「人間万事塞翁が馬」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「人間万事塞翁が馬」の意味と読み方を紹介します。
さらに「人間万事塞翁が馬」に似たことわざや、使い方や例文を紹介して行きます。
目次
- 「人間万事塞翁が馬」の意味とは?
- 「人間万事塞翁が馬」の類語や似たことわざ
- 「人間万事塞翁が馬」の使い方と例文
- 「人間万事塞翁が馬」から学びたい事
「人間万事塞翁が馬」の意味とは?
「人間万事塞翁が馬」という言葉を聞いた事がある人は多いかもしれません。
あるいは、自宅のカレンダーや壁に飾っている色紙などに、この言葉が記載されているのを見たことがある人もいるかもしれません。
しかしきちんとした意味を知っている人は、実は少ないかもしれません。
「人間万事塞翁が馬」は中国の書物に登場する物語に由来する言葉です。
「淮南子」という中国が「前漢」だった頃、つまり紀元前に作られた思想書です。
淮南王が学者に命じて作らせました。
これほど古い本に掲載されていた話が、今でも座右の銘にする人がいるほど、広く浸透しているのは、この言葉の持つ意味の強さを示しているでしょう。
- 「人間万事塞翁が馬」の読み方
- 「人間万事塞翁が馬」の物語
- 「人間万事塞翁が馬」の意味とは
「人間万事塞翁が馬」の読み方
「人間万事塞翁が馬」は、読み方が難しいことわざです。
読み方は、「にんげんばんじさいおうがうま」と読みます。
「人間」は中国では「じんかん」と読む事があり、「じんかん」と読む場合は、「人の世間起こる事」という意味になります。
ただし日本では一般的に、この言葉を使う時は「人間」を「にんげん」と発音する事がほとんどです。
「にんげん」と発音しながらも、「じんかん」という意味も含めながら、この言葉を味わうとより深みが出るでしょう。
続いて登場する「塞翁」は「さいおう」と読みます。
「塞」は「砦(とりで)」の事で、「翁」は「おじいさん」の事を意味します。
つまり「塞翁が馬」とは、「砦に住むおじいさんの馬」という事になります。
「人間万事塞翁が馬」の物語
それでは「淮南子」に登場した「人間万事塞翁が馬」の物語を見て行きましょう。
中国には国境エリアがあり、そこには砦がありました。
その砦に住む老人「塞翁」が大切にしていたのが馬です。
しかしある時、その大切にしていた馬が逃げてしまいました。
さぞ老人が嘆くと思いきや、老人は「これは幸運を呼び込むかもしれない」と言います。
しばらくすると、馬は老人のもとに帰ってきただけでなく、仲間の馬を連れ帰ってきました。
良い馬ばかりを連れてきてので、周囲の人はすばらしい事だと言いました。
しかし老人は「これは災いのもとになるかもしれない」と言います。
実際に、連れ帰った馬に乗った老人の息子が、馬から落ちて骨折してしまったのです。
これは災難だと周囲の人が言えば、老人は「これは幸福のもとになりそうだ」と言います。
その直後に戦争が起こると、若者は戦争に行く事になりましたが、老人の息子は骨折していたので行かずに済みました。
多くの若者が戦死をしてしまったのに、老人の息子は死なずに済みました。
これが「人間万事塞翁が馬」の物語です。
「人間万事塞翁が馬」の意味とは
「人間万事塞翁が馬」とは、人生にはいろいろな事が起こるけれど、結果的にどうなるかは誰にも分からない、という事を示しています。
馬が逃げた時、ほとんどの人は悲しむと思いますが、実は、良い馬を引き連れて戻ってくる、つまりハッピーな出来事の引き金になっていた事が分かります。
また良い馬を連れて馬が戻ってきた事は、ハッピーな事に見えますが、息子が骨折をする原因を作ってしまった事にもなっています。
このように、一見、悲しいできごとが起こっても、その結果、ハッピーになるかもしれない。
さらにそのハッピーな出来事が、悪夢のような出来事につながっているかもしれない…という事が分かります。
生きている間には、様々な出来事があり、つい一喜一憂してしまいますが、実は起こった出来事がどのような結末につながっているかは、誰にも予想できないのです。
「人間万事塞翁が馬」という言葉は、自分の周りで起こった出来事や、世の中で起こる出来事は、単純に「ラッキー」「アンラッキー」だと決めつける事ができない、だから「悲しんだり喜んだりする必要はない」という事を教えてくれています。
「人間万事塞翁が馬」の類語や似たことわざ
「人間万事塞翁が馬」には、同じような意味の類語やことわざがいくつかあります。
どの言葉も趣があり、「なるほど」と思う所が多いでしょう。
人生に悩んでいる人や、調子に乗り過ぎて周囲の人に迷惑を掛けている人は「人間万事塞翁が馬」や、同じような類語やことわざをチェックしてみましょう。
- 「禍福はあざなえる縄のごとし」【かふくはあざなえるなわのごとし】
- 「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」【しずむせあればうかぶせあり】
- 「明日は明日の風が吹く」【あしたはあしたのかぜがふく】
「禍福はあざなえる縄のごとし」【かふくはあざなえるなわのごとし】
「人間万事塞翁が馬」に似た言葉に「禍福はあざなえる縄のごとし」という言葉があります。
「禍福」は「かふく」と読みます。
「禍」は災い、つまり嫌な事、不幸な事を意味して、「福」は幸福、ラッキーな事を意味しています。
簡単にいえば「いい事と悪い事」「ラッキーとアンラッキー」「幸福と不幸」という意味になります。
「縄」は、そのものずばり縄の事で、神社などに奉納されている太い縄などをイメージすると想像しやすいです。
寄り合わせた縄のように、いい事と悪い事はかわるがわるやってくる、幸運と不幸は表裏一体で、切り離せない物だという意味があります。
ラッキーな事もアンラッキーな事も、ずっと続くわけではなく、絶え間なく変化を続けます。
そもそも人生は、幸せと不幸が寄り合わせれてできた縄のような物なのだから、一喜一憂する必要はないという事です。
「いい事もあれば悪い事もある」そんな意味の言葉です。
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」【しずむせあればうかぶせあり】
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」も「人間万事塞翁が馬」に似た言葉です。
この言葉も「人生には良い事も悪い事もある」という意味があり、さらにくよくよしたり悩んだりする必要はない」という意味があります。
この言葉では、人生を「川の瀬」に例えています。
川の瀬は、ぐねぐねとうねって、水中にもぐったり、再び浮き出たりを繰り返しています。
浮世絵の川の様子などをイメージすると、激しく上下動を繰り返す様子が想像しやすいでしょう。
人生が川の瀬で、自分が川の瀬の上に流された笹の葉だとすれば、水面にいる明るい時期も、水中にいる暗い時期も間断なく訪れます。
「いい事があっても、すぐに悪い事が起こるかもしれない」「悪い状況でも、すぐに良い状況に変わるかもしれない」と思えば、自分が置かれている状況を悩んだり、心配し過ぎる必要はないという事になります。
「明日は明日の風が吹く」【あしたはあしたのかぜがふく】
「人間万事塞翁が馬」に似た言葉として「明日は今日とは違う風が吹く」があります。
明日になれば、今日とは違う新しい風が吹くのだから、状況は一変しますし、そもそも明日起こる出来事を想像する事はできない…という意味の言葉です。
将来に不安を感じて悩みすぎても意味がない、どちらかといえば「開き直り」が大切だよ、という事を教えてくれる言葉です。
将来に気を病み過ぎている人や、先行きの不安に負けそうになっている人、現状が苦しくて辛い人は「明日は明日の風が吹く」という言葉をつぶやいて、開き直ってみましょう。
「人間万事塞翁が馬」の使い方と例文
続いて「人間万事塞翁が馬」を日常的な会話にどのように使えばいいのか、例文とともに紹介していきます。
これは「人間万事塞翁が馬」だな、と感じた時、または先行きを不安に思いすぎている人を見た時に使いましょう。
- 「人間万事塞翁が馬」的な出来事が起きた時
- 「人間万事塞翁が馬」という考えを教えてあげたい時
「人間万事塞翁が馬」的な出来事が起きた時
生きていると、時々「人間万事塞翁が馬」的な事が起こります。
会社にいる時、プライベートの場面でも、「これは人間万事塞翁が馬だな」と感じる事があります。
そのような時は、「人間万事塞翁が馬」という言葉を文章に入れて、その時の状況を適切な言葉として表現してみましょう。
例えば就活中に、第一志望の会社の最終面接で落ちてしまったとします。
良い就職をするために、逆算して受験勉強を頑張ってきた人は、人生が終わったような気持ちになるかもしれません。
しかし、希望ではない会社で働きはじめてみると、その会社が思いのほか楽しく、仕事も自分に合っていると感じます。
さらにテレビのニュースで、第一志望だった会社が倒産してしまった事を知ります。
このような時に「あの会社が倒産するなんて思わなかった。落ちた時は死にたいくらい悲しんだけど、内定をもらわなくて本当に良かった。これはまさに人間万事塞翁が馬だな」とつぶやきましょう。
「人間万事塞翁が馬」という考えを教えてあげたい時
誰かが現状に悩んでいたり、先行きに不安を感じている時は、「人間万事塞翁が馬」という言葉を教えてあげましょう。
例えば友達が、片想いをしていた男性に告白してフラれてしまったとします。
「もうだめだ」と泣いている時に、声をかけてあげましょう。
「人間万事塞翁が馬だよ。フラれた事は悲しいかもしれないけど、この事が幸運を生むかもしれない」と言ってあげましょう。
後日、その男性がDV男だったという事が周知の事実になるかもしれません。
また、フラれた後に開いた「残念パーティ」に出席していた男性と、幸せな結婚生活を送る事になるかもしれません。
「人間万事塞翁が馬」から学びたい事
「人間万事塞翁が馬」という言葉からは、人生には良い事も悪い事もあり、最終的にはどのような結果になるのかは、誰にも分からないという事を学ぶ事ができます。
そのため悪い事が起こっても、それがどんな結果に結びつくか分からないのだから、「悲しんだり悩んだりしない」、また良い事が起こっても、それが本当の幸せに結びつくとは限らないのだから「調子に乗り過ぎない、喜び過ぎない」事が大切です。
人生を生きる上での、出来事への接し方、感じ方を教えてくれる言葉です。
「人間万事塞翁が馬」は、物語がしっかりしているため、とても理解しやすい言葉です。
人生を生きる上で、とても役に立つ意味を持っていますので、ぜひかみしめて自分の生活に活かしましょう。
現在、どんなに閉塞感がある状況でも、恵まれていない状況でも、「人間万事塞翁が馬」ですから、その先の事は誰にもわかりません。