「ねっぱる」の意味とは?北海道の方言?使い方や例文を紹介!
標準語のつもりで使っていても、ある日、何かの折りに、これって方言だったのかと、気付かされることがあります。
しかし、方言でないと、標準語ではどうしても伝わりにくい、微妙なニュアンスの違いを伝えたい時もあります。
目次
- 「ねっぱる」の意味とは?
- 「ねっぱる」と似た言葉や言い換え
- 「ねっぱる」の言葉の使い方
- 「ねっぱる」の例文
- 「ねっぱる」の語源
- 「ねっぱる」は何処の方言
「ねっぱる」の意味とは?
音声的に、意味的に、近い標準語で言えば、「ねばる」という言葉と、同じ意味で使われています。
つまり、やわらかくて、さわった物にくっついたり、よく伸びて、なかなかちぎれなかったりする状態を表しています。
簡単に言えば「ねばる」は、オクラや納豆がねばねばとして、糸を引く状態のことを表している言葉です。
ただ、標準語では、あきらめずに、根気よく続けるという意味も含んでいますが、「ねっぱる」には、その意味はありません。
その代わりに、くっつく。ねばりつく。はりつく。といった意味でも使われています。
また、友達同士や男性と女性とが、意気投合してくっつくという意味合いから、仲良くなるとか、親しくなるという意味でも使われます。
「ねっぱる」と似た言葉や言い換え
「ねっぱる」は、後に続く言葉や文によって、独自の変格をしながら、ねばねばした感触やくっついたり、くっつけたりする様子などを表現する言葉として使われています、
- 「ねっぱす」【ねっぱす】
- 「ねっぱげる」【ねっぱげる】
- 「ねっぱつく」【ねっぱつく】
- 「ねっからまる」【ねっからまる】
- 「ねっちょふけ」【ねっちょふけ】
「ねっぱす」【ねっぱす】
「ねっぱする」が、北海道弁の特徴である、言葉が短縮型や省略型になりやすいことを受けたのか、詰まったような言葉ですが、ねばねばする。くっつける。はりつける。という意味で使われています。
「ねっぱる」の動詞的な使い方をする言葉だといえます。
「はしっこ破れたから、セロテープで、ねっぱして。」と、使ったり、「コンビニで切手を買って、この封筒に、62円切手をねっぱすよう伝えて欲しい。」と、連絡する時などに使います。
「ねっぱげる」【ねっぱげる】
「ねばる」と「はりつける」とを、合成してできたような言葉で、はりつける。
くっつけるという意味をもっています。
「旅行の写真を、思い出ブックにねっぱげる。」
「M大学の秋の文化祭のポスターを、学食の壁一面にねっぱげる。」
といった、何かをはりつける、という意味での使い方をします。
なお、ポスターをはったのが、昨日の出来事だったのなら「ねっぱげた」として、過去形にすることも可能です。
「ねっぱつく」【ねっぱつく】
「ねっぱる」と「つく」とが、合体して生まれたような言葉です。
表している意味もそれに準じたように、ねばりつく。
ねばってはり付く。という、もの同士をくっつけたり、はり付けたりすることから、さらに発展した意味合いになります。
単なる、くっつける、はり付けるという意味では、ありません。
「ねっぱる」よりも、もう少し踏み込んだ接着度粘性度が示されていて、執念深く、しつこくはりつく様子や状態を表しています。
「液体のりを絨毯にぼしたら、のりが絨毯にねっぱついてしまって、プロの掃除業者を頼んだので、思わぬ大金が出ていったべさ」というような場面で使う言葉です。
「ねっからまる」【ねっからまる】
くっつくだけでなく、べったり、つきまとう状態を表します。
足元や周りに絡む様子や有様を言う言葉です。
「足さ、ねっからまるな。暑苦しい。」などの使い方で、うるさいとか、迷惑しているという感情が、見えるような文章、会話に登場します。
どちらかと言えば、まとわりつかれて、閉口気味になっている様子が、反映された言葉です。
「ねっちょふけ」【ねっちょふけ】
似て非なる感はありますが、同じような言葉の仲間です。
しつこい。執念深い。といった内面的な、接着の度合いを表す言葉なので、2-1から2-4にあげた、はる。くっつく。といった、動作的な様子や状態を表す言葉とは違って、内面的な様子を表現する言葉です。
「ねっぱる」の言葉の使い方
納豆やオクラ、山いもなど、粘り気のあるものに対して、標準語では「粘る」と、発音や表記をするところを、「ねっぱる」と、発音、表記するようにして使います。
ガムが、床にくっついた場合なども、同様に、「くっつく」の部分が、「ねっぱる」に置き換わるわけです。
だから、「納豆が、よくねばる。」も「納豆が。よくねっぱる。」
と、そのまま置き換わるという訳です。
「ねっぱる」の例文
- 「ねっぱる」の例文1
- 「ねっぱる」の例文2
- 「ねっぱる」の例文3
「ねっぱる」の例文1
「さすが、水戸の納豆、なまら、ねっぱるべ。」
「うんだねえ。」
「ねっぱる」の例文2
今日、駅前をいいふりこいて歩いてたら、ガムが靴にねっぱって、困ったべさ。
「ねっぱる」の例文3
夏は、汗でTシャツが、やたらねっぱるので、着替えるのもゆるくないべさ。
「ねっぱる」の語源
「ねばる」ものの代表的なものとしては、納豆がつとに有名です。
この納豆の「ねばる」が、北海道の方言の特徴である、「一文字目のあとが「っ」の促音に変化しやすい」という法則をうけて「ねっばる」となり、さらに、もう一つ「濁音に変化することが多い」という特徴を受けて、さらに、変化をします。
ところが、「ねっばる」では、すでに「ば」という濁音を含んでいるために、半濁音の「ぱ」へと、変化し、「ねっぱる」になったものと考えられます。
「おちゃんこ」を「おっちゃんこ」、「みたくない」を「みったくない」などと発音、表記するのが、一文字後が、促音に変化しやすいという例です。
また、北海道は、函館や松前、江差といった道南から、歴史が始まりました。
そして、道南のルーツは、当然のことながら、対岸の津軽地方です。
そのために、津軽弁に語源をもつものも少なくありません。
やがて、開拓が進むと、日本全国から入植者が渡ってくるようになり。
語源も多彩になります。
「だめになる。むちゃくちゃ。」といったことを意味する「わや」や「おおきに」が、促音に変化する特徴を受けて「おっきに」にはなりましたが、どちらもれっきとした関西弁です。
東北方言のエリアを飛び越えて、北海道で、関西弁が花開いているのは、不思議でもあり、面白くもあります。
「ねっぱる」は何処の方言
北海道の方言のように思われています。
しかし、「ねっぱる」に類する方言がある地域は、意外にも広く分布していて、次の通りになっています。
まずは、東北方言の中でも、北奥羽方言のグループに属している、津軽や下北地方で使われている、津軽弁や下北弁です。
次に、南奥羽方言のグループに属している、福島県の会津弁や宮後県の仙台弁があります。
さらには、意外なことに、都市圏から極めて近い、東関東のグループに属する茨城県の茨城弁にも、同じような方言が、存在するのです。
また、興味深いのは、津軽弁にある「がんばる」を意味する方言「けっぱる」や、雨降りの時などにおきる「泥はね」を意味する「すばね」という方言が、歴然として北海道にも青森県にもあることです。
長く、北海道に渡るには、青森から津軽半島を眺めながら。
連絡船で船旅でしたから、そのおりに、方言も一緒に、海を渡ったのでしょう。
そうして見てくると、北海道独自の方言ではないことが分かります。
「そだね」がテレビに流れるたびに、「可愛い」の声が少しずつ広がり始め、ついには、日本全部を巻き込む一大流行語になりました。
これも、北海道弁の法則に従うならば、次のように変化してきたはずです。
まず、「そうね」が、濁音が入るので「そだね」に変化します。
次に、一字目のあとには、促音の「っ」が入ることが多いので「そっだね」実際には「ん」が入って「そんだね」と、発音されているようです。
日本全国から、新天地の蝦夷を目指して、多くの入植者が北海道へ渡りました。
その時、自分の生まれ育った地方の方言も一緒にもっていったので、北海道は、方言のるつぼと化しています。
もちろん北海道で生まれた方言もあり、多彩で豊富です。