「おいど」の意味とは?京都の方言?使い方や例文を紹介!
悠久の都、京都には、千年を超える歴史が息づいています。
そんな中、関西圏の中にあって唯一、京都独自がもっている言語文化があります。
「ぶぶ漬けでもどうどす」に代表される間接表現を好む街ではありますが、古語が現存する街でもあります。
目次
- 「おいど」の意味とは?
- 「おいど」の言い換え
- 「おいど」の言葉の使い方
- 「おいど」の例文
- 「おいど」の語源
- 「おいど」を使った言葉
- 「おいど」は何処の方言
「おいど」の意味とは?
「おいど」とは、臀部。
つまり、尻のことです。
もともとは、かつて、京都に御所があった頃に、女房達の間で交わされていた女房詞の一つでした。
女房詞とは、食物や衣服、日常生活で使う道具などについて、「すもじ」(すしの意)などと、別の言葉に言い換えたある種の隠語として、女房達が使っていた、特別な言葉です。
尻という排泄機能や生殖機能に関係している場所だけに、「お」を付けて、丁寧語に直したところで、「おしり」というだけで、発音や表記には、はっきりと「しり」が残ります。
そこで、表現にも発音にも「しり」を伴わない、「おいど」が、臀部を上品に言う言葉として、広がったのです。
「おいど」の言い換え
- おいどは「尻」
- おいどは「けつ」
おいどは「尻」
尻は、辞書によると「四足動物の後ろ肢の付け根後方、肛門あたりの豊かに肉が付いているところ」となります。
なお、「おいど」にはない意味で「空間的、時間的に、順序をなして続いているものの最後の部分」という、「ビリ」とか、「どんけつ」という意味も含まれています。
おいどは「けつ」
けつは、尻が肛門付近の豊かな肉付きを指すことから「あな」を連想して、あなの漢字「穴」の読み「ケツ」から出てきた言葉で、「しり」「後ろ」「最後のこと」「ビリ」を意味します。
「おいど」の言葉の使い方
「おしり」を丁寧に表した言葉ですから、会話でも文章でも、普通に使って構いません。
ただ、京都弁では、よく「おまめさん」「おくどさん」といったように、「お」なになに「さん」と付けますので、「おいどさん」なる言葉もありそうです。
直訳すれば「おしりさん」と奇妙ですが、京都弁で「おいどさん」と言えば、さほどおかしくないから不思議です。
「おいど」の例文
「安くてお得や言わはるさかい、一日バスハイク言うのに、乗ったんどす。そしたら、いやあもう、一日中、バスにすわってなあかんかて、(おいど)が、いとうてかないませんでしたわ」
「そりゃあ、大変おしたなあ」
「おいど」の語源
もともとは、中世頃、宮中で使われていた、女房言葉で、お尻を意味する丁寧語でした。
「お」は、丁寧語等に使う接頭語で、漢字では「御」となります。
「い」は、古語の「ゐる」で、「居る」という意味を表します。
「ど」は、場所や所を意味していて、この三語から成る「おいど」という言葉で「座る所」を表します。
転じて、私達が座る際に、中心となる部分は「おしり」ですので、「おいど=おしり」という構図ができ、「おいど」となりました。
「おいど」を使った言葉
- 「おいどがいたい」【おいどがいたい】
- 「おいどを切られる」【おいどをきられる】
- 「おいどかけ」【おいどかけ】
「おいどがいたい」【おいどがいたい】
文字通り、お尻が痛いことを「おいどが…」と言うことで、品のある会話になります。
特に、病院などで、女性は大事にしたい言葉です。
「どないしはりました」
「長う寝とるさかいからかもしれへんのですけど、(おいど)が痛うて、かないまへんのや」
「それは、いけまへんなあ。(おいど)が楽になる枕がありますさかい、用意させましょ」
「おおきに。助かります」
「おいどを切られる」【おいどをきられる】
「おいど」は、おしり。
つまりは、物事のおしり、最後、ビリ、どん尻の意味も含んでいます。
だから、「おしりを切られる」とは、逆の立場からすると「おしりを切る」という行為になります。
物事の最後を切る。
ビリを切る。
どん尻を切る。
転じて、期限を切る。
締め切りを切る。
という意味になります。
「おいどを切られる」とは、期間や期限、締め切りを切られることを指します。
「おいどかけ」【おいどかけ】
天気の悪い日、特に、雨が降る日などは、着物の裾が、泥はねで汚れやすくなります。
そこで、裾の部分をめくりあげて、帯の下に差し込むようにすることで、裾が汚れないように着る着方のことを言います。
「おいど」は何処の方言
関西圏の方言なのですが、大阪や神戸、名古屋の方では、ほとんど使われてなくて、詰まるところ、京都弁の一つとして、京都の方言になりそうです。
しかし、肝心の京都でも、若い人の間では、あまり使われては、いないようです。
この京都には、「京ことば」と呼ばれる、昔、都があった頃に、宮中で使われていた「女房ことば」と呼ばれる、独特の言い回しがありました。
「おいど」が、年配の女性を中心に使われていることからしても、京都の方言と言うよりも「京ことば」の域に属する言葉だと言えます。
「はんなり」に代表されるように、「あけすけ」に言うことをせず「うつやか」に物事にあたる京都には、直接的に表現したり、単刀直入に行動したりすることを嫌う文化があるようで、「しんきくさい」面も多多ありますが、長い歴史が作り上げてきた、貴重な言葉の文化があります。
古語が生きている街でもあります。
使われる言葉の裏に思いを馳せて、次世代に、残し伝えていく責務があります。