「餓鬼」の意味とは?なぜ子供をガキという?言い換えや特徴を紹介!
子供のことを「ガキ=餓鬼」と呼ぶことがあります。
複雑な字面ですが、そのいわれや意味、使い方を紹介しましょう。
目次
- 「餓鬼」の意味とは?
- なぜ子供をガキと言う?
- ガキの使い方
- 「餓鬼」を使った言葉
- 「ガキ」以外の子供の言い換えや語源
- 「糞ガキ」に多い特徴
「餓鬼」の意味とは?
そもそも「餓鬼」とは仏教の中で死んだあとに導かれる「六道」という世界の一つ「餓鬼道」からきています。
苦しみや悩みのある6つの世界を人間は生まれ変わりしながら繰り返しており、そこから離れることができると浄土にいけるという教えが仏教にはあります。
- 1.地獄
- 2.餓鬼
- 3.畜生
- 4.修羅
- 5.人間
- 6.天上
欲深くケチな人が、餓鬼の苦しみを負います。
骨と皮だけにガリガリに痩せ、食べ物も飲み物も満足に手にすることができずにいつも飢えており、満たされずにもがき苦しんでいるのです。
なぜ子供をガキと言う?
子供は、思慮もなく未熟で、ガツガツとして浅ましい面を持っていることから「餓鬼」と呼ばれるようになりました。
周りをみて自分を律することを知らず、欲望のままに振る舞うことが多く、自分さえ良ければ良いといった、幼稚な部分はまるで餓鬼のようだというたとえなのです。
ただし、現在では、子供を表す俗な言い方として、仏教的な意味を意識せずに使われることも多く、未熟者、浅ましく思慮にかける者といった意味合いで使われることも多いでしょう。
ガキの使い方
上品な言い方ではなく、少し乱暴な話し方や少し下品な言い回しで子供を表すときに使われることが多くなっています。
関西弁で息巻くときに登場する場合には、脅し文句となる場合があります。
- 親しみを込めて「そこのガキ、早く掃除しろよ」などと子供に呼びかけるとき。
- 子供を意味するが、やや乱暴な言い回しとして使われるとき。「うちのガキがいつもうるさくって困ってるんですよ。」など。
- 脅しや恫喝的に「そこのガキ、いてまうで」など関西弁と合わせて使う場合、必ずしも子供に対して使うわけではありません。
「餓鬼」を使った言葉
子供を表すことが多い「餓鬼(ガキ)」と他の言葉の組み合わせで良く聞く「糞ガキ」、「ガキ大将」という言葉の意味や使い方について紹介しましょう。
- 「糞ガキ」
- 「ガキ大将」
「糞ガキ」
口汚く罵る場合に「この、糞ガキが。」ということがあります。
「糞」というのは、「とてつもなくひどい」というときに用いられ、罵倒するときに「糞犬」や「糞女」と使うことがあります。
ガキは、子供や、あさましく欲望のままに生きている徳のない未熟者ということですから、相手を貶めるときや、罵るときに使われる言葉です。
塀に落書きした子供たちに向かって「この糞ガキがなにしとんじゃあ」ということもあれば、パチンコで大負けして悔し紛れで「この糞ガキがぁ」と叫ぶこともあるでしょう。
また、相手を恫喝するときに、「この糞ガキが、何してくれとんじゃ」と怒鳴る場合にも使われます。
「ガキ大将」
「ガキ=子供」、「大将=リーダー」とすると、子供の集団の中でリーダー格となっていると説明できます。
ただし、この言い回しは、天真爛漫な子供らしさからやった者勝ちや、腕力勝負でマウントを取るような資質を持った子供に当てはめられることが多いのが特徴です。
子供同士の力関係からくる自然に生まれる人間関係の学びが容認されていた、良き時代のキャラクターとも言えます。
ドラえもんに出てくるジャイアンのような存在をイメージするとわかりやすいでしょう。
「ガキ」以外の子供の言い換えや語源
ガキは、子供という意味から転じて、未熟者という言い方をされる場合もあります。
このセクションでは、子供の言い換えや語源について紹介しましょう。
- 「童子」【わらし】
- 「ひよっこ」
- 「儒子」【じゅし】
- 「はなたれ小僧」【はなたれこぞう】
「童子」【わらし】
仏典を学びながら寺に使える若い20歳未満の人を童子ということや、そうした若い人の戒名に「◯◯童子」とつけることから子供のことを「童子」と呼ぶようになりました。
「笛吹童子」など、物語の子供のキャラクター名として使われる場合もあります。
この場合には「どうじ」と発音しますが、家を守る子供の姿をした妖怪「座敷童子」では、「わらし」と発音します。
また、鬼を表すときに「童子」が使われることがあり、「酒呑童子」などはスマホゲームのキャラクターに登場しています。
「ひよっこ」
鶏は卵からかえったばかりのときには、親の姿とは違うひよこの姿をしています。
未熟者、子供を表すときに、ひよこから転じて「ひよっこ」という言い方をします。
この場合には、「ガキ」とは違い、浅ましさや卑しさといったニュアンスはなく、一人前ではないという意味合いが濃くなっています。
修行を始めたばかりの人や、社会人一年生など、実際の子供を表すというよりは、「その道では未熟な子供のようなもの」といった場合に使われることが多い言葉です。
「儒子」【じゅし】
夏漱石の坊っちゃんにも登場する「儒子」という言葉ですが、青二才、未熟者、子供と言った意味があります。
若造などのように、若く修行半ばであることを下に見ている、蔑んでいるニュアンスが含まれています。
そのため、自分に対して使えば謙遜している言い方になりますし、相手に対して使えば、評価が低く認めるに値しない、基準に達していないという言い方になります。
「儒子」は「孺子」とも同義です。
銀河英雄伝説のセリフの中では、「儒子」と書いて、「こぞう」と読ませる当て字が登場しています。
「はなたれ小僧」【はなたれこぞう】
昔は、鼻水を垂らして袖で拭いているような子供がたくさんいました。
昭和くらいまでは、「子供=鼻水を垂らしているもの」「鼻も一人で始末できない半人前」というイメージがあったため、未熟で半人前というときに「はなたれ小僧」という言葉を使うことが多かったのです。
平成に入ってから、鼻水をいつも垂らしている子供は、アレルギー性鼻炎などと呼ばれるようになり、鼻水を垂らしている子供は減少していますが、それでも鼻も拭けない半人前の若造は、「はなたれ小僧」なのです。
駆け出しの一人立ちできない社会人や職人に向かって「はなたれ小僧」という言い方が使われます。
刑事もののドラマで、駆け出しの巡査に向かって「お前なんぞ、まだまだはなたれ小僧だ。」
などといった調子です。
「糞ガキ」に多い特徴
「糞ガキ」と言う言葉は、罵倒する時に使われます。
「とてもすごい」という意味を表す「糞」がつくほど、ひどく卑しく浅ましい「糞ガキ」の特徴についてみていきましょう。
- ガツガツしていて浅ましい
- 周りはどうでもよく自分が良ければ良い
- 欲望のままに生きて満たされることが無い
- 向上心や気持ちを改めることを知らない
- 迷惑を顧みない必要以上の物欲を発揮している
ガツガツしていて浅ましい
これは幼い子どもにもみられる特徴かもしれません。
思慮深さが育っていないため、ガツガツと欲望を満たすことに夢中になってしまう状態にあります。
幼児に大好きなお菓子を与えたら、お腹を壊すほど夢中でむさぼり食べてしまうようなイメージです。
年齢的には大人でも、他の人に譲ることや、協力し合うということに気づかずに、自分の世界観の中だけで生きているような人は、「糞ガキ」と呼ばれても仕方ないでしょう。
振る舞いが「糞ガキ」の場合には、社会的にも認められたり、感謝を受けたりすることがない残念な人になってしまいます。
周りはどうでもよく自分が良ければ良い
仏様の教えの逸話の中に、長い箸を使って食事をするお話があります。
たくさんのごちそうが並んでいるけれども、争いが耐えないガキだらけの世界では、長い箸を使って相手に食べさせてあげるという感覚が欠けています。
自分で長い箸を使って食べものを口に運ぼうとしても上手く口に入れることができず、カリカリとして争いが絶えません。
このお話には、助け合って長い箸でお互い食べさせ合うことで、満ち足りて過ごして人たちも登場しています。
思い通りに欲望が満たせないことを人のせいにして、争ってばかりいて、助け合うことを忘れている人間は「糞ガキ」なのです。
欲望のままに生きて満たされることが無い
「糞ガキ」は「ガキ」を上回るほど欲望が強く、満たされることがありません。
足りている、十分だと自分で満足することができないので、満たされようと苦しみもがきます。
ご自由にお取りくださいと差し出された試供品を、根こそぎ持っていってくなど、物欲や所有欲で突き動かされている生き方をしていては、「糞ガキ」と呼ばれても仕方ありません。
いくら集めても、所有しても心が満たされることが無いのですから、心は空虚になる一方です。
それなのに気づかず、欲望のままに振る舞って満たされない苦しみに苛まれ続けるのです。
向上心や気持ちを改めることを知らない
「糞ガキ」は、狭い世界観の中で生きています。
人は幸福を与え合うものだと言うことに気づきもしませんから、行動を改めて違う価値観を手に入れてみようという向上心もありません。
あるがままの煩悩に目を向けることなく好き勝手にしているとみられているものです。
幸せを追求するのは、人として生まれ持った性ですが、人との関わりを大切にし、助け合いや支え合いの精神を育てながら幸せになることが可能です。
物事を損得だけで考えてる狭い価値観に固執し、周りを見ない、勉強や研究をしようとしないのは、「糞ガキ」なのです。
迷惑を顧みない必要以上の物欲を発揮している
カネの亡者と呼ばれるほど、人から喜ばれることより自分の物欲を満たすことに執着している人は「糞ガキ」です。
社会的に成功者と呼ばれる立場に登り詰めていたとしても、他人の幸せに貢献していなければ長続きしないものです。
調子に乗って、何もかも独り占めにしてしまうのは、「糞ガキ」のすることです。
日本が飽食の時代と言われるようになって久しいですが、人の心が満たされるのは、物欲が満たされるだけではありません。
それに気づかずに物欲に満足を求める生き方をしていては、いつまでも幸せだと感じられないでしょう。
「ガキ」とは「餓鬼」でありガツガツして満たされない存在で、未熟で分別が無いことから子供を表す言葉として使われます。
また、年齢に関係なく自分本位で欲望を追求する浅ましい人間は糞ガキ呼ばわりされます。