「うつつを抜かす」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
「女にうつつをぬかしているとは!」という言い方をしますが、「うつつをぬかす」とはどんなことを指すのでしょう?
「うつつを抜かす」の意味や使い方について解説していきましょう。
目次
- 「うつつを抜かす」の意味とは?
- 「うつつを抜かす」と似た言葉や類語
- 「うつつを抜かす」の言葉の使い方
- 「うつつを抜かす」の例文
- 「うつつを抜かす」の対義語や反対語
- 「うつつを抜かす」のを分解して解釈
「うつつを抜かす」の意味とは?
心を奪われ、本来専念しなければならないことに集中できないことを表しています。
遊びなど、心のコントロールができずについ熱中していまうことに夢中になって、仕事ややるべきことができていない時に「うつつを抜かしている」と表現します。
「女にうつつを抜かす」といった場合には、「女性に心を奪われて腑抜けになっている」、「彼女に夢中でやるべきことに集中できていない」という状態を言っているのです。
ギャンブルや遊びに興じている場合にも「うつつを抜かしている」状態になっています。
- 「うつつを抜かす」の読み方
「うつつを抜かす」の読み方
読み方は「うつつをぬかす」です。
「現=うつつ」で、漢字を多く使って表記すると「現を抜かす」となります。
現実との区別がつかない、ぼーっとしてしまう様を表していますから、何かに夢中になって集中すべきことに集中できないことを「うつつを抜かす」と表現するのです。
「夢か現か幻か」という意識がはっきりしないことを表す表現がありますが、「夢なのか現実なのか、まぼろしなのかわからない」という言い方です。
うつつは現実や実態ということです。
「うつつを抜かす」と似た言葉や類語
気持ちがどこか別なところにある様子、他のことに心を奪われている状態を指して、「うつつを抜かす」と言います。
遊びすぎ、女性に入れあげている、溺れるほど夢中になっていることを表している言葉です。
「うつつを抜かす」と似た言葉や類語について紹介しましょう。
- 「耽溺する」【たんできする】
- 「入れあげる」【いれあげる】
- 「骨抜きになる」【ほねぬきになる】
「耽溺する」【たんできする】
あることに熱中しすぎて他のことに目もくれない、しかも、勤勉とは対局の遊興的なものに耽る(ふける)ことです。
不健全な遊びに夢中になって、本来励むべき仕事や勉強が疎か(おろそか)になってしまう様子を表しています。
「酒色に耽溺する」といえば、酒や女遊びに溺れて堕落してしまうことを指しています。
「ギャンブルに耽溺する」といえば、パチンコや競馬などギャンブルにハマって、日常がままならなくなる様子を指しています。
「入れあげる」【いれあげる】
「ホステスに入れあげて破綻した」という場合、ホステスにすっかり夢中になって仕事などするべきことがおろそかになって立ち行かなくなったということです。
熱中しすぎて、周りが見えなくなってしまうと人生が終了してしまうことがあるので気をつけなければなりません。
あんなに真面目だったのに…と知り合いのため息が聞こえてくるようなケースもあります。
人の心のスキマに悪魔は忍び寄ってきます。
プロの女性に魅了されて、虜(とりこ)になってしまうのは、我慢の多い精神的に抑圧されている人ほどリスクが高いかもしれません。
「骨抜きになる」【ほねぬきになる】
「うつつを抜かす」という言葉には、「骨抜きになる」というニュアンスが含まれています。
心のコントロールができずに、自制心を失ってズブズブと流されてしまっているといったようすと同義です。
ギャンブル、酒、色情など、ストレス発散のレベルを超えてハマってしまうと腑抜けになってしまうでしょう。
本来するべき仕事が疎かになり、家族をかえりみずに楽しいことばかりに熱中してしまう様子です。
「うつつを抜かす」の言葉の使い方
本当なら自制すべきことに熱中して、仕事や勉学に支障がでている時に、「うつつを抜かす」という表現を使います。
集中力が高い、没頭するという表現の場合には、成果が期待できるポジティブなことに対して使われますが、「うつつを抜かす」は不健全なことに夢中になってしまうニュアンスが含まれます。
研究熱心でマニアック人に対して「研究にうつつを抜かしてけしからん」とは言いませんし、仕事人間に「仕事にうつつを抜かしている」という言い方もなじまないでしょう。
「不健全な遊興事」に夢中になってしまう、褒められたことではないという対象に溺れることを表しています。
「うつつを抜かす」の例文
やるべきことが進まなくなる、仕事に支障が出るといった、好ましくない状況がでてくることが特徴です。
本来の目標に向かって一筋にハマるという場合には、「うつつを抜かす」はいいません。
「没頭する」や「熱中する」、「集中する」といった言い方になります。
「うつつを抜かす」の実際の使い方、例文をみていきましょう。
- 「パチンコにうつつを抜かす」
- 「酒や女にうつつを抜かす」
- 「キャバクラにうつつを抜かす」
- 「試験前なのにゲームにうつつを抜かしてしまった」
「パチンコにうつつを抜かす」
ギャンブル依存症という言葉が聞かれるようになって久しいですが、パチンコの興奮でアドレナリンがたくさん出る体験をしてハマる人が社会問題となったことがありました。
一か八かで大きなリターンがあると、それまでにかなりの損失を出していても、「儲けがあった」と満たされた気持ちになってしまうのです。
伸るか反るかのドキドキが、心を釘付けにし、ギャンブルに依存してしまうといいます。
生活費をつぎ込み、生活保護に追い込まれてもなおパチンコなどのギャンブルに興じてしまう…これは、「パチンコにうつつを抜かしている場合では無い!」と叱責されても仕方の無い状態でしょう。
「酒や女にうつつを抜かす」
なんとなく気持ちがハイになって、楽しくなることに人はハマる傾向があります。
悩みがすべてそんな遊興行為で解決することはなく、向き合うべき問題から逃げて対峙する(たいじ:向き合い立ち向かう)ことを避けているのです。
特に、お酒や女性と遊ぶことで気持ちが開放されることで辛さから逃れる依存症状態になっていると、「うつつを抜かす」ことから抜け出すことは難しいでしょう。
「ゲームにうつつを抜かして宿題ができなかった」という程度なら、夢中になっちゃって宿題の時間がなくなったというものですが、修羅場を迎える「うつつを抜かす」事態にハマってはいけません。
「キャバクラにうつつを抜かす」
男性は若い女の子がたくさんいるお店に行くと、気持ちが華やかになって楽しくなってしまうものです。
ただし、女の子たちもプロですから、ナンバーワンになるためにあの手この手で迫ってきます。
疑似恋愛ゲームのようなものですが、ついつい良い気分になって入れあげてしまうというのはよくある話です。
収入の大半を貯金もせずにキャバクラ通いにつぎ込んでしまった…なんて場合には、「キャバクラにうつつを抜かしてしまった」といえるでしょう。
「試験前なのにゲームにうつつを抜かしてしまった」
これまでは、人生を狂わすかもしれない問題に発展するかもしれない深刻な使い方を紹介してきましたが、もっと軽い使い方をすることもあります。
「やるべきことをせずに遊んでしまった」という軽い後悔を表す時に、使われる場合です。
「プレゼン前なのに麻雀にうつつを抜かしちまって徹夜したわ」や、「ネットにうつつを抜かしてたら見積もりを仕上げられなかった」など、自制心が弱くてやるべきことができていなかったというケースです。
「うつつを抜かす」の対義語や反対語
うつつを抜かすは、どちらかというとマイナスイメージの言葉ですが、対義語や反対語にはどんなものがあるのでしょう?
さらに「うつつを抜かす」を深く知る手がかりとなる、対義語や反対語についても解説していきましょう。
- 「脇目も振らない」【わきめもふらない】
- 「没頭する」【ぼっとうする】
「脇目も振らない」【わきめもふらない】
目標に向かってまっしぐらに行動している様が表されています。
「うつつを抜かす」という場合には、熱中しているのですがふわふわと流されている、本来の目的を見失っているというニュアンスが含まれています。
目標が定まっているのか定まっていないのか、内容が好ましいのか好ましく無いのか、健全なのか健全では無いのか…といったあたりで、「脇目も振らない」と「うつつを抜かす」の境界線が表れてくるでしょう。
「没頭する」【ぼっとうする】
我を忘れて集中することを「没頭する」と表現します。
自分の心がどこかに言ってしまうという点では類似点があります。
しかし、目的がはっきりしていて集中する場合には「没頭する」が使われますが、目的がなく流されているなら「うつつを抜かす」や「耽溺する」といった表現の方があっています。
目的が定まっている場合には、困難があっても乗り越えて目標を達成するという意志の力が働いており、没頭するという表現がふさわしいでしょう。
意志の力はなく、快楽的なことに浸っているのが「うつつを抜かす」ということです。
「うつつを抜かす」のを分解して解釈
「漢字を多く使った表記では「現を抜かす」と書きます。
「現(うつつ)」と「抜かす」に分解して、言葉の意味を解説していきましょう。
- 「うつつ」
- 「抜かす」
「うつつ」
漢字で書くと「現」です。
現実や実態のあるものを表しています。
現実を動かすためには、実際の行動や手応えのある作業が必要になります。
一方、「うつつ」と対義になるのが「幻」や「夢」です。
実態がなく、真理に到達できない、現実が見えていないという状態を表します。
「抜かす」
「抜かす」は、抜く、無くす、不在ということです。
「うつつを抜かす」という言葉の組み合わせになると、本来みるべき現実を見ずにいる、実態がない、心ここにあらずの状態になっているということになります。
現実を知って堅実に生きる人は、「うつつを抜かす」ということにはなりませんが、現実逃避して楽な方に流されて生きる人は「うつつを抜かす」リスクにさらされているかも知れません。
はじめは「これくらいいつでも取り返せるさ」と考えるのが人の常です。
ギャンブルでもお酒でも、楽に気分を発散できるものは、ついハマってしまうものですから、「うつつを抜かしてしまう」キケンがいっぱいです。
ストレスを溜めずにいるには、我慢しすぎないことが大事ですし、一気に開放して心を奪われては「うつつを抜かして」大失敗ということになりかねないでしょう。
不健全な遊びに没頭してしまわないよう、少しずつガス抜きできるといいかもしれませんね。