どころ【みどころ】
ハイライトより「圧巻」に近くなるのが「見どころ」です。
これはハイライト同様、エンターテインメント作品のなかでも特に面白いところを指します。
この部分が物語の盛り上がりのみならず、例えば小説であれば文体であったり、作者の来歴であったりなども含むのがハイライトとは異なってきます。
しかし、見どころはそのエンターテインメント作品の複数の要素をさすもの。
圧巻は、他の部分をすべてしのぐような群を抜いた良さを表すイメージなので、少々意味合いは異なってきます。
呼び物【よびもの】
呼び物も、エンターテインメント作品の中でウリとなる要素のことです。
しかし、呼び物がさすのは多くの場合その話題性。
例えば、映画の場合は「動員数」であったり、「芸能人も多数観た」といった評判であったりと、内容よりもその作品にまつわる社会的な数字などを指すことが多くなります。
圧巻というには少々物足りないかもしれませんが、「圧巻の動員数」と言えば、他の映画よりたくさんの人が映画を見ているという意味になるので、あながち間違いでもないのかもしれません。
「圧巻」の使い方とよくある間違い
圧巻とは、そのジャンルの中で特に優れたものを表す時に使います。
そのため「最も優れた部分」と組み合わせて使うのが前提であり例えば「圧巻される」など同士として使用するのは誤りです。
「圧巻」を使った例文
圧巻とは、本来書物の優れた部分を取り上げる言葉でした。
しかし現在は書物だけを表す言葉ではありません。
また、同じ作品内の優位部分を表すだけでなく、同ジャンルのものを比較して優劣をつけるときにも使われるようになりました。
二つの意味の例文をひとつづつご紹介します。
- 圧巻のラストシーン
- 圧巻の演技
圧巻のラストシーン
「圧巻のラストシーン」は、「圧巻」本来の意味に近い使い方です。
この場合、起承転結の結びが特に優れた作品などに使われる言葉です。
もちろん、起承転の前半が悪いという意味ではありません。
この場合は前半、中盤への運びが素晴らしく、そのストーリーが見事に着地したという誉め言葉として使われています。
圧巻の演技
「圧巻の演技」と言った場合、本来は同じ映画や舞台などに登場している役者の中でも一番優れている役者の演技に対して使う言葉です。
しかし、現在ではそういった比較の意味で使われることはあまりなく、単純に素晴らしい演技という誉め言葉で使われています。
「圧巻」を使った言葉
圧巻を使った言葉でよく使われる言葉を2つご紹介します。
- 「圧巻の景色」
- 「圧巻の迫力」
「圧巻の景色」
圧巻の景色とは、景色の中でも特に優れている、素晴らしい景観を表す時に使います。
圧巻であるとは比較の言葉であり、ほかに劣る景色があることを前提にしています。
しかし、こと景色というジャンルで測った場合、普段の日常風景なども風景には違いありません。
そのため、観光用の見晴らし台などから見える景色は、すべて「圧巻の景色」であると言っても過言ではありません。
とはいえ、その中でも特に素晴らしい景観に対して使うようにしたいものです。
「圧巻の迫力」
圧巻の迫力とは、主に集団の中でもとりわけ目立っている人の雰囲気に使われる言葉です。
イメージとしてはポジティブな印象で使われ、例えば「圧巻の迫力のある演技」であったり「スタジアムを走り抜ける圧巻の迫力」などと使われます。
迫力というと恐ろし気なイメージにも捉えられてしまいますが、どちらかと言えば真摯・真面目さ・技術の高さなどから出る本物のオーラという雰囲気で使うとしっくりくる言葉です。
「圧巻」とその他言葉の違い
圧巻という言葉には、読み方と意味が似ている言葉がいくつかあります。
しかし、圧巻の本来の意味とはまるで違ったり、範囲が極めて限定されてしまったりするので、誤用には注意しましょう。
代表的な3つの例をご紹介します。
- 圧巻と席巻の違い
- 圧巻と壮観の違い
- 圧巻と圧倒の違い
圧巻と席巻の違い
大変似た漢字を使う「席巻(せっけん)」。
意味合いとしても他を凌駕したり、猛威をふるうという意味合いで、似たものを持っています。
席巻の席とは、むしろのこと。
ござなどと同じく敷物として使われていたものです。
座っていた席を巻いて一気に取ってしまうように、領土をかたはしから攻め取ることをさします。
そのため、「業界を席巻する」「ジャーナリズムを席巻した」等使いますが、圧巻はひとつのジャンルの中で優れたものを表す言葉。
席巻は外に広めるイメージですので、根本から使用範囲が異なっています。
圧巻と壮観の違い
圧巻と読み方の似た「壮観(そうかん)」。
圧巻という言葉がなぜか景色を賞賛するときに使われることが多いため類語と思われがちですが、壮観と言った場合は景色のみに特化した賞賛の言葉です。
そのため、それ以外のジャンルへの誉め言葉にはならないので注意しましょう。
圧巻と圧倒の違い
圧巻と一番意味を誤りやすいのが「圧倒(あっとう)」です。
他よりも優れたものを褒める時に使うというのも一緒なので、混同してしまいがちです。
しかし、圧倒は数ぐれていることにより「他の物事を押さえる」「周囲より段違いで勝ること」など、比べる対象が「他」であることがポイントです。
そのため、「圧倒のラストシーン」など作品の部分を褒めるときには適しません。
また「圧倒な演技」ではなく「圧倒する演技」のように動詞としても使用することができる部分が異なってきます。
圧巻という言葉は、ものごとの内容を深く知り、その魅力をきちんと知らなければ使えません。
圧巻と使うことにより、そのものごとを深く味わっていることにもなります。
ぜひ理解を深め、圧巻な部分を堪能できるようにしましょう。