「お見苦しい」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
猛暑だった夏もようやく終わり、すっかり季節は秋になりました。
秋といえば芸術の秋。
絵画や楽器などの発表会に参加する方、お出かけになる機会がある方もいらっしゃるでしょうか。
ところでそんな発表会に参加したり、出かけたりした際に「お見苦しいものを見せてしまって」などと謙遜の挨拶を聞いたことはありませんか。
この「お見苦しい」という言葉、いったいどんな意味があるのでしょう。
類語や例文も紹介していきます。
目次
- 「お見苦しい」の意味とは?
- 「お見苦しい」の類語
- 「お見苦しい」の使い方
- 「お見苦しい」を使った例文
「お見苦しい」の意味とは?
「お見苦しい」という言葉は一体どのような意味があるのでしょうか。
まず「お見苦しい」の「お」を抜いた「見苦しい」という言葉の意味から見ていきましょう。
「見苦しい」という言葉の意味は「みっともない」「はしたない」「見た目が不快」という意味です。
あまり良い意味ではありません。
「なんだその若作りな格好は。見苦しいぞ」とか「取り入れた洗濯物がリビングのソファの上に山のように積んだままになっていて、見苦しい」とか、批判的な意味で使われる言葉です。
しかし、この「見苦しい」に「お」がつくと、どのように意味が変わるのでしょうか。
「見苦しい」に「お」がついて「お見苦しい」になると、自分が行ったことについて「みっともない」「はしたない」という気持ちを込めて、相手に対して謙遜や申し訳なさ、自責のニュアンスを含んだ言葉になります。
日本人と日本語特有の謙遜の言葉です。
外国語ではあまり見かけない表現かもしれません。
「お見苦しい」の読み方
「お見苦しい」はどのように読むのでしょうか。
「お見苦しい」「おみぐるしい」と読みます。
漢字そのままの読み方で、特に難しいことはなさそうです。
「お見苦しい」の類語
「お見苦しい」という言葉の類語にはどのようなものがあるでしょうか。
日本語には謙遜の言葉が多いので、似たような意味を持つ言葉はそこそこ見つかりそうです。
「お目汚し」
「おめよごし」と読みます。
恐縮しながら見せる、という意味を持ちます。
見せることをへりくだって言う時に使う言葉です。
ビジネスでのメールでも「読んでくださってありがとうございます」という意味で冒頭または最後に使われることが多いです。
「つまらないもの」
誰かに贈り物をする際に使われる「つまらないものですが」。
一度は使ったことのある方も多いでしょう。
この言葉こそは日本の謙遜の文化の極みといった感じです。
外国人には理解しがたい心理のようです。
近年では日本でも「卑下しすぎ」という理由で使われなくなりつつある言葉です。
「つまらないものですが」と言うかわりに「心ばかりですが」と言うのが自分を卑下せず相手方への気持ちを込めた言葉として広まっているようです。
「至らない点がある」
こちらも謙遜の意味でよく使われる言葉です。
「至らない」と言う言葉は「未熟である」という意味があります。
「今回のような大役はなにぶん初めてなもので、至らない点も多々あるとは思いますが、温かく見守っていただければと思います」などのように使います。
「お見苦しい」の使い方
「お見苦しい」という言葉はどのような場面で使うのが適切なのでしょうか。
ビジネスなどのあらたまった場面でも使うことができるのでしょうか。
「お見苦しい」という言葉は、自身がおこなったことに対して「みっともない」「はしたない」という気持ちを込めた謙遜と自責、自戒の意味を込めて使います。
また親や先生、上司や先輩が、子供や生徒、目下の部下や後輩の行うことに対して相手方への謙遜や謝罪の意味を込めて使う場合もあります。
ビジネスの場面でも直接の会話やメール等での使用ができます。
相手方への謝罪などに使用しても問題ありません。
ただ近年では日本の美徳とされていた「謙遜」が世の中のグローバル化に伴い「卑下」とされあまり歓迎されない風潮になってきました。
「お見苦しい」という言葉も、人前で怒ったり泣いたりなどのマイナスの感情をあらわにしてしまったことを謝罪する時や、明らかに目に見えてわかるよろしくない状態について話す時には使っても良いと思いますが、自分の発表やパフォーマンスについては良し悪しがはっきりしない場合もあるので、進んで自分を卑下するために「お見苦しい」という言葉を多用するのはあまり良くないでしょう。
「お見苦しい」を使った例文
「お見苦しい」を使って文章を作ると、どのようなものが出来上がるでしょうか。
ここでは「お見苦しい」を使った例文を5つあげていきます。
それぞれ微妙に違ったニュアンスで作ってみました。
ここで挙げるニュアンスは次の5つです。
- 態度や振る舞いなどがみっともない様子を表す
- 発表やパフォーマンスなどの出来が未熟だと謙遜する気持ちを表す
- 見た目の状態、状況が恥ずかしい様子を表す
- 子供、部下、後輩などの行いを、相手方に対して謙遜する気持ちを表す
- 病気や怪我などで、顔や体の見た目が良くない様子を表す
それでは例文を見ていきましょう。
「お見苦しい」の例文1(態度や振る舞いなどがみっともない様子を表す)
「先日は遠方より我が家に遊びにいらしていただいた際に、私たち夫婦がささいなことでつまらない言い合いをして、お見苦しいものをお見せしてしまい大変失礼いたしました」
「お見苦しい」の例文2(発表やパフォーマンスなどの出来が未熟だと謙遜する気持ちを表す)
「私のピアノの発表会、聴きにいらしてくださってありがとう。たくさん練習したつもりだったけどやっぱり本番はドキドキしてつっかえつっかえの演奏になっちゃった。お見苦しいものを見せてしまってごめんなさいね。」
「お見苦しい」の例文3(見た目の状態、状況が恥ずかしい様子を表す)
「昨日、デパートのトイレに入った時に鍵をかけるのを忘れてしまって、用を足してる時に人に開けられてしまったの。
すごく謝られたんだけどこちらこそお見苦しいものを見せてしまって申し訳なかったわ。」
「お見苦しい」の例文4(子供、部下、後輩などの行いを、相手方に対して謙遜する気持ちを表す)
「娘は結婚式のスピーチをお願いされるのは初めてなの。仕事でも人前で喋る機会なんてほとんどないから、お見苦しいところもあるとは思うけど大目に見てあげてね」
「お見苦しい」の例文5(病気や怪我などで、顔や体の見た目が良くない様子を表す)
「疲れとストレスでものもらいになってしまって、まぶたがお岩さんみたいに腫れてしまってるの。しばらくお見苦しい姿を見せてしまうけれど、週末に約束してたランチバイキングは絶対行こうね」
「お見苦しい」の解説、いかがでしたでしょうか。
「お見苦しい」という言葉は「謙遜」という日本独特の文化の中でできた言葉だということを調べていて改めて感じました。
またその「謙遜」の中に、時には相手への謝罪の気持ち、感謝の気持ちなどを込めて使う場面もあり、簡単には説明しづらい言葉だと思いました。
特に外国人の方には「謙遜」というものの心理を理解してもらえないと説明が難しいでしょう。
最近は日本でも「どのような関係でも謙遜しすぎは逆に失礼」という風潮に変わりつつあり、よりポジティブな言葉を使うようにとのアドバイスもそこここで見受けられます。
謙遜は長らく日本人の美徳とされてきましたが、「お見苦しい」と言う言葉も使う頻度や状況によっては自分を卑下していることをアピールするような残念な言葉になってしまうかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。