「草葉の陰」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
よくドラマなどを見ていると、「草葉の陰から見守っているよ」などというセリフを着たりします。
この「草葉の陰」とは、どのような場所を指しているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
目次
- 「草葉の陰」の意味とは?
- 「草葉の陰」の類語や言い換え
- 「草葉の陰」の使い方
- 「草葉の陰」の例文
- 「草葉の陰」を使った言葉
「草葉の陰」の意味とは?
「草葉の陰」とは、文字通りに考えると、「草や葉が生い茂っている場所の下」という意味になります。
つまり、草が生えている地面の下=墓の下を指す言葉となります。
そして、そこからさらに意味が転じて「あの世」を指す言葉となっています。
「草葉の陰」とは「墓の下」あるいは「あの世」の場所を表す言葉です。
ここで疑問が生じます。
なぜ、「草葉」の場所が「墓場」を意味する言葉になるのでしょう。
もともと、日本語において「草葉」には
- 草の葉という意味。
- 墓
の2つの意味があります。
そのため、「草葉」はおのずと墓を指す言葉になるようです。
推測ですが、墓のある場所は、大抵、草が鬱蒼としている場所にあります。
現代では地面がコンクリートなどで埋め立てられている墓場もありますが、昔は大抵、草が鬱蒼としている場所にあったと考えられます。
そのため、草葉といえば、墓場のある場所と考えられるようになったのかもしれません。
また、「陰」についてですが、なぜ、「草葉」の下の場所を指す言葉となっているのでしょう。
「陰」というと、なんとなく「草葉」の下ではなく、後ろを指す意味のような気がします。
「陰」の意味を調べると、「光のあたらない暗い場所」という意味があるようです。
つまり、草葉に遮られて光が当たらない場所こそが、「草葉の陰」と言われる場所となります。
ここまで意味を調べてみると、「草葉の陰」が墓やあの世を指す言葉であるのも納得します。
- 「草葉の陰」の読み方
「草葉の陰」の読み方
「草葉の陰」は「くさばのかげ」と読みます。
「草葉」を用いる言葉は様々あります。
人の命が儚い様子を「草葉の露」(くさばのつゆ)、草色のことを「草葉色」(くさばいろ)などと表現します。
全て「草葉」(くさば)と読みます。
また、「陰」には「いん」という読み方もありますが、ここでは「かげ」と読みます。
「かげ」というと、どちらかというと、「影」という字を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
なぜ、わざわざ「陰」という字を使っているのでしょうか。
なぜかというと、「陰」という字には、「物に遮られ、日光や雨風があたらない場所、表に出ない場所」という意味があるからです。
「影」の意味はというと、光が物に遮られて現れる暗い部分を指す言葉です。
そして、常に光と対になってできる暗い場所のみを指しています。
「陰」の漢字が表す意味は、必ずしも光と対にはなりません。
悪口を言うことを「陰口を言う」といったり、何か心に闇を抱えていそうな人を「陰のある人」などと言ったりします。
表から見えない場所や目の届かない場所を「陰」という字で表しています。
「草葉の陰」の類語や言い換え
「草葉の陰」の類語や言い換えについてみていきましょう。
- 「冥途」【めいど】
- 「黄泉の国」【よみのくに】
- 「天国」【てんごく】
「冥途」【めいど】
「冥途」とは死者が死後にいきつく場所です。
つまり、あの世を指しています。
欲しい物を手に入れたことで安心して死ねることを「冥途の土産」(めいどのみやげ)、死後にあの世に行く旅のことを「冥途の旅」(めいどのたび)などといいますが、全て「冥途」は「あの世」を表現しています。
「冥途」も「草葉の陰」と同様、あの世を表す言葉です。
しかし、「冥途」の意味は「あの世」のみで、墓場の意味は持ちません。
「黄泉の国」【よみのくに】
「黄泉の国」とは、「死後、人の魂が行きつく場所のことであり、そこで死者が生活するとされる場所のこと」を意味します。
『古事記』に登場する場所であり、地下にあり暗黒で汚いところとされています。
また、罪や穢れ(けがれ)が集まる場所とも考えられています。
このように黄泉の国は少し恐ろしい不気味さを持ったあの世としての意味が強いです。
しかし、地獄とは異なる世界だと考えられています。
「黄泉の国」も「草葉の陰」と同様、あの世を表す言葉ですが、「墓場」の意味までは持っていません。
「天国」【てんごく】
天国も、「草葉の陰」と同様、死者の死後にいくつく場所です。
「あの世」の意味を持っています。
亡くなった人があの世から見守ることを「天国から見守ってくれている。」
などと表現します。
ただし、「天国」の定義としては、「草葉の陰」よりも狭い意味となります。
「天国」と対になる言葉として「地獄」があり、双方ともに「あの世」を指す言葉ですが、「天国」には「地獄」の意味を持ちません。
ですが、「草葉の陰」は「天国」にも「地獄」にもあてはまる場所となっています。
「草葉の陰」の使い方
「草葉の陰」の使い方として注意しなくてはいけないことは、生きている人間には使わないということです。
よく勘違いしやすいのは、「陰ながら応援すること」を「草葉の陰から応援する」などと表現するところです。
この使い方は間違っています。
草葉の陰で応援する人は、すでに亡くなっている人であり、この話をしている段階で生きている人には使ってはいけません。
生きている人が「陰ながら応援すること」を表現したい場合は、そのまま「陰ながら応援しています」という表現になります。
もしも、誰かに「陰ながら応援してください」と頼みたいときに「草葉の陰から応援してくださいね」などと話したら、その相手の方に失礼にあたるので注意しましょう。
もし、「草葉の陰で応援する」という表現の文を話すとしたら、「死んだ彼も、草葉の陰から応援しているだろうよ」などといった表現になります。
また、「草葉の陰」は現段階で生きている人には使わないと話しましたが、それは現在進行形の話や過去の話のときだけです。
未来について話すときは、「俺が死んでも悲しむなよ。草葉の陰からいつも見ているからな」などと冗談めかしに使うことも可能です。
将来、誰しもいつかは亡くなるので、そのことを想定し、こういった表現もすることができます。
「草葉の陰」という表現は、亡くなった人に想いを馳せて、生きている人が、「生きていたらこのように言っていたであろう」ということを想像し、代弁したものです。
本当に亡くなった人が同じことを想っているのかは分かりませんが、生きている人が想像して話す言葉であるといえます。
「草葉の陰」の例文
「草葉の陰」の例文を紹介します。
- 「草葉の陰」の例文1
- 「草葉の陰」の例文2
「草葉の陰」の例文1
「亡くなった彼の性格なら、今頃、草葉の陰で悔しがって地団太を踏み鳴らしているだろうよ。」
(亡くなった彼の性格なら、今頃、あの世で悔しがって足を踏み鳴らしているだろうよ。)
亡くなった彼の性格を思い浮かべ、もし彼が生きていたら悔しがっていたであろうということを表現しています。
また、あの世があるのなら、今頃、彼があの世で悔しがっているだろうということを意味しています。
「草葉の陰」の例文2
「あなたはいつも運がないわね。私が死んだら、草葉の陰から、あなたのことを見守ってあげようかしら。そして悪いことを吹き飛ばしてあげるよ。」
(あなたはいつも運がないわね。私が死んだら、あの世から、あなたのことを見守ってあげようかしら。そして悪いことを吹き飛ばしてあげるよ。)
自分が死んだことを想定して話している表現です。
自分はまだ生きていますが、自分が死んだ未来を想定して話しています。
「草葉の陰」を使った言葉
「草葉の陰」を使った言葉を見ていきましょう。
よく聞くフレーズなので、覚えておくと便利です。
- 「草葉の陰から応援する」
- 「草葉の陰で喜ぶ」
- 「草葉の陰で泣いている」
- 「草葉の陰で悔しがる」
- 「草葉の陰から見ている」
「草葉の陰から応援する」
死んだ人があの世から応援していること、あるいは自分の死後、あの世から応援することを表現している言葉です。
生きている人が草葉の陰から応援することはないので、間違っても生きている人には使わないようにしましょう。
例文としては、「亡くなった、おばあ様もきっと草葉の陰から応援していることでしょう。」
「死んだ彼が、草葉の陰から応援してくれているといいな。」などが挙げられます。
「草葉の陰で喜ぶ」
亡くなった人が生きていたら、きっと喜んでいたに違いないだろうと思う状況のときに使います。
例文としては、「この子がやっと一人前になって、亡くなった主人も草葉の陰で喜んでいることと思います。」
「元気な男の子の赤ちゃんを産んで、亡くなったおばあちゃんも草葉の陰で喜んでいるでしょうよ。」などが挙げられます。
「草葉の陰で泣いている」
この意味は嬉し涙とも悔し涙ともとれる表現です。
文章の前後を見て、どちらの意味か判断しましょう。
例文としては、嬉しなきの場合、「こんなに素敵なお嫁さんを連れてきて。亡くなったお父さんも草葉の陰で泣いて喜んでいるだろうよ。」
悔し涙の場合、「いつまで馬鹿なことをしているんだ。亡くなったお母さんが草葉の陰で泣いているぞ。」
などが挙げられます。
「草葉の陰で悔しがる」
亡くなった人が生きていたとしたら、きっと悔しがっていただろうと思うときに使います。
例文としては、「あいつがあの娘と結婚したと、亡くなった彼が知ったら、草葉の陰でさぞ悔しがるだろうよ。」
「自分の残した財産のせいで、みんなの関係に亀裂が生じたと知ったら、草葉の陰で悔しく思うに違いない。」などが挙げられます。
「草葉の陰から見ている」
あの世から、亡くなった人が生きている人のことを気にして、覗いている様子を表したものです。
例文としては、「悪いことをしちゃいけないよ。死んだお父さんが草葉の陰から見ているかもしれない。」
「死んだあの人のことだから、心配して草葉の陰から見ていることでしょう。」などが挙げられます。
「草葉の陰」という言葉はよく耳にする言葉ですが、たまに間違った表現をしている人を見かけることがあります。
この言葉は亡くなった人にしか使わない言葉であるので、その点だけ注意して使いましょう。
「草葉の陰」という言葉は、生きている人が、亡くなった人に想いを馳せて話すという素敵な言葉です。
ぜひ、正しく使うようにしましょう。