「之を知る者は之を好む者に如かず 」の意味とは?使い方や現代語を紹介!
きいたことがあるような気もするけれど、どんな意味だっけということも多いのが論語です。
「之を知る者は之を好む者に如かず 」について解説していきましょう。
目次
- 「之を知る者は之を好む者に如かず 」の意味とは?
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」を分解して解釈
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」の現代語
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」の使い方
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」の例文
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」に似たことわざ
「之を知る者は之を好む者に如かず 」の意味とは?
ざっくりいうと、「進んで興味を持ち実際にやってみることが上達の近道だ」という意味です。
知識を知っているだけにとどまらず、実際に活用する、好きでいつもそのことを考えているという人は、上達が早く、より早く深い内容を理解していくものです。
勉強する場合でも、宿題をイヤイヤ義務として済ませている人よりも、自分から疑問を持って調べたり、条件を変えて繰り返し解いたりする人のほうが高度なレベルに到達できます。
物事を深めていくには、より強い興味関心を持ち、探求することを楽しむことが欠かせないということの例えに使われる論語です。
論語は孔子の教えが詰まった書物で、ことわざとして使われることも多いですね。
- 「之を知る者は之を好む者に如かず」の読み方
「之を知る者は之を好む者に如かず」の読み方
「これをしるものは これをこのむものに しかず」と読みます。
さらに続きがあって「これを好むものはこれを楽しむものに如かず」(これをこのむものは これをたのしむものに しかず)と合わせて原文と同じになります。
論語の原文は、漢文のかたちで書かれたものですから、「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」となります。
全文を見ると、「知る < 好き < 楽しむ」と物事を体得するにはレベルによってスピードと深さが違うのだということを表していることがわかります。
好きなことは、自然とそのことを考えたり練習をしてみようという気持ちになりますし、さらにレベルが進めば、そのことを考えたり練習したりすることそのものが楽しいと感じられるようになります。
「之を知る者は之を好む者に如かず」を分解して解釈
「これをしるものはこれをこのむものにしかず」と音で聞いても、慣れない人には呪文のように聞こえるかもしれませんね。
もう少し噛み砕いて、一つ一つの言葉の意味について解説していきましょう。
- 之【これ】
- 知る者【しるもの】
- 好む者【このむもの】
- 如かず【しかず】
之【これ】
「これ」という代名詞です。
「〇〇を知る者」のように、〇〇にはいろいろなものが当てはまります。
「いま話題にしている事柄〇〇について」と取ることもできますし、広く一般の「あるもの」として解釈することもできます。
英語の勉強方法について話しているのなら、「英語の上達には」知っているだけのレベルではなく、好きなレベル方が上達が速く、頼んでできるようになればさらに深く上達スピードも早いのだと言いたいのだと解釈できます。
知る者【しるもの】
知っている、認識しているレベルにある人という意味です。
「アメリカについて知っている」という場合、「地図上の位置を知っている」、「アメリカという国があることを知っている」、「大統領制で現在の大統領がトランプ氏だと知っている」など、どれも知っていると表現されます。
「移民が多い」、「生活保護ではミールカードが配布される」ということなどさらに細かい情報を知っている場合もあるでしょう。
情報の細かさや深さに関係なく認識している、興味を強く持っているかどうかは別として知っているという情報や体験の入口に立っている人という広い意味を表しています。
好む者【このむもの】
好きだという気持ちが伴って興味を持っている状態の人です。
なんとなく知っているだけでは、積極的に情報を集めたり、何度も繰り返して経験しようとはしません。
ただ、認識しているだけの人よりも、そのことについて考える時間も長くなりますし、そのことを自分から調べたり、実際に体験したりします。
「英語が話せたたらかっこいいなあ」のレベルから、「会話して通じると嬉しい」、「ハリーポッターが好き」などと気持ちが動くレベルになると、関わることが好きだと感じられます。
如かず【しかず】
かなわないという意味です。
好きだ、したいという気持ちがはたらいている人に、なんとなく認識しているだけの人はかなわないということです。
自分の気持が動いて行動している時には、めんどくさい、イヤイヤといったネガティブな要素はありません。
好きで行動したいと思うなら、それはやがて楽しいという感じるレベルにステップアップしていきます。
ちょうど、論語の原文の後半部分、「之を好む者は之を楽しむ者に如かず」に当てはまります。
「之を知る者は之を好む者に如かず」の現代語
現代語では、「ただ知っているだけよりも好きだと思える人にはかなわないよ」といった表現になるでしょう。
または、「知っているだけはステージ1、好きだと思えるのはステージ2、これらをクリアしたとに訪れるのが楽しさを感じられる最終ステージ」とも言えるでしょう。
ものごとの上達、知るということの奥深さを伝えると同時に、熟練者になるまでには、「知る<好む<楽しむ」というレベルが存在することを表しているのです。
物事の熟練には、一万時間が必要だと言われています。
同じことを一万時間繰り返すと、表面的なことだけでなく細かなことに気づくようになり、気持ちや分析力が働くようになり、プロフェッショナルなレベルになっていくのです。
「之を知る者は之を好む者に如かず」の使い方
「之を知る者は之を好む者に如かず」の使い方を紹介します。
偏差値を上げたいと悩む受験生に「之を知る者は之を好む者に如かず」
自分から課題を設定して解くことを好きになってみると、楽しみを見つけられるようになり、成績もアップするのではないか。
ピアノがうまくなりたい保育士志望者に「之を知る者は之を好む者に如かず」
好きだと思える曲や方法を繰り返し行っていると楽しいと思えるときがやってくるだろう。
取り組み方を工夫すると、好きだと思えるレベルになり、その後に楽しいと思えるレベルがあるのだという励ましの意味にも使われます。
物事の上達についての真理をついた言葉とも言えます。
「之を知る者は之を好む者に如かず」の例文
「之を知る者は之を好む者に如かず」の例文を紹介します。
励ましの意味合いで使う
A: 野球でレギュラーを取りたいけどうまくいかないんだよ
B: それは「之を知る者は之を好む者に如かず」だからね。野球がうまくなるためには、好きになることが一番だから、好きなってたくさん練習して頑張れという時に使われるでしょう。
アドバイスとして使う
A: 勉強なんてやめたいよ。暗記が苦しくってさあ。
B: 「之を知る者は之を好む者に如かず」って知ってるかい?
A: じゅもんみたいだね。
B: 好きだと思うことが上達の近道なんだ。
でも、好きだと思える方法を工夫することが大事なんだ。
漢文から受ける印象にありがたみが増幅されるでしょう。
「之を知る者は之を好む者に如かず」に似たことわざ
気持ちが伴えば上達しやすい、上達の過程には気持ちの変化がある、レベルが上がると感じ方が変わる…といった意味を持った、他のことわざもみていきましょう。
- 「好きこそ物の上手なれ」【すきこそもののじょうずなれ】
- 「道は好む所によって安し」【みちはこのむところによってやすし】
「好きこそ物の上手なれ」【すきこそもののじょうずなれ】
「好きなものは上達が速い」という意味で使われることわざです。
昔からプロスポーツ選手は、体を動かすことそのものが好き、その競技が好きという逸話が残っているものです。
また、ピアニストや音楽家は2〜3歳くらいで音楽に合わせていつも歌っていたとか、楽器をおもちゃ代わりにしていたというエピソードが多く聞かれます。
「道は好む所によって安し」【みちはこのむところによってやすし】
「好きなものに取り組むとスムーズに上達する」という意味のことわざです。
どんな職業につくか悩んだ場合にも、体力勝負が向いているのか、情報収集やPC作業が好きか、人と会ってコミュニケーションを取る営業職が良いかなど、好きなスタイルを選ぶと気持ちが向かいやすく、うまくいきやすいですね。
「修行」という言葉があります。
淡々と物事をこなすことの先に今まで気づかなかったことに気付かされる体験ができるということです。
なにか課題にぶつかった時「之を知る者は之を好む者に如かず」という言葉を思い出して、好きだと思えるまで努力してみる、やり方を工夫するとも取れます。
また、向いていることを探して好きから、楽しめるレベルに極めていくことを経験してみると、自分に自信が持てるようになりそうですね。