「ファンシー」の意味とは?類語、対義語や使い方、例文を紹介!
一般によく知られた英語由来の言葉であり、子供の頃に誰もが触れた経験のある「ファンシー」の概念。
「ファンシーの本来の意味って何だろう」
「ファンシーは海外でも通用する言葉なのか」
「通用しないとしたら、日本独自の使われ方はどんなものだろう」
本項ではそういった疑問に答えつつ、様々な側面からこの言葉を調査していきます。
目次
- 「ファンシー」の意味とは?
- 「ファンシー」の類語や言い換え
- 「ファンシー」の使い方
- 「ファンシー」を使った例文
- 「ファンシー」の対義語
- 「ファンシー」を使った言葉
「ファンシー」の意味とは?
英語では“fancy”と書き、ラテン語の“phantasia”を語源に、中期英語の“fantasy”の略語体という説が有力です。
元々の意味は
- 空想、幻想
- 気まぐれ、道楽
- 上質、変わった
- 奇抜な
- 嗜好、愛好
といったところですが、日本では少々独自の路線を行っており、主に
- 空想的な
- 可愛らしい
- 女の子らしい
という意味で用いられます。
また非常に似ている語として「ファンキー」がありますが、これは野生的で躍動感のある音楽や派手な服装などを指し、「風変わり」という点を除けば全く共通点はありません。
「ファンシー」の類語や言い換え
- 「少女趣味、乙女チック」【しょうじょしゅみ、おとめちっく】
- 「ファンタジック」【ふぁんたしっく】
- 「メルヘンチック、夢かわいい」【めるへんちっく、ゆめかわいい】
「少女趣味、乙女チック」【しょうじょしゅみ、おとめちっく】
日本での最も一般的なイメージがこれでしょう。
主に小学校低学年くらいの女児が好みそうな、可愛らしいデザインやキャラクターを指してこう表現します。
基調となる配色は何といってもピンクで、そこに淡い水色などを加えた服装や、シャンデリア、ガゼボ(天蓋)つきベッドなど、お姫様感にあふれたものです。
ファンシーな部屋にはぬいぐるみがつきものですが、フィクション作品ではほぼ例外なく、ぬいぐるみが意思を持って言語を解したり、動き回ったりします。
「ファンタジック」【ふぁんたしっく】
ファンシーの語源になったという説があるほどですから、非常に似通った意味を持ちます。
但しファンタジーは同じ空想世界でもよりリアリスティック、つまり物事を等身大に描こうという傾向が強く、非現実な恐ろしい生物(鬼とか竜とか)も登場し、抜き差しならない危険を孕んだ世界観であることから、ファンシーはファンタジーの特定の一面だけを抜き出した、一ジャンルにすぎないという事が言えます。
「メルヘンチック、夢かわいい」【めるへんちっく、ゆめかわいい】
おとぎ話をテーマとした作品をこう呼ぶことがあります。
牧歌的でどこか非日常、それでいて英雄譚などではなく、普通の人物(と、言葉を話す動物や無機物)が織り成すほのぼのとした世界観はファンシーと似通う部分が多く見られますが、以下の違いがあります。
- メルヘンはおとぎ話そのものを指すが、ファンシーは主に内装や服装などの状態を表すことのみに使われる
- メルヘンは中世ヨーロッパなどを題材にしていることが多いが、ファンシーの多くは近代的か、身近なものをモチーフにしている
- メルヘンはおとぎ話の性質上、一見よく解らない表現が見られるが、ファンシーなものにはそういった抽象的なものは少なく、大人が側にいなくても子供だけで容易に理解が可能である
夢かわいいとは「夢みたいにかわいい」の事で、若い女性の理想を形にしたようなメルヘンチックなデザインを指します。
ごくごく最近生まれた言葉で一般に浸透しているとは言えませんが、大手玩具会社がすでに「夢カワ」をモチーフにした商品を発売しているなど、一定の影響力はあるようです。
「ファンシー」の使い方
上記の通り、日本では幼児が好みそうな空想的な可愛さを指し、その意味では我々の生活にファンシーなものは溢れかえっており、ショッピングモールやおもちゃ屋は特にそのるつぼと化しています。
但しそれらを見て、実際に「ファンシーだね」などと口にするのは、メインターゲットである女児たちですら極めて稀であり、誰でも認知していながら日常会話に出てこない類の言葉と言えます。
一方英語圏では、ペット愛好趣味を特に指す場合があり、また「可愛い、幻想」よりも「奇抜な」とか「叶いっこない妄想」のようなニュアンスで用いられることもあり、海外で可愛いものを指して「What a fancy!」などと口にするのは控えた方が無難かもしれません。
「ファンシー」を使った例文
- 形容詞としての用例
- 名詞の一部としての用例
- あまり馴染みのない用例
形容詞としての用例
「彼女の部屋に初めて招かれたが、まるで某夢の国のようなファンシーな内装だったので、一瞬趣味を疑ってしまった」
名詞の一部としての用例
「私が子供だった昭和の時分にはあれほど町に散見されたファンシーショップが、今ではすっかり絶滅してしまった。駄菓子屋やゲームショップ同様、時代の流れで個人店は厳しくなり、大型ショッピングモールやネット販売にしかそういったものを探す楽しみを見出せなくなってしまったのか。一抹の寂しさを感じる」
あまり馴染みのない用例
「柳家三三の「湯屋番」を聞きに行った。女湯を見たい一心で番台を買って出た道楽者の若旦那があれこれ妄想をめぐらす姿が滑稽で、数百年も前の作品だが、何ともファンシーな人物描写だ」
「ファンシー」の対義語
- 「無骨、無粋、無愛想」【ぶこつ、ぶすい、ぶあいそう】
- 「ホラー、バイオレンス、ノンフィクション」【ほらー、ばいおれんす、のんふぃくしょん】
「無骨、無粋、無愛想」【ぶこつ、ぶすい、ぶあいそう】
日本での用法に限ると、「可愛くない」「遊び心がない」「現実的で実務的」といったものが対義として挙げられます。
「ホラー、バイオレンス、ノンフィクション」【ほらー、ばいおれんす、のんふぃくしょん】
対義語というよりジャンルの違いですが、いずれもファンシーとは縁遠いものです。
また2-2で述べた通り、ファンタジーにはホラーやバイオレンス要素が含まれることもあり、ファンシーとの違いを明確に表す例だと言えます。
「ファンシー」を使った言葉
- ファンシーショップ
- ファンシーグッズ
- ファンシーケーキ
- ファンシードリル
- ファンシーフォント
- ファンシーウーマン
ファンシーショップ
例文の中でも触れましたが、20〜30年前には、町に一つ二つは必ず、個人経営のファンシー商品を売るこうした店舗がありました。
今はすっかり大手ブランドが幅を利かせ、「Dear Patty's」などがショッピングモールに多く出店しています。
ファンシーグッズ
女児が好みそうな商品全般を指します。
ピアスやバッグなどの日用品、アクセサリから、折り畳むと絵が出てくる便箋や香り付きの鉛筆などの文房具、玩具にいたるまでその種類は実に多彩です。
ファンシーグッズのモチーフとして昔から最も親しまれているのが「サンリオ」のキャラクターたちであり、今でもマイメロやポムポムプリン、そしてコラボレーションの相手を選ばないとして話題になったハローキティなどが有名です。
ファンシーケーキ
可愛らしい見た目のケーキというのももちろんですが、「飾り立てて豪華にした」がそもそもの意味です。
実はよく使われる「デコレーションケーキ」はいわゆる和製英語であり、海外では通用しない言葉なので注意が必要です。
ファンシードリル
かなり狭義の用法で、神奈川県にある防衛大学校の儀仗隊パフォーマンス(ドリル)を、服装や形態をショーのように華やかなものにして来賓に披露することがあり、例年おこなわれる自衛隊音楽まつりなどの様子を、動画サイトなどで見ることができます。
ファンシーフォント
主に英語圏で、変わった装飾的なフォント(字体)をファンシーフォントと総称し、中にはディズニー映画のタイトルロゴに使われそうな、イラストと区別がつかない字体まであります。
無料でダウンロードが可能なものもあり、趣味でwebサイトを運営する人には嬉しい素材です。
ファンシーウーマン
「娼婦」や「情婦」を指す俗語であり、従って海外では不用意に口にするのは、相手に対して非常に失礼だということを覚えておきましょう。
こうして調べていくと、やはりすでに日本語として定着している反面、英語圏とはまた別の意味合いを持った言葉として変化してしまっているようです。
みなさんもファンシーに限らず、意外なところに散らばっている和製英語の知識をもっと身に付け、海外旅行などで役立ててはいかがでしょうか。