「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
「孫子の兵法」は、ビジネス書としても注目されています。
その中にでてくる「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味や使い方を紹介いしましょう。
目次
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味とは?
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の類語や似たことわざ
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の使い方
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」を使った例文
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」から学びたい事
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味とは?
言葉の意味をそのまま解説すると、「相手を知り、自分を知ることでどんな戦いも負けない」ということになります。
戦いに臨むときは、十分な下調べなどの準備、あらゆる場面を想定してあたることで、失敗が少ない、勝負に勝てるという時に使われます。
受験やビジネスなど、戦略的に物事を進め、目標とする結果をだすための秘訣として引き合いに出されることが多い言葉です。
営業で契約をものにする場合では…
- 「彼を知る」⇒相手のニーズ、どんな言葉が刺さるのか、納得や満足感をどう引き出すかなど相手のことをしる。
- 「己を知る」⇒自社製品の強み弱み、営業マンの力量、フォロー体制など自分のことをしる。
それぞれの立場からみた情報を整理して戦略を立てると、成功の確率が高まると言いかえることができるでしょう。
- 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の読み方
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の読み方
「かをしり おのれをしれば ひゃくせん あやうからず」と読みます。
元々が漢文ですから、「百戦しても殆うからず」ということもありますが、同じ意味・用法です。
「彼」とは、「あの人」や「その人」など対象になる相手を指し、「己」は文字通り「おのれ」や「自分」を指します。
「百戦」は、「たくさんの戦い」を意味しますから、実際には数十回でもあてはまります。
「あやうからず」は「危なげがない」ということですから、安定して目的が達成できると解釈できます。
このことから、何事も準備が大事であることや、対象について深く分析し知ることの大切さを伝えるたとえとして使われます。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の類語や似たことわざ
ビジネス上の戦略を練るときにも生かされるこの言葉ですが、置き換えられる言葉を知っておくと、より、意味や使い方の理解が深まります。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の類語や似たことわざを紹介しましょう。
- 「備えあれば憂いなし」【そなえあればうれいなし】
- 「石橋を叩いて渡る」【いしばしを たたいて わたる】
- 「百戦錬磨」【ひゃくせんれんま】
「備えあれば憂いなし」【そなえあればうれいなし】
「前もって準備をしておくと心配ない」という意味です。
ビジネスやスポーツなど、結果が問題となる場面に当てはめると、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と同じ意味になります。
相手の優れているところや弱点をくまなく調べ上げ戦力を分析し、それに対して自分がどう対応できるかを知っていることは、戦いを優位に進め、負けないことにつながります。
単純に、「雨が降りそうなときに折りたたみ傘を持っていく」という、「戦い」のニュアンスとは違ったときにも使われることわざですが、「戦い」になぞらえることができる場面では「準備が全てだ」と表現したい時に使えます。
「石橋を叩いて渡る」【いしばしを たたいて わたる】
「丈夫そうにみえる石橋でも叩いて安全性を確かめてから渡る」という意味です。
確認を怠らない、確実性を確かめて行動するといった時に使われますから、「情報を集めて抜かりなく準備する」といった表現になります。
より、確実な結果を求めているというところに焦点があり、勝敗の部分へのこだわりは「百戦殆うからず」ほど強くない印象を与えます。
物事に取り組む時の準備が大事だ、下調べを重んじましょうというニュアンスが伝わります。
「失敗が許されないので、石橋を叩いて渡るように慎重に行おう」、「確実に契約を取りたいので石橋を叩いて渡るような戦略を練ろう」、「あの人の性格は、石橋を叩いて渡るところがあるからね」などと使われます。
「百戦錬磨」【ひゃくせんれんま】
「たくさんの戦いを経験し、経験から戦いの勘どころを身に着けている」という意味です。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とは、やや焦点が違い、「経験値が勝率を上げてくれる」というニュアンスが強くなります。
戦いに負けない、結果をだすためには、敵を知り、己を知ることが大事ですが、たくさんの経験値を積むことで対処法がわかるようになり、勝率が上げられるという使われ方をします。
「百戦錬磨の精鋭(経験値が高く対処方法を心得ていて、研ぎ澄まされた人)」、「百戦錬磨だから頼りになる(経験値に基づく対処法で準備に抜かりないので頼れる人だ)」といった内容を伝えられます。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の使い方
ビジネスシーン
ビジネスでは、契約を取る、顧客に認められる、交渉を優位に進めるといったことを、戦いになぞらえることができます。
そのためには、そこに関わっている要素を徹底的に分析し、自分たちの強み、弱点を照らし合わせて戦略を立てる必要があるという意味で使われます。
受験や試験
受験や試験では、何が求められる問題がすばやくつかむこと、自分の弱点を知って強化することが高得点や合格につながります。
傾向と対策をしっかり行うことを表現したい時に使われます。
部活やスポーツ
スポーツでは勝敗がはっきりしており、「戦い」そのものと言えます。
また、記録を競う種目でも、相手との駆け引き、ライバルとの切磋琢磨、自分との戦いなど、競技成績そのものだけでない「戦い」が存在します。
攻略すべき目標の特徴や性質を知り、自分の特性を知って攻略することが勝利につながります。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」を使った例文
戦いに備えて、「準備を怠るな」、「攻略したい相手の情報を分析せよ」、「自分の特性を理解せよ」といった意味を表す時に使われるのが「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。
会話の中で、どんなふうに使われるのか紹介しましょう。
- 「これから契約を取りにいく営業さんに」
- 「高校球児のミーティングで」
「これから契約を取りにいく営業さんに」
営業で契約をとってくることを戦いに見立てて、「彼を知り己を知れば百戦殆うからずだ。しっかりやってくれ。」
とリーダーから言われることがあるでしょう。
クライアントやトレンドの下調べや、自分の持ち味を理解して成果を上げてくるように期待されているということです。
戦に行くわけではないし、100回もアタックする案件じゃないなどと突っ込んではいけません。
「高校球児のミーティングで」
甲子園を目指す高校野球は、公式戦で一度負けるとシーズンは終わりです。
相手を知ること、自分や所属チームの特性を知って戦いに臨むことがミーティングで取り上げられることが多いものです。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからずだ。」
しかし、その経験から、負けを受け入れて新たな自分に気づき、次の戦略を練る逆境を跳ね返すバネが生まれるのです。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」から学びたい事
出典となる「孫子の兵法」は、戦いでの3つのパターンが紹介されています。
- 敵の分析ができ、自分のことも理解している⇒負け無し
- 敵の分析は不順分だが、自分のことは理解している⇒勝率5割
- 敵の分析ができていないし、自分のことも理解不足⇒負けは確実
ざっくりいうと、少なくとも自分をわきまえているものは勝つことがあるが、準備ができていなければ負けて当然と言い換えることができます。
- 「彼を知らずして己を知れば、一勝一負す」
「彼を知らずして己を知れば、一勝一負す」
「かをしらずして おのれをしれば いっしょう いちぶす」と読みます。
これは、先程紹介した「敵の分析は不順分だが、自分のことは理解している⇒勝率5割」にあたる一文です。
「彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し(かをしらず おのれを しらざれば たたかうごとに あやうし)」が「敵の分析ができていないし、自分のことも理解不足⇒負けは確実」という意味にあたる一文です。
「戦いを戦略的に進めることが大事だ」という意味で用いられることが多いことわざですが、「何事も自分を知り、わきまえて行動する人は失敗が少ない」という意味に取ることもできます。
客観的に自分の特性と、周りの環境をとらえて、適切に対応していくことが大事だということを考えさせられる言葉ですね。