「後生大事」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
日本語には色々な言葉や単語、ことわざと色々なものがあります。
昔から伝わってきた伝説的な由来から来ている言葉や自然の現象を、比喩的に使っているものものあります。
これらの言葉やことわざを日常的な会話の中で使うことで、円滑なコミュニケーションが成り立っているのですが、昔から伝わってきた古い言葉が今でも普通に使われていることを考えると、何故か不思議な気持ちになってくるのです。
目次
- 「後生大事」の意味とは?
- 「後生大事」の類語や似たことわざ
- 「後生大事」の使い方
- 「後生大事」を使った例文
- 「後生大事」を分解して解釈
「後生大事」の意味とは?
そんな不思議な気持ちになるのは、「後生大事」という言葉を耳にする時です。
「後生大事」という言葉は、普段の日常会話の中でも、「あなたからもらったペンダント後生大事にするね」とか「あいつは30年前のおもちゃを後生大事に取っているな」といった形で使われることがあります。
言葉の意味としては、「非常に大切にすること」となり、そのことを比喩的な表現として用いることが多くなっています。
「後生大事」は、元々、仏教の言葉で来世の安楽を願って、ひたすら善い行いを積んで、仏道に励むことを指していました。
「後生」とは、死んで後の世に生まれ変わることで、来世や来世で極楽に生まれ変わることを指しています。
「後生大事」は、ごく普通に使っている言葉なのですが、実は使うニュアンスを間違えると、嫌な不快な思いをさせてしまう可能性がある言葉でもあります。
よく使う意味とは別の意味で使われることもあるので、使い方には気をつけた方がいい時もあります。
1-1「後生大事」の読み方
「後生大事」の読み方は、「ごしょうだいじ」となり、特別に難しい読み方ではありません。
「後生大事」の類語や似たことわざ
「後生大事」は、「大切にすること」という意味がありますが、ことわざなどでは特段、これに近いことわざは、見当たらないかもしれません。
しかし、意味としては、次のような言葉に置き換えることができるでしょう。
- 「大切にする」
- 「いとおしむ」
- 「温存しておく」
「大切にする」
「後生大事」の意味を直接的に例えると、「大切にする」が、まさに当てはまることばです。
「君からもらったプレゼントは、僕にとっては一生の宝物だよ。大切にするよ。」
「あなたからもらったメッセージは、とても嬉しかった。大切にするわ。」
こんなふうに、日常会話の中で、使う言葉ですね。
「大切にする」という言葉の中には、「慎重に」、「控えめに」と言った性質の意味も含まれていることがあるので、「後生大事」という言葉を使っているセンテンス全てに置き換わることができないケースもありそうです。
「いとおしむ」
「後生大事」の意味に近い言葉としては、「いとおしむ」という言葉を間接的に似かよっていることもあります。
「昔のことをいとおしむ」、「あの頃の素晴らしい記憶をいとおしむ」といえような表現になります。
「温存しておく」
「温存しておく」という言葉も「大切に残しておく」という意味になります。
「後生大事」とは、100%同じ意味で利用されたり、置き換えるということはありませんが、この言葉に近い感覚で使われることも、時々目にすることがあります。
「後生大事」の使い方
「後生大事」とは、「大切に残しておく」ことや「大切にしまっておく」ことの意味があります。
この言葉を使うケースでは、次のような文章を見ると理解できると思います。
「他の人には、全くその価値や良さが理解できない人形を後生大事に、持ち続けているみたいだ。」
「彼が後生大事にしているのは、学生時代に恩師である先生から、言われた言葉らしいよ。それで彼は大きく生まれ変わったようなものだからな。」
「後生大事」は、「大切にしておくこと」ですが、それは必ずしも物だけではありません。
時には、気持ちや思い出と言った記憶等、心をまつわることでも、使うことがあります。
「後生大事」を使った例文
では、日常的な生活やコミュニケーションの中では、どのように「後生大事」を使っているのでしょうか?
- 「後生大事」の例文1
- 「後生大事」の例文2
- 「後生大事」の例文3
「後生大事」の例文1
「大学の時のA教授の講義のノートを卒業しても、後生大事に取っているB君だった。」
こんな時でも使うことがある「後生大事」です。
恩師の貴重な教えを自分のノートに残して、それを後々の社会人として仕事をする上での支えにしているのかもしれません。
この時の「後生大事」は、物と記憶を大切に残していたいという気持ちが現れているような気がします。
「後生大事」の例文2
「火事の最中、何とか避難し逃げることができたのですが、彼が後生大事に持っていたバッグの中にはお金が入っていた。」
これは、本当に大切なものを残すために必死になっている様が連想できます。
現金なので、抱き締めるように大切に持ち出したのではないでしょうか?
「後生大事」の例文3
「ご主人が後生大事に取ってある新聞の切り抜きやスクラップは、奥さんから見れば、単なるゴミにしか見えなかったのです。」
よくある話です。
人から見れば、何の価値もなさそうなものでも、人によっては価値の高いものであるということがよくあります。
「後生大事」を分解して解釈
「後生大事」とは、「後生」と「大事」の2つから成り立っていると言われています。
- 「後生」
- 「大事」
「後生」
「後生」は仏教から来ている用語として知られています。
この「後生」には、「死後の安楽を願いながら、現世を精一杯生きること」という意味が込められています。
「後生」は、仏教用語で死後の世界を表すとしていますが、その死後のことも意識した気持ちも表しているのではないでしょうか。
仏教用語では、後生の他に、前世の前生、現世の今生という表現もあり、「後生」は、人の過去・現在・未來を大切にしているのでしょう。
ちなみに、「後生」は、「後生一生」などという慣用句が省略された形とも考えられています。
「後生だからお願い。」というような言葉がありますが、死ぬまでの人生と、さらに死んだ後と生まれ変わりの人生のことも、含めて、「1度だけのお願い」という意味があります。
「そんなに多くはないお願いごと」と言い換えることもできるでしょう。
この「後生一生(のお願い)」が略されたのが、「後生」という形になっていったのだと思われるのです。
日常的な会話の中で、「後生だから」という表現は、「1つだけでいいから、私の願いを叶えてください。」という思いが込められています。
「大事」
「大事」とは、「重大な事柄で普通では容易でないこと」を指しています。
事件や大きな変化の出来事を意味して、「国家の大事」という時に使うことがあります。
また、「大がかりな仕事」、「大規模なプラン」の意味もあり、「大事を成す」、「大事な企て」というキーワードでも使われます。
「大変な結果」や「非常に心配な事態」な意味で「大事に至らないで済む」というという使い方もありますし、「出家して悟りを開くこと」という意味や「価値の高いものとして大切に扱うこと」で、「大事な品物」、「親を大事にする」、「お大事に。」という言葉にもつながってきます。
あるいは、「重要で欠くことのできないそと」や「ある物事の存否にかかわる」ことも意味しており、「大事な用を忘れてしまった」、「今が大事なタイミングだ!」と言う場合でも使うことがあります。
「後生大事」という言葉で、まず思い浮かべるのが日常会話の中で「後生大事ににね。」
と使う時に、その時の意味として、「とても大切にしていること」という意味であるということです。
このような場面で「後生大事」が使われるのですが、この使い方には、他の人が何かの物事を大事にしていることを例えるようなニュアンスで使われることがあります。
この時は、歳上の人や目上の人に使う時には、失礼になることもあるので、使い方に注意した方がよいでしょう。
「後生大事」という言葉には、「大切な」という意味があることは何度も述べて来ましたが、人が大切にするものや考え、志向、状況は様々です。
「ご主人が宝物として扱っている新聞のスクラップも、奥さんから見れば、単なるゴミ」という例文がありましたが、この例文に見るように人の価値観は色々なことばかりです。
自分からすれば、100万円の価値があるものでも、人によっては、1円しか価値のないものもあるでしょう。
それだけに「後生大事」という言葉が使われた時は、その人の価値観を尊重しなければならない時も出てくるのではないでしょうか?