「一発逆転」の意味とは?使い方や例文、類語を紹介!
ボクシングで、終始、劣勢に立たされていた挑戦者の選手が、ノックアウトを決めようと、踏み込んできたチャンピオンに放った右のストレートが、クリーンヒット。
キャンバスに長々とのびているチャンピオンを尻目に、「一発逆転」の見事な、新チャンピオン誕生の試合となりました。
こんな「一発逆転」の展開が、日々、平凡だけがくり返される自分の人生にもほしいものです。
目次
- 「一発逆転」の意味とは?
- 「一発逆転」と似た言葉や類語
- 「一発逆転」の言葉の使い方
- 「一発逆転」の例文
- 「一発逆転」の具体例
- 「一発逆転」をねらうには
- 「一発逆転」の英語
「一発逆転」の意味とは?
もう後もなくなり、どうにもこうにもしようがない、打つ手もなくなった、ぎりぎりの瀬戸際に、追い込まれた、万事休すの、極めて劣勢況や場面を、一気に覆して逆転させる様子を指す言葉です。
- 「一発逆転」の読み方
「一発逆転」の読み方
「いっぱつぎゃくてん」と読みます。
「一発逆転」と似た言葉や類語
今の世界とは、がらりと違う新たな世界が展開することに、だれもがあこがれているのか、同様の意味で、今の状況が、180度、激変するようなことを表した故事成語や慣用句は、思いの外、多く見付かるものです。
- 「起死回生」【きしかいせい】
- 「どんでん返し」【どんでんがえし】
- 「逆転劇」【ぎゃくてんげき】
「起死回生」【きしかいせい】
「起死」ですから、「死から起こす」つまり、今にも死にそうな、事実、死にかかっている人を、生き返らせるという漢字の並びになります。
死にかかっている人を、蘇生させるという訳です。
また、「回生」も「回」の読みに「めぐる。まわす」のほかに「もどる。かえる」という意味があります。
それで、この二文字も「生きかえる」という意味を表すことになります。
従って「回生」は、「死んだものを生き返らせる」という、「起死」よりも、さらに強い蘇生力をもっているとされます。
「起死」も「回生」も、同じような意味合いの言葉が並んで、「壊滅的な場面を一気に良い方向へ」という路線の見直しや点検、修正などの取り組みが行われることを示しています。
「どんでん返し」【どんでんがえし】
もともと、歌舞伎の世界でよく使われていた、早めの場面展開が求められる、中段の段階でよく使用されるから出てきた言葉です。
歌舞伎の舞台で、大道具を90度倒すことで、今まで底面だったところが立ち上がって、新しい面になることを利用して、素早く場面の展開をしたことからきた言葉です。
歌舞伎の演目「四谷怪談」での、このどんでん返しの手法を利用した「戸板返し」の仕掛けは、つとに有名で、歌舞伎「四谷怪談」の見せ場の一つでもあります。
なお、どんでん返しというのは、大道具を倒す際の「どんでんどんでん」という鳴り物の音から、来ていると言われています。
「逆転劇」【ぎゃくてんげき】
勢力がそれまでの状態と反対になることを表す言葉です。
野球の9回裏からの逆転劇に目が離せないなど、今までの形成が、がらりと変わる様子を表す場合に使います。
「モナコの市街地を走るモナコグランプリでは、終始トップを走り続けたマクラーレンを、最終ラップのヘアピンカーブで、仕掛けたフェラーリが、見事に抜き去って、チェッカーフラッグを受けるという大逆転劇を演じた歴史に残るレースとなった」などと、使います。
「一発逆転」の言葉の使い方
それまでの劣勢をたったひとつの事でひっくり返す、180度状況を変えるときに使う言葉です。
スポーツなどで使うことが、どうしても多くなります。
「策に窮して、どうしようもなくなっていた時、課長の(一発逆転)の一言『よし、考えるだけ無駄。やって考えよう。責任は、おれがとる』で、工事は始まった」
「わずかに1点差のままで、負けが決定的となったバスケの試合で、残り2秒となった時、自分のゴール下から、相手ゴールへ投げたボールが、見事に、ゴール。まさに(一発逆転)のスリーポイントシュートとなって、大逆転劇を演じたヒーローとなりました」
「一発逆転」の例文
ゴルフのトーナメント中継の中、1打差で迎えたA選手の最終18番、パーフアィブ。
プレイオフに持ち込むためには、何としてもイーグルを狙わなければならない第二打が、何と直接カップインのホールインワンより難しいアルバトロス、正に、奇跡の一発逆転の優勝でした。
「一発逆転」の具体例
勤めた不動産会社が倒産し、職を失った青年Aは、港湾労働や新聞拡張団の一員として、日銭をかせぎ、なんとかその日その日をやり過ごすホームレス人生を送っていました。
ある日、拾った新聞紙の求人欄から、商品サンプルや在庫品など、裏ルートで仕入れた品物を極めて安く売るバッタ屋の店員になります。
そこで、閉店になっても訪れる客が、意外と多いことにヒントを得て、深夜営業の店(泥棒市場)を開店します。
それも、販売するにあたって、特別な知識や経験のいらない、日用品や雑貨を専門に売る店として営業します。
さらに、デパートやスーパーとは、真逆の、離合もできないような通路の、圧縮陳列が店の看板で、迷路のような陳列をするのが特徴です。
やがて、ア)圧縮陳列、イ)深夜営業、ウ)手書きPOPの値段札を付ける、の三原則を柱に、全国展開をしている、これが、ドンキの社長、安田さんの、大まかな、ホームレス同然のその日暮らしの生活から、大型雑貨チエーン店ドンキホーテの社長へと生まれ変わった「一発逆転」の人生劇場です。
- 「野球編」【やきゅうへん】
- 「恋愛編」【れんあいへん】
- 「ギャンブル偏」【ぎゃんぶるへん】
- 「仕事編」【しごとへん】
「野球編」【やきゅうへん】
何と言っても「一発逆転サヨナラ〜」のホームランであり、ヒットです。中でも、値千金なのは「9回裏、ツーアウト満塁。カウント、スリーボール、ツーストライク。その差3点での『一発逆転、満塁ホームラン』です」
野球選手のなかでもこのヒーローになった人は、わずかです。
打順が回ってくる幸運の上に、プレシャーに負けない心と磨かれた技が必要です。
しかし、目を離せない野球の魅力が、ここにあります。
「恋愛編」【れんあいへん】
相手を異性だと感じたとき、感じさせたときが、「一発逆転」の瞬間です。
社内旅行の夕食時の、浴衣姿のA女や社内の合コンで、料理を取り分けるB女の仕草など、今まで気にも止めなかった女性の新たな一面を見て、胸がときめいた時、それが、恋愛におけるの「一発逆転」です。
倉庫に重い書類を運んでいたら、横から黙って取り上げて、何も言わずに運んでくれたC男、チャラ男と見下げていたD男が、お客様への提案プレゼンで見せた、スライドの見事さ、説明のキレの鋭さなど、今まで知らなかった、気付かなかった、男性的な魅力に気付いた時、胸がきゅんとなった時、それが恋愛における「一発逆転」です。
また、恋愛の対象としてはいけない人、既婚の男性や女性、特定の彼、彼女がいる男性や女性、その他、障害となる何らかの理由をもっている男性や女性、について、その条件が外れたときが、「一発逆転」のチャンスです。
既婚者の離婚や彼、彼女との別れ話、何らかの事情によって、障害となるものが消えたとき、最大の「―発逆転」の好機が転がり込んできたことになります。
「ギャンブル偏」【ぎゃんぶるへん】
ギャンブルで「一発逆転」をねらうのは、伸るか反るかの一本勝負。
勝てば天国、負ければ地獄、二つに一つの究極の選択を求められる世界です。
「オールイン」と、赤か黒、奇数が偶数、上位数半分か下位数半分、いづれにしても二つに一つ、運を天に任せるしかない世界です。
バカラといえど、配られた2枚は運任せ、3枚目を引くのもルールがあって、腕も見せどころなどはなさそうです。
といって、パチンコでは「一発逆転」はあり得ません。
ボートや競輪でも本命を先頭に、強い選手が、ことごとく落車か沈没、あるいは、失格にならない限りは、いわゆる万馬券には、なりません。
競馬の万馬券も、落馬や失格がでない限りは、そうそうでる券ではありません。
5億円の宝くじなら税金もかからず「一発逆転」できそうですが、当たる確立は、満員の東京ドーム22個分くらいのお客さんの中から一人当たるだけ、「一発逆転」には、ほど遠いものがあります。
つまるところ、ギャンブルでの「一発逆転」は、望めそうもありません。
「仕事編」【しごとへん】
仕事での「一発逆転」は、いわゆる勝ち組に属することでしょう。
仕事上の勝ち組とは、高額の年収があることが第一で、次に、仕事に対して、自分がもっている能力を十二分に発揮でき、仕事に充実感があることです。
その上に、プライベートな面や、それに費やす時間も充実していることです。
この点で、負け組は、年収が少なく、仕事に自分の能力も生かせず、充実感もない、惰性で働いているような状態です。
プライベートな時間も少なく、また、充実感もなく、働くことにだけ時間を割いている感じです。
そうした現状の中での「一発逆転」は、負け組から勝ち組へのトラバーユ、パートから正社員へ、派遣社員から社員へと変わることが、「一発逆転」の姿だと思われます。
「一発逆転」をねらうには
今の生活が、がらりと変わる、貧から裕へ、負から勝へと、劇的変化をとげる「一発逆転」を誰もがねらっています。
テレビやスクリーンの世界では、いとも簡単に、一発逆転は起きています。
しかし、現実社会は、そうはいきません。
誰もが簡単に、「一発逆転」できるなら、苦労や忍耐などと言う言葉は、消滅するでしょう。
「一発逆転」は、ねらってできるものではありません。
「一発逆転」をねらうには、当然のことながら、確かな技能や実力が必要です。
しかし、それだけでは、どうにもなりません。
いくつかの事例で見てきた通りに、逆転満塁サヨナラホームランを打つためには、そこに打順が回ってくる「運」が必要です。
走者が一人も帰ることなく塁をうめるという「奇跡」にも近い巡り合わせが、必要です。
運や奇跡は、どうにもコントロールできません。
天に祈るしか他ありません。
安易に「一発逆転」はねらうものではなく、日々のスモールステップの積み重ねこそが、大事です。
小さな積み重ねが、やがて、大きな成果を生み、ねらってできるものではない「一発逆転」が、偶然起きるかもしれません。
たとえ起きなくても、着実な歩みが大きな成果を生み出しています。
「一発逆転」の英語
- “upset win”(upset…ひっくり返す win… 勝つ。勝利)
- “blow reversal”(blow…強打。一撃。reversal…どんでん返し)
「一発逆転」は、偶然の上に偶然が重なって起きるようなもので、ある意味、奇跡に近いことです。
ギャンブルの世界でもめったにないから「一夜明けたらベガスで億万長者」などという話題が、週刊誌に載るのです。
珍しくなければ、ニュースになりません。
やはり、大地をしっかり踏みしめて、生きていくことが大事です。