「後ろ髪を引かれる」の意味とは?読み方、類語や使い方、例文を紹介!
日本語の中には、色々な種類の言葉があります。
昔から伝わることわざを用いたり、外国語から派生した外来語、和製英語等もありますが、味わい深い言葉と言えば、比喩的な表現で人の気持ちや思いを示す言葉が、心の奥深くに印象を刻み込むのではないでしょうか?
そのような言葉の中で、「後ろ髪を引かれる」というものがあります。
この言葉を使う時には、とても人の気持ちが見事に表されている感じがします。
目次
- 「後ろ髪を引かれる」の意味とは?
- 「後ろ髪を引かれる」と似た言葉や類語
- 「後ろ髪を引かれる」の言葉の使い方
- 「後ろ髪を引かれる」の例文
- 「後ろ髪を引かれる」の対義語や反対語
- 「後ろ髪を引かれる」の思いとはどんな思い
「後ろ髪を引かれる」の意味とは?
「後ろ髪を引かれる」という言葉には、とても深い人のことを気持ちが込められています。
言葉の意味としては、「まだ人に対してや物事に対する未練がある気持ち」あるいは、「心残りでその場から離れられない気持ち」のことを指しています。
「その場所に残してきたものが、とても気がかりになって、中々先に進めないこと」でもあります。
時として、「後ろ髪を引かれる思い」というような使い方をすることもあります。
「後ろ髪を引かれる」とは、頭の後ろの髪の毛を引っ張られることから、前に進めない状態のことを言っていますが、このような比喩的表現から、未練が残ってなかなか前と新しい未来や次のステップに一歩踏み出すことができないのです。
色々な思いなどが交錯して、中々前に進めない状態を表しています。
髪の毛と言えば、やはり女性の中で、髪の長い人が多いと思います。
しかし、男性も昔の武士の時代は、「髷(まげ)」を結うために、髪の毛を長く伸ばしておく必要がありました。
このことから、男女関係なく髪の毛が長かったこともあり、かこのような言葉が生まれだと考えられています。
- 「後ろ髪を引かれる」の読み方
「後ろ髪を引かれる」の読み方
「後ろ髪を引かれる」は、「うしろかみをひかれる」と読みますので、特別に難しいことはありません。
「後ろ髪を引かれる」と似た言葉や類語
人の気持ちが強く残っている「後ろ髪を引かれる」の他に、似たような意味を持つ言葉として、次のような言葉があります。
- 「未練がある」
- 「思いを断ち切れない」
- 「踏ん切りがつかない」
「未練がある」
「未練がある」という言葉も、「後ろ髪を引かれる」と同じ意味があります。
未練や心残りがある状態のことをいっていますが、「未練がましい」、「未練たらたら」、「諦めの悪い」、「後ろ髪を引かれる」、「思いを断ち切れない」、「思いが断てない」、「思い切れない」、「諦め切れない」、「忘れられない」、「気持ちがふっきれない」、「思いを残す」、「うじうじする」こんな意味で使われることが多い言葉です。
「未練がある」と言うと、男性でも女性でも、気になる相手に未練があって、何かと連絡したいと色々な理由を付けて、コンタクトをしていこうと考えます。
「たしか、今度の金曜日にみんなで行くって言ってた飲み会は、やるのかな?」などと、何とかして相手と連絡する方法を無理やりに考えて、メールやLINEしてみたり。
わざわざ連絡を取りたいために、直接関係のなさそうな話題でメールしてしまい、相手から面倒に思われてしまうことがあるかもしれません。
こんな状態が、「未練がましい」ということになります。
「思いを断ち切れない」
「思いを断ち切れない」という言葉も、「後ろ髪を引かれる」と同じ意味をなしています。
「未練や心残りがあるさま」、「諦めの悪い」、「後ろ髪を引かれる」、「断ち切れない」、「諦め切れない」、「忘れられない」、「気持ちがふっきれない」と言うような意味があります。
「あれだけ愛し合った2人だったんだ。別れても、深い愛の思いは断ち切れない。」
このようなケースで使われることが多い言葉ですね。
愛する人への情愛が深すぎて、別離を選んだ2人でも、相手もお申し込み気持ちを消し去ることができないのです。
「今回のプロジェクトが成功者したのも、君の熱い情熱があったからだね。」
「はい、一旦、中止したプロジェクトでしたが、どうしても思いを断ち切ることができませんでした。でも、その結果、大きな成果に結び付いたと思っています。」
この2人の会話は、ある企業の上司と部下の会話です。
大きなプロジェクトを成功裏に納めた社員。
何度も大きな難題や壁が立ちはだかり、ストップしたり、挫折歯槽になりかけたのです。
しかし、社員の熱い情熱が強く、プロジェクトを中断することに対しての思いを断ち切ることができなかったのです。
その結果、大きな成功に結び付いたのです。
「思いを断ち切れない」という言葉は、人の情愛だけでなく、このような時にも使われる言葉です。
「踏ん切りがつかない」
「踏ん切りがつかない」も、「後ろ髪を引かれる」と同じ意味で使われる言葉です。
この言葉には、「次の一手について戸惑う様子」、「二の足を踏む」、「戸惑う」、「躊躇する」、「尻込みする」、「優柔不断な」、「ぐずぐずする」などの意味もありますが、「未練や心残りがあるさま」の意味を含んでおり、「思いを断ち切れない」、「気持ちがふっきれない」という意味があります。
「ここで決断をしないと、本当に成功するかどうかわからないぞ。」
「でも、色々な状況を考えると踏ん切りがつかないよ。」
「どちらの道に進もうかと迷っているけど、踏ん切りがつかない。」
こんな時に使われます。
「後ろ髪を引かれる」の言葉の使い方
「後ろ髪を引かれる」という言葉は、今、自分が持っている感情を押し殺してでも、前に進べきなのに、気持ちが優先してしまうことで、その場所から進むことができない時に使われます。
悪くいうと、「未練たらたら」ということになるのですが、「後ろ髪を引かれる」ことで、決してそれまでの気持ちを断ち切ることができないまでにも、何とか歩み出そうと苦しい心境の様を感じ取ることができるのではないでないでしょうか?
「後ろ髪を引かれる」の例文
「後ろ髪を引かれる」は、次のようなケースでも、使うことがあります。
「もっと観光したかっけれど、彼らは髪を引かれる思いで京都を後にして、帰国の途に付いたのです。」
海外から憧れの京都を訪れた人達。
見事な紅葉をじっくりと堪能したかったのですが、帰国の時間が迫っており、もっと色々な場所を見たかったことも我慢して帰らざるをえなかったのです。
「どのステーキにしようか迷ってしまうな。こちらのセットを頼もうにも、あちらをやめなきゃいけないとなると、後ろ髪を引かれるな。」
2人でやっと見つけたステーキハウス。
普段なら予約者一杯で中々、入ることができないのですが、この日はラッキーにも入れて、オーダーできるのです。
でも、どのセットメニューも魅力的で美味しそう。
Aセットを頼むと、Bセットを諦めなきゃいけないし。
まさに「後ろ髪を引かれる思い」でした。
「せっかくのデート。とてもゆっくりと会えて楽しい1日だったけど、これからの帰らなきゃならないのは、後ろ髪を引かれる思いだ。」
遠距離恋愛中の2人。
数ヶ月に1度しか会えないので、とても時間を大切にしているのです。
しかし、時は残酷なもの。
刻々と帰る時間が迫ってきます。
そして、別れ。
再開できるのは、また、数ケ月後のこと。
とても「後ろ髪を引かれる思い」で、さよならしたのでした。
こんなふうに使われる「後ろ髪を引かれる」は、中々諦めきれない人の心を色濃く写し出しています。
「後ろ髪を引かれる」の対義語や反対語
この「後ろ髪を引かれる」の対義語としては、さっぱりとした行動の意味が含まれた言葉になるでしょう。
- 「潔い」【いさぎよい】
「潔い」【いさぎよい】
「潔い」は、「思い切りがよくてさっぱりしている様」を表しています。
後ろ髪を引かれるような感情をきっぱり思い切ることができることです。
「あいつは、この前の仕事の失敗をきちんと認めたな。とても潔い姿勢だ。」
困難な仕事に取り組んできた社員。
強い情熱で挑んだのですが、残念ですながら、失敗してしまったのです。
しかし、彼は未練がましく、後ろ髪を引かれるような態度を一片も見せることなく、さっぱりと失敗したことをおわびしたのです。
この時に「潔い」と姿勢が周りの人に、かえって好感を抱かせることになったのです。
「あの試合はとてもよかった。でも、負けたチームも潔よかった。」
甲子園で雌雄を決した名勝負。
どちらのチームが勝ってもおかしくはないくらきに、力を出しきって戦ったのです。
その結果、負けたチームの態度もとても清々しいものがあり、見る人の心に爽快感を与えたのです。
「後ろ髪を引かれる」の思いとはどんな思い
「後ろ髪を引かれる」思いは、とても深い気持ちを完全に消し去ることができたい苦しい様を言ってきます。
「断腸の思い」という言葉がありますが、これも「後ろ髪を引かれる」に近い意味があるでしょう。
「腸を断ち切るほどの痛みを伴うきつい決断や考え」が「断腸の思い」なら、似た意味を持つ「後ろ髪を引かれる」もどれほど苦しいのかが分かります。
それだけに人の思いが強ければ強いほど、苦しくなっていくのでしょう。
人への思い、物事に対するこだわり。
それらの気持ちを完全に捨て去ることができない辛く悲しく悔しいほどの心の葛藤が見えてくるようです。
「後ろ髪を引かれる」
この言葉を耳にした時は、このような心境になっている人の気持ちは、どれほど苦しいのでしょうか?
人生の中では、いくつもの決断を必要とする場面があります。
その決断によって、大きく岐路が別れて来ます。
その結果、成功する人もいれば、失敗する人もいるはずです。
もしあの時に「後ろ髪を引かれる」思いをしながら、苦しいのでしょうか?決断をした後に成功を手にしたなら、その時の喜びは、心から喜べるものなのか?
それとも失敗しても、潔い気持ちになるのか?
それはその人の、その時々の心境や環境によって大きく異なってきます。
時として、潔ぎよく諦めて方向転換しなければならないこともあるでしょう。
それでも、人が生きていく中では、大きな決断をし続けることで、次の成長があるのです。
それだけに「後ろ髪を引かれる」思いも忘れないこたが大切だと思うのです。